
Windowsの“hostsファイル”はどこにある?場所の特定から、管理者権限で編集・保存できない時の対処法までを完全図解
Windowsのお役立ち情報

記事の最終更新日:2025年9月29日
ピー太さん、Web開発の勉強をしていたら、「hostsファイルを編集してローカル環境のテストをします」みたいな手順が出てきたんです。でも、この「hostsファイル」がパソコンのどこにあるのか、全く見つけられなくて…。
それにネットで調べたら「システムの重要なファイルだから、触らない方がいい」みたいな怖いことも書かれていました。やっとの思いでファイルを見つけてメモ帳で開いて編集してみたのですが、今度は「アクセスが拒否されました」と表示されて上書き保存ができないんです!
この頑固な門番みたいなファイルを、安全にそして確実に編集するための正しい作法を教えてください。
スト子さん、お客様は今、インターネットの「裏口」の鍵を手にしようとしていますね。素晴らしい探求心です。その「**hosts(ホスツ)ファイル**」は、例えるならあなたのPCだけが持つ秘密の「**住所録**」のようなもの。
全世界のPCが参照する公式な住所録(DNSサーバー)を無視して、「`google.com`という名前の家は実はここにあるんだよ」とPCに強制的に思い込ませることができる強力なファイルです。
そして、それが保存できないのは、この住所録がWindowsという国の「最重要保護区」に厳重に保管されているからです。その扉を開けるためには、私たちも「**管理者(Administrator)**」という最高の権限を持つ特別な「鍵」を使って入る必要があるのです。
この記事では、その秘密の住所録の正確な場所から、管理者として安全に扉を開けるための正しい手順、そしてあなたのPCライフを劇的に便利にする10の活用例まで、その全ての知識を授けます。
hostsファイルの哲学:それは、インターネットの「絶対的な地図」に逆らう唯一の手段である
私たちがWebブラウザのアドレスバーに「`www.google.com`」と入力した時、PCはまずDNS(ドメインネームシステム)サーバーというインターネット上の巨大な「住所録」に、「`google.com`さんのIPアドレス(インターネット上の本当の住所)は何番地ですか?」と問い合わせます。このDNSの仕組みこそが、現代のインターネットを支える根幹です。
しかし実は、PCはこの巨大な住所録に問い合わせる「前」に、必ず参照するもう一つの小さな住所録を自分自身の中に持っています。それこそが、「**hostsファイル**」です。PCはまずこの手元のhostsファイルを開き、「`google.com`という名前の記載はあるか?」と確認します。もしここに「`127.0.0.1 www.google.com`」という記述があれば、PCはDNSへの問い合わせを**完全に中止**し、「なるほど、`google.com`は`127.0.0.1`(自分自身)にあるんだな」と納得し、そこにアクセスしようとします。
つまりhostsファイルを編集するという行為は、このインターネットの絶対的な地図に逆らい、あなただけの「ローカルルール」をPCに強制するという、神にも等しい力なのです。この力はWeb開発者にとってはテスト環境を構築するための必要不可欠なツールであり、一般ユーザーにとっては特定のウェブサイトへのアクセスをブロックするための最も原始的で最も強力な防壁ともなり得ます。
第一章:聖域への地図 - hostsファイルの正確な場所
hostsファイルはWindowsシステムの非常に深い階層に隠されています。その正確な住所は以下の通りです。
C:\Windows\System32\drivers\etc
この「`etc`」フォルダの中に、「`hosts`」という名前の拡張子のないファイルが存在します。ただしこのフォルダはシステムの保護領域であるため、通常の操作では見つけにくいかもしれません。最も簡単なアクセス方法は、エクスプローラーのアドレスバーに上記のパスを直接コピー&ペーストしてエンターキーを押すことです。
第二章:門番との対話 - 「管理者権限」で編集・保存する唯一の正しい手順
hostsファイルを見つけても、それを直接ダブルクリックしてメモ帳で開き、編集・保存しようとすると、必ず「アクセスが拒否されました」という門前払いに遭います。なぜなら、あなたはまだ「一般市民」の資格で聖域の書き換えを試みているからです。正しい手順は全く逆です。まず、お客様が「管理者」の資格を手に入れ、その権限で門を開け、そして中にあるファイルを編集するのです。
-
ステップ1:メモ帳を「管理者として実行」する
Windowsのスタートメニューを開き、「メモ帳」と入力します。表示された「メモ帳」アプリを右クリックし、「**管理者として実行**」を選択します。ユーザーアカウント制御(UAC)のプロンプトが表示されたら、「はい」をクリックします。 -
ステップ2:管理者権限のメモ帳からhostsファイルを開く
管理者として起動したメモ帳のウィンドウで、「ファイル」>「開く」を選択します。ファイル選択ダイアログが表示されたら、右下のファイルの種類を「テキスト文書 (*.txt)」から「**すべてのファイル (*.*)**」に変更します。 -
ステップ3:hostsファイルの場所へ移動し開く
`C:\Windows\System32\drivers\etc` へと移動し、「`hosts`」ファイルを選択して開きます。 -
ステップ4:編集と上書き保存
これで、お客様は聖域のファイルを編集する資格を得ました。ファイルの末尾に必要な記述を追加し、`Ctrl + S`キーで通常通り「上書き保存」してください。今度は何事もなく正常に保存できるはずです。
この「**先にアプリを管理者権限で起動し、そこからファイルを開く**」という手順こそが、Windowsの保護されたシステムファイルを編集するための全ての基本となる作法なのです。
第三章:知って得する10の活用例 - あなたのインターネットをカスタマイズする
hostsファイルの編集能力を手に入れたあなたに、その力を活用するための10の具体的なシナリオを紹介します。全ての基本は「`IPアドレス (半角スペース) ドメイン名`」という書式です。
-
特定のSNSサイトをブロックして作業に集中する
127.0.0.1 www.twitter.com
127.0.0.1 www.facebook.com`127.0.0.1`は常に「自分自身」を指す特別なIPアドレスです。これにより、これらのサイトへのアクセスは自分自身へとループし、結果としてサイトが表示されなくなります。
-
悪質な広告配信サーバーをブロックする
既知の広告サーバーのドメインを`127.0.0.1`に向けることで、簡易的な広告ブロッカーとして機能します。 -
Web開発でローカルサーバーにドメイン名を割り当てる
127.0.0.1 my-local-dev.com
これにより、`http://localhost/`ではなく`http://my-local-dev.com/`という本番環境に近いURLで開発中のサイトをテストできます。
-
Webサイトのサーバー移転前に新しいサーバーでの表示を確認する
新しいサーバーのIPアドレスとドメイン名をhostsファイルに記述すれば、DNSが切り替わる前にあなただけ新しいサーバーの内容をプレビューできます。 -
社内ネットワークの機器(NASなど)に覚えやすい名前を付ける
192.168.1.10 mynas
ブラウザで「`mynas`」と入力するだけでNASの管理画面にアクセスできるようになります。
-
マルウェアやトラッキングサイトへの接続を遮断する
セキュリティコミュニティが公開している悪意のあるドメインのリストをhostsファイルに追加することで、PCの防御力を高めます。 -
子供のPCで不適切なサイトへのアクセスを制限する
ペアレンタルコントロールの補助として特定のドメインをブロックします。 - 古いソフトウェアのライセンス認証サーバーへの接続を意図的に失敗させる(上級者向け)
- ネットワークテストのために特定のサイトへの接続を擬似的に失敗させる
- 自分だけの「ジョーク」を仕込む(例:友人のPCで`google.com`を`yahoo.co.jp`のIPアドレスに向けるなど。悪用厳禁です。)
第四章:変更の反映 - DNSキャッシュの浄化
hostsファイルを編集・保存しても、すぐに変更が反映されないことがあります。なぜなら、Windowsは一度問い合わせたDNSの結果を一時的に「**DNSキャッシュ**」としてPC内部に記憶しているからです。この古いキャッシュを強制的に消去し、PCに改めてhostsファイルを読み直させるためのコマンドがあります。管理者権限のコマンドプロンプトで以下のコマンドを実行してください。
ipconfig /flushdns
「DNSリゾルバーキャッシュは正常にフラッシュされました」と表示されれば完了です。
まとめ:hostsファイルは、あなたの「インターネットへの接続」を支配するための鍵である
Windowsのhostsファイルは、一見地味で古めかしいテキストファイルに過ぎません。しかし、その内部にはお客様のPCのインターネットとの関わり方を根底からコントロールする強大な力が眠っています。その力を安全に解き放つための最後のチェックリストです。
- 「管理者として実行」が全ての扉を開く: hostsファイルを編集する際は、まず「メモ帳」を管理者として起動し、そこからファイルを開く。この手順こそが絶対の作法である。
- 聖域の住所を覚える: `C:\Windows\System32\drivers\etc`。このパスが全ての冒険の始まりの場所。
- `127.0.0.1`は最強のブラックホール: アクセスをブロックしたいサイトは全て、この自己ループのアドレスへと送り込む。
- 変更後は「`ipconfig /flushdns`」で浄化する: 古いDNSキャッシュを洗い流し、あなたの新しいルールを即座に適用させるための最後の一押し。
この知識を手に入れたお客様は、もはやインターネットから一方的に情報を受け取るだけの存在ではありません。どのサイトと繋がり、どのサイトと繋がらないのか。その接続のルールをあなた自身の手で定義する「ゲートキーパー」なのです。
パソコン購入のためのお役立ち情報
パソコン選びがよく分からない方、ご不安のある方、悩む前に!お気軽にご相談ください!
専門スタッフが、性能・ご予算・お好みなどご希望に合ったパソコンをお探しします!







