Macを初期化(クリーンインストール)する方法|売る時・不調な時のための完全ガイド【2025年】
MacOSのお役立ち情報
記事の最終更新日:2025年7月10日
最近、愛用しているMacBookの動作が少し不安定になってきたんです。
そろそろ売却して新しいモデルに買い替えようかとも考えています。
友人から「Macの調子が悪い時や売る前は、一度クリーンインストールするといいよ」と聞いたのですが、なんだか難しそうで…。
特に、最近のApple Silicon搭載Macだと、昔のIntel Macとはやり方が違うとも聞きました。
データを完全に消去して、しかも安全に、工場出荷時のような真っさらな状態に戻すための、信頼できる完全な手順を教えていただけませんか?
そのお悩み、非常によく分かります。
Macの「初期化(クリーンインストール)」は、不調を解決する特効薬であると同時に、個人情報を守り抜くための最強の盾でもあります。
そして、ご指摘の通り、現代のMacを語る上で最も重要なのが「Apple Silicon」と「Intel」という、心臓部であるチップの違いを理解することです。
この二つは似て非なるもので、初期化へのアプローチも根本的に異なります。
この記事では、そのアーキテクチャの違いから丁寧に解き明かし、バックアップから各種アカウントのサインアウトといった「絶対に失敗できない準備段階」を経て、それぞれのMacに最適化された、安全かつ完璧な初期化手順を、ステップ・バイ・ステップで解説します。
これを読めば、もうMacの初期化で迷うことはありません。
あなたのMacを、生まれたての純粋な状態へと一緒に導いていきましょう。
Macを初期化する、ということの本当の意味
Macの初期化、あるいはクリーンインストールとは、単にデータを消去する行為ではありません。
それは、長年の使用で蓄積されたシステムの「澱(おり)」や、意図せず紛れ込んだ不要なファイル、複雑に絡み合った設定の数々を一度リセットし、macOSというオペレーティングシステムを、何の色もついていない純粋な状態で再構築する、いわば「デジタルなデトックス」です。
これにより、原因不明の不具合やパフォーマンスの低下が劇的に改善されることがあります。
また、売却や譲渡の際には、あなたの個人情報、写真、仕事のファイル、各種パスワードといった、デジタル世界のあなた自身の痕跡を、復元不可能なレベルで完全に消し去るための、絶対不可欠な儀式となります。
このプロセスを正しく理解し、実行することが、あなたのMacライフの快適性と安全性を守るための礎となるのです。
第一章:最大の分岐点 - Apple Silicon MacとIntel Macの違い
現代のMacの初期化を語る上で、全ての前提となるのが、お使いのMacがどちらのプロセッサを搭載しているか、という点です。
2020年後半以降に登場したM1, M2, M3といったApple製のチップが「Apple Silicon」、それ以前のモデルに搭載されていたのがIntel製のチップです。
この二つは、初期化のプロセス、特にリカバリーモードへの入り方やデータの消去方法が全く異なります。
お使いのMacの心臓部(チップ)を特定する方法
どちらのチップを搭載しているかを確認するのは非常に簡単です。
画面左上のアップルメニュー()をクリックし、「このMacについて」を選択します。
開いたウィンドウの「チップ」という項目に「Apple M1」のように表示されていればApple Silicon Macです。
「プロセッサ」という項目に「Intel Core i5」のように表示されていればIntel Macです。
この記事では、両方の手順を並行して解説しますが、必ずご自身のMacがどちらのタイプであるかを、この段階で正確に把握しておいてください。
第二章:後戻りできないからこそ - 完璧な初期化のための準備リスト
初期化プロセスは、一度開始すると後戻りできません。
データを永久に失ったり、Macが使用不能(文鎮化)になったりするリスクを避けるため、以下の準備を必ず、そして慎重に行ってください。
生命線となるバックアップ:Time Machineの活用
Time Machine(※注釈:macOSに標準搭載されている、非常に優秀な自動バックアップ機能)を使って、外付けのHDDやSSDにMac全体のバックアップを作成します。
これは、単なるファイルコピーとは異なり、アプリケーションや設定も含めたMacの「スナップショット」を丸ごと保存してくれるため、新しいMacや初期化後のMacに環境を復元するのが非常に容易になります。
バックアップは、初期化の直前に、最新の状態で取得しておくことが鉄則です。
デジタルな絆を断ち切る:各種サービスからのサインアウト
Mac本体だけでなく、あなたのアカウントとMacとの紐付けを解除しておく必要があります。
これを怠ると、次の所有者がMacを正常に利用できなくなる「アクティベーションロック」などの問題を引き起こします。
- ・iCloudからサインアウト: 最も重要な手順です。「システム設定」(旧:環境設定)>「Apple ID」>「iCloud」と進み、「Macを探す」をオフにします。これがオフになっていないと、アクティベーションロックがかかり、売却後に大問題となります。「Macを探す」をオフにした後、同画面でiCloudから完全にサインアウトします。
- ・iMessageとFaceTimeからサインアウト: それぞれのアプリケーションを起動し、設定からアカウントをサインアウトします。
- ・他社製アプリの認証解除: Adobe Creative CloudやMicrosoft 365など、ライセンス認証が必要なソフトウェアを使用している場合は、各アプリの指示に従ってライセンス認証を解除、またはサインアウトしてください。
【Intel Mac限定】おまじないではない、NVRAMとSMCのリセット
Intel Macをお使いの場合、初期化の仕上げとして、あるいは不調解決の一環として、二つのリセット作業が有効な場合があります。
NVRAM(PRAM)は音量や画面解像度といった設定を記憶する小容量のメモリで、SMCは電源やバッテリー、冷却ファンなどを管理するコントローラーです。
これらのリセット方法はモデルによって異なるため、Appleの公式サポート情報を確認するのが確実ですが、実行しておくことで、初期化後のMacがよりクリーンな状態で起動することを助けます。
Apple Silicon Macでは、これらの機能はシステムに統合されており、ユーザーが手動でリセットする必要はありません。
第三章:実践 - Mac初期化(クリーンインストール)の全手順
準備が整ったら、いよいよ初期化プロセスに入ります。
深呼吸をして、一つ一つのステップを落ち着いて実行していきましょう。
ステップ1:macOS復旧(リカバリーモード)で起動する
全ての操作の起点となる、特別な起動モードです。
ここへの入り方が、Apple SiliconとIntelで根本的に異なります。
【Apple Silicon Macの場合】
Macの電源を完全に落とします。
電源ボタンを「起動オプションを読み込み中」と表示されるまで押し続けます。
歯車のアイコンで示される「オプション」を選択し、「続ける」をクリックします。
【Intel Macの場合】
Macの電源を入れた直後、または再起動した直後に、以下のいずれかのキーコンビネーションをAppleロゴが表示されるまで押し続けます。
- ・Command (⌘) + R: Macに最後にインストールされていたバージョンのmacOSを再インストールします。
- ・Option + Command (⌘) + R: お使いのMacと互換性のある最新バージョンのmacOSにアップグレードします。
- ・Shift + Option + Command (⌘) + R: Macに付属していた、あるいはそれに最も近い、工場出荷時のmacOSを再インストールします。売却時にはこの方法が推奨されることが多いです。
無事にmacOS復旧ユーティリティの画面が表示されたら、第一関門は突破です。
ステップ2:ディスク(ストレージ)を消去する
macOSを再インストールする前に、内蔵ストレージを完全に消去します。
ここでも、Apple SiliconとIntel(あるいはmacOSのバージョン)で最適なアプローチが異なります。
【Apple Silicon Mac / macOS Monterey以降の推奨手順】
macOS Monterey以降を搭載したApple Silicon Mac(およびT2セキュリティチップ搭載のIntel Mac)には、iPhoneのように簡単かつ安全にデータを消去できる「すべてのコンテンツと設定を消去」という機能があります。
macOS復旧ユーティリティではなく、通常のログイン状態で、画面左上のアップルメニューから「システム設定」を開き、上部のメニューバーから「システム設定」>「すべてのコンテンツと設定を消去」を選択します。
アシスタントの指示に従うだけで、ユーザデータ、設定、インストールしたアプリが安全に消去され、Macはアクティベート可能な状態にリセットされます。
OSの再インストールは不要で、これが最も迅速で安全な方法です。
【Intel Mac / 手動での完全消去手順】
macOS復旧ユーティリティのウインドウから「ディスクユーティリティ」を選択し、「続ける」をクリックします。
ディスクユーティリティの「表示」メニューから「すべてのデバイスを表示」を選択します。
左のサイドバーに表示されたドライブ階層の一番上にある、物理ドライブ本体(例:「APPLE SSD ...」など)を選択します。
ツールバーの「消去」ボタンをクリックします。
表示されたダイアログで、以下の通りに設定します。
- ・名前: 「Macintosh HD」など、分かりやすい名前を付けます。
- ・フォーマット: 「APFS」を選択します。(※注釈:Apple File Systemの略。近年のMacの標準的なファイルシステム)
- ・方式(表示されている場合): 「GUIDパーティションマップ」を選択します。
「消去」ボタンをクリックすると、ディスクの消去が開始されます。
近年のMacは全てSSDであり、データは標準で暗号化されているため、ディスクユーティリティの「セキュリティオプション」による多重上書きは不要かつ非推奨です。
通常の消去で、データは復元困難な状態になります。
ステップ3:macOSを再インストールする
ディスクの消去が完了したら、ディスクユーティリティを終了し、macOS復旧ユーティリティのメイン画面に戻ります。
「macOS [バージョン名]を再インストール」を選択し、「続ける」をクリックします。
画面の指示に従い、先ほど消去して作成した「Macintosh HD」をインストール先に指定します。
macOSのダウンロードとインストールには、インターネット接続の速度によっては数十分から数時間かかる場合があります。
この間、Macの電源が落ちないように、ACアダプターに接続しておくことを強く推奨します。
ステップ4:新しい所有者のための最終準備
インストールが完了すると、Macはおなじみの「ようこそ」画面と共に再起動します。
ここで、国や地域を選択する画面が表示されたら、あなたの作業は完了です。
ここで自分のApple IDなどを入力して設定を進めてはいけません。
新しい所有者に、新品のMacを開封した時と同じ体験を提供するため、キーボードの「Command (⌘) + Q」キーを押してシステムを終了します。
これで、次に電源を入れた人は、自分自身の情報でMacのセットアップを開始できます。
まとめ
Macの初期化は、一見すると複雑なプロセスに思えるかもしれません。
しかし、その核心は「Apple SiliconかIntelか」というアーキテクチャの違いを理解し、正しい準備と手順を踏むことに尽きます。
- ・第一に、準備が全てを決定する: 最新のTime Machineバックアップと、iCloud(特に「Macを探す」)をはじめとする各種サービスからの完全なサインアウト。これを怠れば、全ての努力が無駄になる可能性があります。
- ・第二に、アーキテクチャを理解する: あなたのMacがApple SiliconかIntelかを知ることが、正しい道を選ぶための最初のステップです。リカバリーモードへの入り方、データの消去方法が根本的に異なります。
- ・第三に、正しいツールを選択する: macOS Monterey以降の対応Macであれば「すべてのコンテンツと設定を消去」が最も簡単で安全です。それ以外のMacでは、「ディスクユーティリティ」による手動消去と「macOS再インストール」が王道です。
- ・最後に、おもてなしの心で仕上げる: インストール後の「ようこそ」画面でセットアップを進めず、システムを終了する。この最後のステップが、次の所有者への最高のおもてなしです。
このガイドに沿って慎重に作業を進めれば、あなたはどんな不調からもMacを解放し、あるいは個人情報の不安なく、安心して次の所有者へとバトンを渡すことができるでしょう。
もし途中で不安になったり、うまくいかなかったりした場合は、決して無理をせず、我々のような専門家にご相談ください。

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