
【Windows/Mac対応】ノートパソコンを閉じたままスリープさせない設定方法|外部モニター利用時やダウンロード中に電源をONにし続ける技
ノートパソコンのお役立ち情報

記事の最終更新日:2025年10月10日
ピー太さん、在宅勤務でノートパソコンに大きな外部モニターを繋いで使っているんです。机のスペースを有効活用したいのでノートPC本体は閉じて立てて置いておきたいのですが、蓋を閉じた瞬間にPCがスリープしてしまって外部モニターも真っ暗になってしまいます。
それに、大容量のファイルをダウンロードしている最中に蓋を閉じて席を離れたい時もあるのですが、スリープするとダウンロードが止まってしまって困ります。ノートパソコンを閉じたままデスクトップPCのように使い続ける、魔法のような設定はないのでしょうか?
その「魔法」、もちろん存在しますよ。専門家の間ではその使い方を「**クラムシェルモード**」と呼んだりします。ノートパソコンが蓋を閉じると自動でスリープするのは、バッグの中での誤作動や熱暴走を防ぐための賢明な「自己防衛本能」なのです。
しかし、私たちがこれから行うのは、その本能を一時的に無効化し、「今は安全なデスクトップ環境にいるから、眠らずに働き続けても大丈夫だ」とPCに教えてあげる簡単な「しつけ」です。そのしつけの方法はWindowsとMacで少し異なります。
この記事では、両方のOSでその設定を安全に行うための完全な手順と、その際に絶対に注意すべき「熱対策」のプロの知恵まで徹底的に解説していきます。
クラムシェルモードの哲学:それは、ノートPCを「携帯端末」から「デスクトップの頭脳」へと変身させる儀式である
ノートパソコンの最大の魅力はその「携帯性」にあります。そして、蓋を閉じるとスリープするという機能は、その携帯性を支える極めて重要な安全装置です。しかし、ひとたび私たちが自宅やオフィスのデスクに腰を落ち着け、ノートパソコンを外部モニターや本格的なキーボード、マウスに接続した瞬間、そのノートパソコンの役割は変化します。
もはや、それ自体が主役の「携帯端末」ではありません。それは、より広大で快適なデスクトップ環境を制御するためのパワフルな「**頭脳(CPU)**」へと、その役割を変えるのです。この時、PC本体のディスプレイやキーボードはもはや不要です。蓋を閉じて机の隅に美しく設置し、省スペースでミニマルなワークスペースを構築したいと願うのは当然の欲求です。
「クラムシェルモード」とは、このノートパソコンの役割の変化(モードチェンジ)をOSに正しく認識させ、その自己防衛本能(スリープ機能)を安全にそして意図的に無効化するための設定、あるいは状態のことを指します。この儀式をマスターすることで、あなたのノートPCは携帯端末とデスクトップの頭脳という2つの顔を自在に使い分ける、真のハイブリッドな相棒へと進化するのです。
第一章:Windows編 - 電源オプションの奥義
Windowsでは、この設定をコントロールパネルの「電源オプション」から明確に変更することができます。
ステップ1:「電源オプション」へのアクセス
Windowsの検索ボックスに「コントロールパネル」と入力して起動します。表示方法が「カテゴリ」になっている場合は、「ハードウェアとサウンド」>「電源オプション」と進みます。表示方法が「アイコン」の場合は、直接「電源オプション」をクリックします。
ステップ2:「カバーを閉じたときの動作の選択」
電源オプションの画面の左側にあるメニューから、「**カバーを閉じたときの動作の選択**」をクリックします。
ステップ3:「何もしない」への変更
「電源ボタンとカバーの設定」という画面が表示されます。その中の「**カバーを閉じたときの動作**」という項目に注目してください。ここには「バッテリー駆動」の時と「**電源に接続**」の時の2つのシナリオがあります。私たちが変更したいのはACアダプターを接続したデスクトップ環境での利用ですので、「**電源に接続**」の列のドロップダウンメニューをクリックし、現在の「スリープ状態」から「**何もしない**」へと変更します。
最後に「変更の保存」をクリックすれば設定は完了です。これで、お客様のWindowsノートPCはACアダプターに接続されている限り、蓋を閉じてもスリープすることなく力強く働き続けます。
第二章:Mac編 - 3つの「条件」が揃う時、魔法は自動でかかる
一方、Macの場合はWindowsのようにユーザーが直接設定を変更するスイッチはありません。Macにおけるクラムシェルモードは、特定の「**3つの条件**」が全て満たされた時にのみ**自動的に発動する**特別な状態なのです。その魔法の発動条件とは、以下の3つです。
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条件①:MacBookが「電源アダプタ」に接続されていること
これが最も重要な条件です。バッテリー駆動の状態では蓋を閉じれば必ずスリープします。 -
条件②:「外部ディスプレイ」が接続され、認識されていること
HDMIやThunderbolt/USB-C経由で外部モニターが接続されている必要があります。 -
条件③:「外部キーボード」および/または「外部マウス(トラックパッド)」が接続されていること
USB(有線)でもBluetooth(無線)でも構いません。蓋を閉じてしまうと本体のキーボードとトラックパッドが使えなくなるため、外部からの入力装置が必須となります。
この3つの神器が全て揃った状態でお客様がMacBookの蓋を閉じると、macOSは「ああ、今はデスクトップとして使われようとしているのだな」と自動的に判断し、スリープすることなく外部ディスプレイをメインの画面として動作を継続します。もしMacでクラムシェルモードがうまく機能しない場合、この3つの条件のいずれかが満たされていない可能性が極めて高いです。特に電源アダプタの接続忘れは、最もありがちな原因です。
第三章:最も重要な警告 - 「熱」という静かなる敵との戦い
クラムシェルモードは非常に便利ですが、一つの重大なリスクを内包しています。それが「**熱暴走**」の問題です。多くのノートパソコンはCPUなどの熱を逃がすために、底面や背面の排気口だけでなく、**キーボードの隙間**や**ディスプレイのヒンジ(蝶番)部分**からも排熱を行うように設計されています。
蓋を閉じた状態でPCに高い負荷(例えば動画のエンコードやゲームなど)をかけ続けると、これらの重要な排熱経路が塞がれPC内部に熱がこもり、パフォーマンスの低下や部品の寿命を縮める原因となりかねません。
【プロの推奨】クラムシェルモードを常用するなら、「**縦置きのノートパソコンスタンド**」の導入を強く推奨します。
縦置きスタンドはPCを垂直に立てることで本体の両面が空気に触れる面積を最大化し、最も効率的な冷却を促します。また、デスク上のスペースをさらに節約できるという美的なメリットもあります。Webブラウジングや文書作成といった軽作業であれば大きな問題にはなりませんが、長時間高い負荷をかける作業を行う際は、この「熱対策」を決して忘れないでください。
まとめ:クラムシェルモードは、あなたの「デスク」と「働き方」を解放する
ノートパソコンを閉じたままスリープさせないというシンプルな設定。それは、お客様のデスクから余分なディスプレイを一枚消し去り、より広く集中できるワークスペースを生み出します。そして、あなたの働き方をより柔軟でハイブリッドなものへと進化させるための重要な一歩です。
- Windowsは「宣言」する: 「電源オプション」で、「カバーを閉じたときの動作」を「何もしない」に自らの手で設定する。
- Macは「条件」を満たす: 「電源」「外部モニター」「外部入力装置」。この三種の神器が揃った時、魔法は自動で発動する。
- 「熱」という敵を忘れない: 閉じた状態での高負荷作業は熱暴走のリスクを伴う。縦置きスタンドがあなたのPCの健康を守る。
- バッテリー駆動時はデフォルトに戻す: 「何もしない」設定はあくまで「電源接続時」のみに限定する。バッテリー駆動時にこの設定を行うと、バッグの中でPCが起動し続け、灼熱地獄となる。
この知識を手に入れたお客様は、もはや一台のノートパソコンで外出先での機動力と自宅でのデスクトップ級の快適さを完璧に両立させることができる、真のパワーユーザーです。
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