
【パワポの裏ワザ】プレゼン資料に“縦向きスライド”を混在させる方法|横向き資料に縦長の表やグラフを差し込むテクニック
Officeのお役立ち情報

記事の最終更新日:2025年9月29日
ピー太さん、PowerPointですごく困っていることがあるんです。プレゼン資料は基本的に全部横向きのスライドで作っているのですが、一箇所だけどうしても縦長の大きな表を入れたくて…。
その表のページだけWordみたいに「縦向き」にできたら最高なのですが、設定を探してもどこにも見当たりません。PowerPointでは、横向きと縦向きのスライドを一つのプレゼンテーションに混在させることは不可能なのでしょうか?
スト子さん、お客様はPowerPointというアプリの最も古く、そして最も根源的な「限界」に直面しましたね。おっしゃる通り、**単一のプレゼンテーションファイル(.pptx)の中に横向きと縦向きのスライドを混在させることは、残念ながら不可能**なのです。
しかし、諦めるのはまだ早いです。私たちプロのプレゼンターは、この鉄の掟を回避するための、ある「魔法のトリック」を知っています。
それは、2つのプレゼンテーション(横向き用と縦向き用)を用意し、それらを「**ハイパーリンク**」という秘密の通路で繋ぐことで、あたかも一つのプレゼンテーションであるかのように聴衆の目を欺く、というエレガントな裏ワザです。この記事では、そのプロが実践する魔法の全手順を徹底的に解説します。
パワポの哲学:それは「一つのファイル」に「一つの向き」という絶対の掟
PowerPointは、その誕生の歴史的背景から、物理的な「スライドフィルム」をスクリーンに投影するという考え方をデジタルで再現するという設計思想に基づいています。一つのスライドトレイには同じ向きのフィルムしか入れられないように、PowerPointも一つのファイル(`.pptx`)の中では全てのスライドが同じ向き(方向)であることを大前提としています。
Wordがページごとに縦横を混在させられるのは、それが印刷物としての「紙」をシミュレートしているからです。この根本的な思想の違いが、PowerPointにおける縦横混在の制限を生み出しているのです。
したがって、私たちがこれから行うのは、このシステムの掟に逆らうことではありません。そうではなく、掟を尊重しつつ、その外側で2つの異なる「世界(プレゼンテーションファイル)」を作り出し、それらの間を聴衆に気づかれないほどスムーズに行き来する「異世界転移」の魔法を使うのです。このトリックをマスターすれば、お客様のプレゼンテーションの表現の幅は大きく広がります。
第一章:準備 - 「横向きの世界」と「縦向きの世界」を創造する
魔法をかけるための最初のステップは、2つの異なるプレゼンテーションファイルを用意することです。この時、**2つのファイルを必ず同じフォルダ内に保存する**ことが、後のリンク切れを防ぐための重要なおまじないとなります。
① メインとなる「横向き」のプレゼンテーション
これは、お客様がすでに作成しているメインのプレゼンテーションファイルです。(例:`メインプレゼン.pptx`)
② 別紙となる「縦向き」のプレゼンテーション
次に、縦長の表やグラフを挿入するための別紙となるプレゼンテーションを新規に作成します。
- PowerPointで「新しいプレゼンテーション」を作成します。
- 「デザイン」タブ > 「スライドのサイズ」>「ユーザー設定のスライドのサイズ」を選択します。
- 表示されたダイアログで、「印刷の向き」の「スライド」を「**縦**」に変更し、「OK」をクリックします。
- この縦向きのスライドに、表示させたい縦長の表やグラフなどを作成します。
- 作成が完了したら、メインのプレゼンと同じフォルダ内に分かりやすい名前を付けて保存します。(例:`別紙資料_縦.pptx`)
これで2つの世界の準備は整いました。次なるステップは、これらの世界を繋ぐ「ワープゲート」を設置することです。
第二章:魔法の発動 - 「アクション設定」で二つの世界を繋ぐ
2つのプレゼンテーションをシームレスに行き来するための鍵。それが、「**アクション設定**」によるハイパーリンクです。
往路:横向きの世界から縦向きの世界へ
まず、メインの横向きプレゼンから縦向きの別紙資料へとジャンプするためのリンクを設定します。
- メインのプレゼンテーション(`メインプレゼン.pptx`)の中で、縦向きスライドを挿入したいページの一つ前のページを開きます。
- 「挿入」タブ > 「図形」などから、クリック可能なオブジェクト(例えば「詳細データはこちら」と書かれたテキストボックスや矢印の図形など)をスライド上に配置します。
- そのオブジェクトを選択した状態で、「挿入」タブ > 「**アクション**」をクリックします。
- 「アクション設定」ダイアログが開いたら、「ハイパーリンク」のラジオボタンを選択し、ドロップダウンメニューから「**他のPowerPointプレゼンテーション...**」を選びます。
- ファイル選択ダイアログが表示されるので、先ほど作成した縦向きのプレゼンテーションファイル(`別紙資料_縦.pptx`)を選択します。
- すると、その縦向きプレゼン内のスライドが一覧表示されるので、ジャンプしたいスライドを選択し、「OK」をクリックします。
これで、横向きの世界から縦向きの世界への「ワープゲート」が完成しました。
復路:縦向きの世界から横向きの世界へ
次に、縦向きの資料の説明が終わった後、スムーズに元のプレゼンに戻ってくるための「帰還用のゲート」を設置します。手順は全く同じです。
- 縦向きのプレゼンテーション(`別紙資料_縦.pptx`)を開きます。
- スライドの隅など分かりやすい場所に、「戻る」ボタンとして機能する図形やテキストを配置します。
- そのオブジェクトを選択し、「挿入」タブ > 「**アクション**」を設定します。
- ハイパーリンク先に「他のPowerPointプレゼンテーション...」を選び、今度はメインのプレゼンテーションファイル(`メインプレゼン.pptx`)を選択します。
- ジャンプ先のスライドとして、メインのプレゼンの「続き」となるスライド(往路のゲートを設置したスライドの次のスライド)を指定します。
これで、2つの世界を自由自在に行き来するための完璧なワープシステムが完成しました。スライドショーを実行し、お客様が設置したゲートをクリックしてみてください。PowerPointは瞬時にもう一方のファイルへと切り替わり、そしてまた元へと戻ってくるはずです。聴衆の目には、それがあたかも一つのプレゼンテーション内の自然なページ遷移であるかのように映るでしょう。
まとめ:PowerPointの限界は、あなたの「発想」で超えられる
PowerPointにおけるスライドの向きの混在は、アプリケーションの設計思想に根ざした根源的な制約です。しかしその制約は、私たちユーザーの少しの工夫と柔軟な「発想の転換」によってエレガントに乗り越えることができます。
- 掟を知る: 「一つのファイルに一つの向き」。これがPowerPointの絶対的なルールであると、まず理解する。
- 世界を二つ創る: 横向きの「メイン宇宙」と縦向きの「パラレル宇宙」。2つのプレゼンテーションファイルを同じフォルダに用意する。
- 「アクション」で時空を繋ぐ: 「挿入」タブの「アクション設定」こそが、2つの宇宙を結ぶワープゲートを創造する魔法である。
- 「往路」と「復路」を設計する: メインから別紙へ、そして別紙からメインの続きへと。スムーズな旅のための往復切符を忘れずに用意する。
縦長のデータを無理やり横長のスライドに押し込んだり、小さな文字で可読性を犠牲にしたりする必要はもうありません。お客様の伝えたい情報にとって最も最適なキャンバスの形を、あなた自身の手で自由にデザインしてください。その小さな裏ワザが、あなたのプレゼンテーションの説得力と美しさを新たな次元へと導くのです。
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