
Windows 11のセキュリティ設定:絶対に押さえておくべきポイント
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この記事の最終更新日:2025年7月1日

新しいWindows 11のパソコンを使い始めたんですけど、セキュリティのことが少し心配で…。
「Windows セキュリティ」っていう画面を開いてみても、項目がたくさんあって、何がどうなっているのが「安全」な状態なのか、よく分からないんです。
ウイルス対策ソフトを入れれば、それで十分なのでしょうか?

その疑問、新しいPCを使い始める上で、最も大切な視点ですよ。
ご安心ください。
2025年現在のWindows 11は、それ単体で、非常に強力で多層的なセキュリティ機能を標準で備えています。
多くの場合、サードパーティ製のウイルス対策ソフトを追加しなくても、設定を正しく確認・強化するだけで、あなたのPCを鉄壁の要塞にすることができるんです。
今日は、Windows 11が持つセキュリティの考え方の基本から、プロが必ずチェックする具体的な設定項目、そしてあなた自身を守るための最終的な防衛ラインまで、日本一詳しく、そして分かりやすく解説していきます。
この記事を読み終える頃には、あなたは自信を持って、ご自身のPCの安全を管理できるようになっていますよ。
【思想を理解する】Windows 11のセキュリティ哲学 - 「多層防御」という考え方
まず、現代のPCセキュリティを理解する上で、最も重要な考え方が「多層防御(Defense in Depth)」です。
これは、一つの防御策に頼るのではなく、何重にもわたる、性質の異なる防御壁を構築することで、たとえ一つの壁が突破されても、次の壁で脅威を食い止める、という軍事的な防衛思想に基づいています。
「ウイルス対策ソフト」だけでは不十分な時代
かつては、「ウイルス対策ソフトさえ入れておけば安心」という時代もありました。
しかし、年々巧妙化・凶悪化するサイバー攻撃は、もはや単一のソフトウェアだけで防ぎきれるものではありません。
Windows 11のセキュリティは、この現実を直視し、PCのハードウェア(物理的な部品)レベルから、ファームウェア(ハードウェアを制御する基本プログラム)、OS、アプリケーション、そしてクラウドに至るまで、あらゆる層で脅威を検知し、防御する、という壮大な設計になっています。
Secure-Core PC - ハードウェアから安全を組み込む
その思想を最も体現しているのが、「Secure-Core PCMicrosoftが提唱する、最高レベルのセキュリティ基準を満たしたWindows PCの仕様。ハードウェア、ファームウェア、OSの各レベルで、強固なセキュリティ機能が有効になっていることが保証されています。」という新しいPCのカテゴリです。
これは、後述するTPM 2.0やセキュアブートといった、ハードウェアに根差したセキュリティ機能を、製造段階から有効化することをメーカーに義務付けることで、OSが起動する以前の、最も無防備な段階からの攻撃を防ぎます。
あなたがこれから手にする新しいPCは、もはや単なる箱ではなく、最初から堅牢な要塞として設計されているのです。
【実践編】「Windows セキュリティ」アプリ徹底活用ガイド
それでは、あなたのPCのセキュリティ状態を診断し、設定を強化するための司令塔である「Windows セキュリティ」アプリの、各項目を一つずつ見ていきましょう。
「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「Windows セキュリティ」から開くことができます。
1. ウイルスと脅威の防止 - あなたのPCを守る最前線の歩兵部隊
これは、PCをマルウェアから守る、最も基本的な、そして最も重要な防御機能です。
【Microsoft Defender ウイルス対策】
Windowsに標準搭載されているこのウイルス対策ソフトは、もはや「おまけ」ではありません。
世界中のセキュリティ評価機関から、常に最高クラスの評価を獲得し続けている、極めて強力なアンチウイルスエンジンです。
「ウイルスと脅威の防止の設定」から、「リアルタイム保護」がオンになっていることを必ず確認してください。
これにより、ファイルのダウンロード時や実行時に、常にマルウェアがいないかを監視してくれます。
【ランサムウェアの防止 - データを人質にさせないための設定】
これは、多くの人が見逃している、しかし絶対に有効化しておくべき、非常に強力な機能です。
「ウイルスと脅威の防止」画面の下部にある「ランサムウェアの防止」から、「コントロールされたフォルダーアクセス」をオンにします。
これは、あなたの重要なフォルダ(「ドキュメント」や「ピクチャ」など)に対して、許可されていない未知のアプリケーションが、勝手にファイルを書き換えたり、暗号化したりするのを、OSレベルでブロックする機能です。
万が一、新型のランサムウェアコンピューターウイルスの一種。感染するとPC内のファイルが勝手に暗号化され、元に戻すことと引き換えに金銭(身代金)を要求されます。がPCに侵入しても、この機能が、あなたの大切なデータが人質に取られるのを、最後の砦となって防いでくれます。
2. アカウントの保護 - あなたの「デジタルID」を守る
ここでは、あなた自身のIDと、PCへのサインインを保護するための設定を確認します。
【Microsoft アカウント】
Windowsへのサインインには、強力でユニークなパスワードを設定した、あなたのMicrosoftアカウントを使用することが基本です。
【Windows Hello - パスワード不要の未来】
パスワードはそのものが漏洩するリスクを常に抱えています。
Windows Helloは、あなたの「身体」そのものを鍵にする、より安全で、より便利なサインイン方法です。
お使いのPCが対応していれば、指紋認証や、IRカメラによる顔認証を設定しましょう。
また、数字4桁以上の「PIN」も、実はパスワードより安全です。
なぜなら、PINはそのデバイスでしか有効でなく、TPMによってハードウェアに保護されているため、ネットワーク経由で盗まれる心配がないからです。
【動的ロック】
スマートフォンとPCをBluetoothでペアリングしておけば、あなたがスマートフォンを持ってPCから離れると、Windowsがそれを検知し、自動的にPCをロックしてくれる機能です。
オフィスなどでの、離席時のロック忘れを防ぎます。
3. ファイアウォールとネットワーク保護 - 不正な通信を遮断する「門番」
ファイアウォールは、インターネットとあなたのPCの間を行き来する、すべての通信を監視し、許可されていない不審な通信が、PCに侵入してくるのを防ぐ「門番」です。
Windows Defenderファイアウォールは、デフォルトで有効になっており、非常に優秀なため、通常は設定を変更する必要はありません。
この画面では、「ドメインネットワーク」「プライベートネットワーク」「パブリックネットワーク」の3種類すべてで、ファイアウォールが有効になっていることを確認するだけで十分です。
4. アプリとブラウザー コントロール - 危険なアプリやサイトからの防御
これは、ウイルスそのものではなく、ウイルスをPCに招き入れてしまう「入り口」を塞ぐための、重要な防御機能です。
【評価ベースの保護 (SmartScreen)】
「評価ベースの保護の設定」から、すべての項目がオンになっていることを確認してください。
これにより、Microsoft Defender SmartScreen機能が有効になります。
これは、あなたがWebサイトにアクセスしたり、ファイルをダウンロードしたりする際に、そのサイトやファイルが、過去にフィッシング詐欺やマルウェア配布に使われたという「悪い評判(レピュテーション)」がないかを、Microsoftの膨大なデータベースに瞬時に問い合わせ、危険な場合はアクセスをブロックしたり、警告を表示したりしてくれる機能です。
【Exploit Protection - ソフトウェアの脆弱性を突く攻撃からの保護】
これは上級者向けの機能ですが、Windowsのセキュリティの深さを示すものです。
ソフトウェアには、開発者も気づいていない「脆弱性」というセキュリティ上の穴が存在することがあります。
Exploit(エクスプロイト)攻撃とは、この穴を悪用して、PCを乗っ取る攻撃です。
Windows 11のExploit Protectionは、データ実行防止(DEP)や、アドレス空間配置のランダム化(ASLR)といった、様々な技術を駆使し、たとえソフトウェアに脆弱性があったとしても、それが致命的な攻撃に繋がるのを、OSレベルで緩和・阻止します。
5. デバイス セキュリティ - ハードウェアに根差した「究極の防御」
ここが、Windows 11のセキュリティが、以前のOSとは全く異なる、最も進化した部分です。
PCの心臓部であるハードウェアそのものを、セキュリティの基盤として活用します。
【コア分離とメモリ整合性】
これは、Windowsの最も重要な部分を、PC内の「仮想的なVIPルーム」に隔離して、マルウェアから完全に保護する技術です。
特に**「メモリ整合性」**をオンにすると、デバイスドライバーなどが、OSの根幹部分に不正なコードを注入しようとする、極めて高度な攻撃を防ぐことができます。
この機能を有効にするには、CPUの仮想化支援機能が必要であり、これがWindows 11のハードウェア要件が厳しい理由の一つでもあります。
【セキュリティプロセッサ (TPM) とセキュアブート】
TPM 2.0は、パスワードや暗号化キーを保管する「物理的な金庫」として機能します。
セキュアブートは、PCの起動時に、信頼できる正規のOSだけを読み込むようにする「検問所」の役割を果たします。
これらが有効になっていることで、Windows 11は、電源を入れた瞬間から、ハードウェアレベルで保護された、信頼できる状態で起動するのです。
【最後の砦】あなた自身が行うべき、最強のセキュリティ習慣
どんなに強力な技術的な防御も、私たちユーザー自身の「行動」が伴わなければ、完璧ではありません。
あなた自身が、PCを守るための「最後の砦」となるための、5つの重要な習慣を身につけましょう。
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1. Windows Updateを絶対に怠らない:
Microsoftは、毎月、新たに見つかった脆弱性を修正するための、セキュリティ更新プログラムを配信しています。
Windows Updateを常に最新の状態に保つことは、あなたのPCを安全に保つための、最も基本的で、最も重要な義務です。
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2. 強力でユニークなパスワードと二要素認証:
すべてのWebサービスで、同じパスワードを使い回すのは、すべての扉に同じ合鍵を使うようなものです。
1Passwordなどの**パスワードマネージャー**を導入し、サービスごとに、推測不可能な、ユニークなパスワードを生成・管理しましょう。
そして、利用できるすべてのサービスで、パスワードに加えたもう一つの認証要素を要求する**「二要素認証(2FA)」**を有効にしてください。
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3. フィッシング詐欺への警戒心:
「緊急」「当選」「警告」といった言葉で、あなたの不安や欲望を煽り、偽のWebサイトに誘導してパスワードを盗み出そうとする「フィッシング詐欺」の手口を学び、常に警戒心を持ってください。
メールやSMS内のリンクを、安易にクリックしない習慣が重要です。
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4. 信頼できないソフトウェアをインストールしない:
出所の不明なフリーソフトや、怪しげなWebサイトからダウンロードしたツールには、マルウェアが仕込まれている可能性が非常に高いです。
ソフトウェアは、必ず公式サイトや、Microsoft Storeといった、信頼できる場所からのみ入手してください。
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5. 定期的なデータのバックアップ:
これが、あらゆる脅威に対する、究極のセーフティネットです。
Windows標準の「ファイル履歴」機能や、OneDriveへのバックアップを設定し、あなたの大切なデータを、PC本体とは別の場所に、常に複製しておきましょう。
万が一、PCがランサムウェアに感染しても、あなたは身代金を支払うことなく、PCを初期化し、バックアップからデータを復元することで、被害を最小限に抑えることができるのです。
まとめ - Windows 11は、あなたと共に戦う「要塞」である
Windows 11のセキュリティ設定は、単なるオプションの集合体ではありません。
それは、ハードウェアの基盤から、OSの深部、そしてクラウドの知性までを結集した、現代のサイバー攻撃に対抗するための、統合的な「防衛システム」なのです。
- 1. 標準機能こそ最強:
2025年現在、Microsoft DefenderをはじめとするWindows 11の標準セキュリティ機能は、非常に強力です。
まずは、これらの機能を正しく理解し、すべて有効にすることから始めましょう。
- 2. 多層防御を意識する:
ウイルス対策だけでなく、ファイアウォール、デバイス暗号化、そしてハードウェアレベルの保護(コア分離など)まで、すべての層で防御壁を構築することが重要です。
- 3. 究極の防御は「あなた」:
技術的な防御を過信せず、パスワード管理や、フィッシング詐欺への警戒、そして定期的なバックアップといった、あなた自身の「賢い習慣」が、最後の、そして最強の砦となります。
この記事で解説したポイントを実践すれば、あなたの中古パソコンは、新品のPC以上に、安全で、堅牢な、あなただけの「要塞」へと生まれ変わります。
もし、あなたのPCのセキュリティ設定に少しでも不安がある、あるいは、プロの目線での「セキュリティ健康診断」を受けてみたい、という場合は、いつでもお気軽に、私たちにご相談ください。
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