
【OS起動前の黒い画面】メーカーロゴから進まない!BIOS/UEFIが起動しない原因と、“No Bootable Device”エラーの解決ステップ
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記事の最終更新日:2025年10月10日
ピー太さん、パソコンが全く起動しなくなってしまいました!電源は入るんです。メーカーのロゴは表示されるのですが、そこから先に一向に進みません。
いつものWindowsのくるくる回る画面にたどり着けなくて…。時には、「No Bootable Device」みたいな英語のメッセージが表示されて、黒い画面で止まってしまいます。
`F2`キーとかを押して、BIOS?っていう設定画面に入ろうとしても反応がありません。これって、もう完全に壊れてしまったのでしょうか?
スト子さん、それはPCトラブルの中でも最も心臓に悪い症状の一つですね。PCがOSという「意識」を読み込む前の、いわば「脳死」に近い状態ですから、パニックになるのも無理はありません。ですが、まだ諦めるのは早すぎます。
その症状は、PCの起動プロセスにおける「**点呼**」の段階で問題が起きていることを示しています。PCは電源が入ると、まずBIOS/UEFIという「監督官」が目を覚まし、OSを起動するために必要な部品(ストレージ、メモリなど)が揃っているか点呼を取るのです。
「No Bootable Device」というメッセージは、その監督官が「OSの入った起動ディスク君が見当たらないぞ!」と叫んでいる声なのです。この記事では、冷静な捜査官のようにその「行方不明」の原因を突き止め、PCを再び正常な起動プロセスへと導くための完全な捜査手順を解説していきます。
起動の哲学:それは「OS」という魂を探し求めるハードウェアの旅
私たちがPCの電源ボタンを押したその瞬間、PCの内部では壮大な「目覚めの儀式」が始まります。まずマザーボード上に搭載された「**BIOS/UEFI(バイオス/ユーイーエフアイ)**」という最も根源的な制御プログラムが目を覚まします。このBIOS/UEFIの最初の仕事は、「**POST(Power-On Self-Test)**」と呼ばれる自己診断です。CPU、メモリ、ストレージといったPCを構成する主要な部品たちが、正常に接続され応答するかを一つずつ確認していく「点呼」の作業です。メーカーロゴが表示されている画面は、まさにこのPOSTが進行している最中です。
そして全ての部品の点呼が完了すると、BIOS/UEFIは次の最も重要な任務に移ります。それは、WindowsやmacOSといった「**OS(オペレーティングシステム)**」というPCの「魂」が格納されている起動ディスク(ブートデバイス)を探し出し、その魂をメモリへと読み込み、PCの制御権をOSに引き渡すことです。
「メーカーロゴから進まない」あるいは「No Bootable Device」と表示される問題は、この神聖な儀式のいずれかの段階で深刻なエラーが発生していることを意味します。私たちの仕事は、どの段階で儀式が中断されているのかを見極め、その原因を取り除くことなのです。
第一章:原因の切り分け - あなたのPCはどの段階で倒れたのか
まず、お客様のPCがどの段階で問題を抱えているのかを正確に診断します。
パターン①:電源は入るが画面は真っ暗なまま何も表示されない
これは最も深刻な症状です。POSTプロセスの極めて初期の段階、あるいはそれ以前(マザーボード、CPU、メモリ、電源ユニットの物理的な故障)で失敗している可能性が高いです。この場合は個人での対処は困難なため、速やかに私たちのような修理の専門家に相談することをお勧めします。
パターン②:メーカーロゴは表示されるがBIOS/UEFI設定画面に入れない
メーカーロゴが表示されるということは、POSTプロセスのある程度までは進んでいる証拠です。しかし、`F2`や`Delete`といったキー操作を受け付けずBIOS/UEFIに入れない場合、キーボードなどの入力デバイスの認識に問題があるか、あるいはBIOS/UEFI自体が破損している可能性が考えられます。
パターン③:BIOS/UEFI設定画面に入れるがOSが起動しない
これが最も一般的で、かつ自力で解決できる可能性が最も高いパターンです。POSTは正常に完了しハードウェアは一通り認識されている。しかしBIOS/UEFIがOSの魂を探しに行った結果、「見つからなかった(No Bootable Device)」と報告している状態です。この場合、原因は主に2つに絞り込まれます。
- **起動順序の問題:** BIOS/UEFIがOSの入っていない別のドライブ(例:空のUSBメモリなど)を最初に探しに行ってしまっている。
- **ストレージの物理的な故障:** OSが格納されているSSDやHDD自体が物理的に故障、あるいは接触不良を起こし認識されていない。
第二章:解決へのステップ - 行方不明の「起動ディスク」を救出する
ここからは主に上記の「パターン③」を解決するための具体的な手順を解説します。
ステップ1:全ての周辺機器を取り外す
まず、PCに接続されている全てのUSB機器(メモリ、外付けHDD、マウス・キーボード以外の全て)を取り外してください。もしPCがOSの入っていないUSBメモリなどを起動ディスクと勘違いしているのであれば、これだけで問題が解決し正常に起動することがあります。
ステップ2:BIOS/UEFI設定画面へ入る
PCを再起動し、メーカーロゴが表示された瞬間に指定されたキー(画面に「Press `F2` to enter setup」などと表示されます。一般的に`F2`, `F10`, `Delete`キーが多いです)を連打し、BIOS/UEFIの設定画面に入ります。
ステップ3:BIOS/UEFIでストレージが認識されているか確認する
BIOS/UEFIのメイン画面や「Boot」「Storage」といったメニューの中に、お客様のPCに搭載されているSSDやHDDのモデル名が表示されているかを確認します。もしここに何も表示されていないのであれば、残念ながらストレージが物理的に故障したか、あるいはマザーボードとの接続が緩んでいる可能性が極めて高いです。この場合は修理が必要となります。
ステップ4:起動順序(Boot Order)を正しく設定する
ストレージが正常に認識されていることを確認したら、「Boot」や「Boot Priority」といったメニューを探します。ここには、PCがOSを探しに行くデバイスの「順番」がリストされています。このリストの一番目(1st Boot Device)が、「**Windows Boot Manager**」あるいはSSD/HDDのモデル名になっていることを確認してください。もしUSB DriveやNetworkなどが一番になっていたら、それを正しい起動ディスクへと変更し、`F10`キーで設定を保存して再起動します。
ステップ5(最終手段):BIOS/UEFIの初期化
これまでの手順でも解決しない場合、BIOS/UEFIの設定自体が何らかの理由で不安定になっている可能性もあります。BIOS/UEFIのメニューの中に、「Load Setup Defaults」「Load Optimized Defaults」といった工場出荷時の設定に戻す項目があるはずです。これを実行し、設定を保存して再起動してみてください。
まとめ:OS起動前のトラブルは、まず「BIOS/UEFI」との対話から
メーカーロゴから先に進まないというPCの沈黙は、私たちを大きな不安に陥れます。しかし、その沈黙の意味を正しく理解し、PCの最も根源的な制御プログラムである「BIOS/UEFI」と対話する術を知っていれば、多くの問題は自力で解決することが可能です。
- 問題のステージを見極める:** BIOS/UEFIに入れるか否か。それがソフトウェア的な問題かハードウェア的な問題かを切り分ける最初の分岐点。
- まず身軽になる: 不要なUSB機器は全て取り外す。PCの勘違いを防ぐための基本中の基本。
- BIOS/UEFIで「生存確認」を行う: 起動ディスクであるSSDやHDDがそもそもBIOS/UEFIに認識されているか。これが最も重要な健康診断。
- 「起動順序」という名の住所録を正す: PCがOSを探しに行く最初の訪問先が正しい場所になっているか確認・修正する。
- 最後の頼みは「初期化」: BIOS/UEFIの設定を工場出荷状態に戻すことで、設定の混乱から脱出する。
もしこれらの全ての手順を試してもなおPCが沈黙を続けるのであれば、それはより深刻なハードウェアの問題である可能性が高いです。その際は決して一人で悩まず、私たちPC STOREのようなプロの診断と修理を頼ってください。
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