
【法人・個人事業主向け】ノートパソコンは購入vsリースどっちが得?メリット・デメリットと経費処理の違いを税理士がわかりやすく解説
ノートパソコンのお役立ち情報

記事の最終更新日:2025年8月28日
最近、小さな会社を立ち上げたんです。従業員用のノートパソコンを何台か用意しなければならないのですが、全てを「購入」するべきか、それとも「リース」にするべきか判断に迷っています。
リースは初期費用が安く済むのが魅力ですが、長期的に見ると割高になるという話も聞きます。一番よく分からないのが経費の扱いです。購入した場合とリースの場合とで、会計上の処理や税金面にどのような違いがあるのでしょうか?
私たちのようなスタートアップ企業にとって、どちらが本当に「お得」で賢い選択なのか、専門家の視点から教えてください。
ご起業おめでとうございます。そして、その問いこそ企業の成長戦略と財務戦略の核心に関わる、全ての経営者が直面する重要な意思決定です。
「購入か、リースか」という選択は、単なる調達方法の違いではありません。それは、PCという「資産」を自社で「**所有**」しその管理責任まで負うのか、それともPCを単なる「サービス」として「**利用**」し管理業務をアウトソースするのか、という根本的な「**経営戦略**」の選択なのです。
そしておっしゃる通り、その選択は貴社のキャッシュフローと会計処理に大きな影響を与えます。この記事では、PCの専門家、そして財務の専門家の両方の視点から、その2つの選択肢をコスト、資産管理、会計処理、そして柔軟性という4つの重要な観点で徹底的に比較・分析します。貴社の成長ステージに最適な選択を下すための、完全な判断材料を提供しましょう。
購入 vs リースの哲学:それは「資産への投資」か、それとも「経費での利用」か
法人や個人事業主が事業用のノートパソコンを導入する際、その選択肢は大きく分けて「購入」と「リース」の2つがあります。この2つの選択肢の本質的な違いは、会社の資金繰り(キャッシュフロー)と会計上の扱いに集約されます。
【購入:資産への投資】
PCを「購入」するということは、そのPCを自社の「資産」として所有することを意味します。最初にまとまった資金が必要となりますが、そのPCは完全にあなたの会社のものです。会計上は原則として固定資産として計上し、数年かけて減価償却(※資産の価値の減少を年々費用として計上していく会計手続き)を行っていくことになります。
【リース:経費での利用】
一方「リース」は、PCを「所有」するのではなく、月々のリース料を支払うことで一定期間そのPCを「利用する権利」を得るという契約です。初期費用を大幅に抑えられ、月々の支払いはそのまま経費として処理できるため、キャッシュフローの管理が容易になります。PCの所有権はリース会社にあるため、資産として計上する必要も減価償却の手間もありません。
これは単なる支払い方法の違いではなく、PCという道具に対する企業の根本的な関わり方の選択であり、それぞれのメリット・デメリットを深く理解することが賢明な経営判断の鍵となるのです。
第一章:4つの観点から徹底比較 - 購入 vs リース
それでは、具体的な4つの比較軸に沿って両者の違いを詳細に見ていきましょう。
① コスト:初期費用 vs 総所有コスト(TCO)
【購入】
最初にPCの購入代金という、まとまったキャッシュアウトが発生します。しかし一度購入すれば、その後の月々の支払いはありません。もしそのPCを4年、5年と長く使い続けるのであれば、トータルの**総所有コスト(TCO: Total Cost of Ownership)**はリースに比べて安くなる傾向があります。
【リース】
最大の魅力は、この初期費用を劇的に抑えられることです。月々のリース料は経費として計上できますが、契約期間(通常3~5年)の支払い総額は一般的にPCの購入価格よりも割高になります。これはリース料の中に金利や固定資産税、保険料、そしてリース会社の利益が含まれているためです。
② 資産管理とライフサイクルマネジメント
【購入】
PCの管理に関する全ての責任は自社にあります。PCの初期設定(キッティング)、ソフトウェアのインストール、日々のメンテナンス、故障時の修理手配、そして数年後の廃棄・リサイクルとデータ消去。これらの全ての管理業務を自社のIT担当者や総務担当者が行う必要があります。
【リース】
これらの面倒な資産管理業務のほとんどをアウトソースできるのが、リースの大きなメリットです。リース会社によっては業務に必要な設定を済ませた状態でPCを納品してくれたり、故障時の代替機提供サービスが含まれていたりします。そして契約期間が満了すれば、リース会社がPCを回収し、責任を持ってデータ消去とリサイクルを行ってくれます。これにより、情報システム部門の負担を大幅に軽減できます。
③ 会計処理と経費化の違い(税理士視点)
ここが最も専門的で重要なポイントです。
【購入の場合】
経費として計上する方法が、PCの取得価格によって異なります。
- 10万円未満: 全額をその期の「消耗品費」として一括で経費にできます。
- 10万円以上~20万円未満: 「一括償却資産」として3年間で均等に分割して経費にできます。
- 20万円以上: 原則として「固定資産」として資産台帳に計上し、法定耐用年数(PCの場合は4年)にわたって毎年減価償却を行い費用化していきます。(※中小企業の場合は30万円未満まで一括損金にできる特例もあります)
【リースの場合(オペレーティング・リース)】
会計処理は極めてシンプルです。毎月支払うリース料の全額をそのまま「賃借料」や「リース料」といった勘定科目で経費として計上するだけです。固定資産として管理する必要も、複雑な減価償却計算も不要なため、経理業務が大幅に簡素化されます。
④ 柔軟性と所有権
【購入】
PCは完全に自社の所有物であるため、その扱いは完全に自由です。メモリを増設したり、SSDを大容量のものに換装したりといったアップグレードも自由自在です。
【リース】
PCの所有権はリース会社にあります。したがって、勝手にPCを分解・改造することは原則として禁止されています。また、契約期間の途中で解約することは通常できず、もし解約する場合は高額な違約金が発生します。
第二章:最終結論 - あなたの会社のステージが答えを決める
これまでの分析を踏まえ、どのような企業がどちらの選択肢に向いているのか、具体的なケーススタディを見ていきましょう。
「リース」が最適な企業
- スタートアップ・急成長企業: 手元の貴重な現金を事業の成長投資に集中させたい企業。初期費用を抑えキャッシュフローを安定させることが何よりも重要です。また、従業員の増減に合わせてPCの台数を柔軟に調整したいというニーズにもリースは適しています。
- 大企業・IT管理部門が多忙な企業: 数百台、数千台という規模のPCを管理する場合、キッティングから廃棄までのライフサイクル管理の手間は膨大です。リースを活用しこれらの管理業務をアウトソースすることで、IT部門はより戦略的な業務に集中できます。
「購入」が最適な企業
- 個人事業主・安定した中小企業: 長期的に見れば総所有コストが安くなる購入は、安定したキャッシュフローを持つ企業にとって合理的な選択です。特に従業員の入れ替えが少なく、一台のPCを長く大切に使う文化の企業に向いています。
- 高いカスタマイズ性を求める専門職: 動画編集者、デザイナー、開発者など、業務内容に合わせてメモリの増設や特殊なソフトウェアのインストールが必須となる専門職は、所有権があり自由なカスタマイズが可能な購入が適しています。
- 中古PCという選択肢: 私たちPC STOREが提供するような高品質な中古ビジネスPCを購入すれば、初期費用を大幅に抑えつつ、資産としてPCを所有するという両方のメリットを享受することも可能です。
まとめ:PCの導入は、企業の「財務」と「業務」を映し出す鏡である
PCを購入するかリースするか。その選択は、お客様の会社の現在の財務状況、将来の成長戦略、そしてIT資産に対する管理哲学そのものを映し出す重要な経営判断です。その判断を下すための、最終的な思考のフレームワークです。
- キャッシュフローを最優先するなら「リース」: 手元の現金を温存し、事業の成長に投資したいスタートアップにとって、初期費用ゼロは何物にも代えがたい魅力である。
- 総所有コストを最優先するなら「購入」: 3年以上同じPCを使い続けるなら、購入の方が支払総額は安くなる。長期的な視点でのコスト削減を目指す。
- 管理の手間をなくしたいなら「リース」: PCの選定から設定、保守、廃棄まで、面倒な資産管理業務を全てアウトソースし本来のコア業務に集中する。
- 自由なカスタマイズが必要なら「購入」: メモリ増設や特殊なソフトウェアの利用など、自社の業務に合わせてPCを最適化する必要があるなら、所有権を持つ購入が唯一の選択肢となる。
- 会計処理のシンプルさを求めるなら「リース」: 毎月の費用をそのまま経費として計上できるリースの会計上のシンプルさは、経理部門の負担を大きく軽減する。
どちらの選択肢にも一長一短があります。最も重要なのは、これらの違いを深く理解し、お客様の会社の現在のステージと未来のビジョンに最も合致した戦略的な決断を下すことなのです。

パソコン購入のためのお役立ち情報
パソコン選びがよく分からない方、ご不安のある方、悩む前に!お気軽にご相談ください!
専門スタッフが、性能・ご予算・お好みなどご希望に合ったパソコンをお探しします!
