
話題の「Copilot+ PC」とは?普通のPCと何が違うのか、AI新機能「Recall」など何ができるのかを世界一わかりやすく解説
Windowsのお役立ち情報


この前「AI PC」について教えてもらったんですけど、最近、今度は「Copilot+ PC」っていう新しい言葉が出てきて、また混乱しちゃって…。
「プラス」って、一体何がプラスなんですか?
特に『Recall(リコール)』っていう機能が、すごいけどなんだか怖い、みたいな話も聞きますし、よく分からなくて…。

良いところに気づきましたね。
「Copilot+ PC」は、Microsoftが「これこそが真のAI PCだ」と定義した、いわば“お墨付き”が与えられた、特別なモデルのことなんです。
そして、そのお墨付きがあるからこそ利用できる「Recall」のような、まさにPCの歴史を変えるほどの革新的な機能が搭載されています。
今日は、Copilot+ PCがただのAI PCと何が違うのか、その厳しい基準、そして物議を醸している「Recall」機能の本当の仕組みやプライバシー設定の方法、その他、SF映画のようなAI新機能で一体何ができるようになるのか、世界で一番わかりやすく、そして深く解説していきます。
この記事を読めば、新しいPCの時代が始まったことを、きっと実感できますよ。
【結論】Copilot+ PCとは何か? - Microsoftが定めた「次世代AI PC」の厳格な基準
まず結論から申し上げます。
Copilot+ PCとは、単にAI機能が使えるPC、という意味ではありません。
これは、Microsoftが自ら定めた、**極めて厳格なハードウェア要件をクリアしたPCだけが名乗ることを許された、新しいPCの「ブランド」であり「カテゴリ」**なのです。
それは、Windows OSの次世代AI機能を、最高のパフォーマンスとセキュリティで体験できることを、OSの開発元であるMicrosoft自身が保証する「品質保証マーク」のようなもの、と考えると分かりやすいでしょう。
「AI PC」と「Copilot+ PC」の決定的な違い
最近よく耳にする「AI PC」という言葉は、AI処理を専門に行うプロセッサー「NPU」を搭載したPCの“総称”です。
しかし、そのNPUの性能はまさにピンからキリまで存在します。
一方で「Copilot+ PC」は、その中でも特に高性能なNPUをはじめとする、厳しい基準をクリアしたエリートモデルだけを指します。
つまり、**すべてのCopilot+ PCはAI PCですが、すべてのAI PCがCopilot+ PCになれるわけではない**のです。
この明確な線引きこそが、両者を分ける決定的な違いです。
Copilot+ PCを名乗るための「3つの鉄の掟」
では、その厳しい基準とは何でしょうか。
Microsoftは、Copilot+ PCを名乗るための最低条件として、以下の3つを定めています。
- ・1. 高性能NPUの搭載 (40TOPS以上)
これが最も重要な要件です。
NPUの性能は「TOPS(トップス)」という単位で示され、これは1秒間に何兆回のAI演算ができるかを表します。
Copilot+ PCは、このNPU性能が**40TOPS以上**であることが絶対条件です。
これは、従来の多くの「AI PC」と呼ばれていたPCが搭載するNPUの、数倍から数十倍にも達する圧倒的な性能です。
- ・2. 大容量メモリの標準装備 (16GB以上)
AIモデル、特に後述する「Recall」のような高度な機能をPC内部で動かすには、広大な作業スペース(メモリ)が必要です。
そのため、Copilot+ PCはシステムメモリが**最低16GB**搭載されていることが求められます。
もはや8GBメモリの時代は完全に終わりを告げました。
- ・3. 高速SSDの搭載 (256GB以上)
AIが瞬時に過去のデータを参照したり、情報を記録したりするためには、ストレージの読み書き速度も極めて重要です。
そのため、ストレージは**最低256GB以上の高速なNVMe SSD**であることが条件とされています。
この「40TOPS以上のNPU」「16GB以上のメモリ」「256GB以上のSSD」という三位一体のハードウェア要件こそが、Copilot+ PCの証なのです。
なぜこの厳しい基準が必要なのか? - Recallと未来のAI機能のため
Microsoftがこれほど厳しいハードウェア基準を設けたのには、明確な理由があります。
それは、Copilot+ PCの目玉機能である「Recall」や「ライブキャプション(リアルタイム翻訳)」といった、これまでのPCでは不可能だった革新的なAI体験を提供するためです。
これらの機能は、ユーザーのプライバシーを守り、かつ瞬時の応答速度を実現するために、インターネット上のクラウドサーバーに頼ることなく、**すべてのAI処理をPC内部(オンデバイス)で完結させる**必要があります。
その膨大で継続的なAI処理を、PCの基本的な動作(Webブラウジングや資料作成など)を全く妨げることなく、スムーズかつ省電力で実行するために、この3つの高いハードウェア要件が不可欠となったのです。
【最重要機能】すべてを記憶する第二の脳「Recall」 - その仕組みとプライバシー
Copilot+ PCの登場を最も象徴するキラーアプリケーション、それが「Recall(リコール)」です。
この機能は、そのあまりに革新的なコンセプトから、発表直後、世界中で大きな期待と、同時にプライバシーに関する懸念を巻き起こしました。
その本当の姿を、誤解のないように詳しく解説します。
Recallとは何か? - あなたのPC操作の「ほぼすべて」を記憶し、検索可能にする
Recallを有効にすると、あなたのPCは、**あなたが画面上で見ているもの(アクティブなウィンドウ)のスナップショットを、数秒おきに撮影し続けます。**
そして、撮影された無数のスナップショットの内容を、Copilot+ PCの強力なNPUがバックグラウンドで常に解析し、画像に含まれるテキスト、画像、アイコンといったあらゆる情報に索引(インデックス)を付けていきます。
これにより、あなたは、まるで自分の脳の記憶を検索するように、過去のPC操作を曖昧な言葉で探し出すことができるようになります。
例えば、検索バーに以下のように入力します。
Recallの検索例:
「先週、青いグラフが出てきたWebサイト」
「A子さんとLINEで話してた、猫の写真」
「さっきZoom会議でBさんが画面共有してた、あの円グラフのスライド」
「確かPowerPointで作った、恐竜のイラストがある資料」
するとRecallは、あなたが過去に見ていた何千、何万という画面の中から、そのキーワードに合致するスナップショットを瞬時に探し出し、時系列(タイムライン)で表示してくれます。
あなたはタイムラインをスクロールして、目的の瞬間の画面を見つけ出し、そこに表示されていたWebサイトのリンクを開いたり、テキストをコピーしたりできるのです。
これは、PCの「検索」という概念を、ファイル名やキーワード検索から、「体験」や「記憶」の検索へと進化させる、歴史的な一歩と言えるでしょう。
物議を醸す「プライバシー問題」への徹底した対策
「PCの画面をすべて記録する」という仕組みは、当然ながら、深刻なプライバシー懸念を引き起こしました。
Microsoftは、これらの懸念に対し、幾重にも張り巡らされた、徹底的なプライバシー保護対策を講じています。
- ・1. 100%オンデバイス処理:
これが最大のポイントです。
撮影されたスナップショット、およびAIによる解析データは、**あなたのPCの外部(Microsoftのクラウドサーバーなど)に送信されることは一切ありません。**
すべてのデータは、あなたのPCのSSD上に、あなただけがアクセスできる形で保存・処理されます。
- ・2. 強力な暗号化による保護:
Recallのデータベースは、Windowsの標準暗号化機能である「BitLockerWindowsに搭載されている、ドライブ全体を暗号化する機能。PCが盗難に遭っても、パスワードがなければ第三者が内部のデータを読み取ることは極めて困難になります。」によって、デフォルトで保護されています。
さらに、あなた自身がWindowsにサインインしなければ、誰もこのデータにアクセスすることはできません。
- ・3. オプトイン方式(ユーザーによる明確な有効化):
当初の発表から方針が変更され、Recallは、ユーザーがCopilot+ PCの初期設定時に、**自らの意思で「有効にする」ことを選択しない限り、機能しない(オプトイン方式)**ことになりました。
知らないうちに記録が始まっている、ということはありません。
- ・4. 記録対象の柔軟な除外設定:
ユーザーは、特定のアプリケーション(例えば、パスワード管理ソフトやプライベートなチャットアプリなど)や、特定のWebサイト(InPrivateモード中のEdgeブラウザなど)を、Recallの記録対象から恒久的に除外するよう設定できます。
- ・5. いつでも一時停止・データ削除が可能:
タスクバーのアイコンから、いつでもRecallの記録を一時的に停止できます。
また、設定画面から、これまでに記録されたスナップショットを、期間を指定して、あるいはすべてを、完全に削除することが可能です。
これらの対策により、Recallは、ユーザーが自らのデータを完全にコントロールできる、安全な「第二の脳」として設計されています。
【Copilot+ PCで可能になる】未来のAI新機能 実用例
Copilot+ PCの真価は、Recallだけではありません。
その強力なNPU性能を活かした、これまでのPCでは不可能だった、あるいは非常に重かった処理が、魔法のように実現します。
活用事例1:言語の壁がなくなる「ライブキャプション」のリアルタイム翻訳
シナリオ:あなたは今、海外のカンファレンスのライブストリーミングや、字幕のない外国語の映画を観ています。
機能解説:
Copilot+ PCの「ライブキャプション」機能をオンにすると、PCから再生されているあらゆる音声(それはWebブラウザ上の動画でも、ローカルに保存された動画ファイルでも構いません)を、AIがリアルタイムで認識し、日本語の字幕として画面上に表示してくれます。
驚くべきことに、この音声認識と翻訳のプロセスは、**すべてPC内部のNPU上で、オフラインで実行**されます。
現在、英語、中国語、スペイン語、ドイツ語、フランス語など40以上の言語に対応しており、言語の壁を越えて、世界中のあらゆる動画コンテンツをリアルタイムで楽しむことが可能になります。
活用事例2:簡単なスケッチからプロ級の画像を生成する「Cocreator」
シナリオ:あなたは「ペイント」アプリで、子供のような簡単な線画で、山の麓に立つ一本の木を描きました。
機能解説:
新しい「ペイント」アプリに搭載された「Cocreator」機能を有効にし、テキストプロンプトとして「夏の入道雲と、印象派の絵画のようなタッチで」と入力します。
すると、AIはあなたが描いた簡単な線画の構図を尊重しながら、リアルタイムで高品質なアート作品を生成し始めます。
さらに、「創造性」スライダーを左右に動かすことで、元のスケッチの忠実度と、AIの創造性のバランスを、インタラクティブに調整できます。
これは、あなたの拙いスケッチと、AIの驚異的な描画能力が、リアルタイムに共同作業(Co-Creation)する、全く新しい創作体験です。
活用事例3:Windows Studio Effectsの進化と自動化
シナリオ:急なオンライン会議の招集。
しかし、あなたのいる場所は少し散らかっており、照明も暗く、カメラ映りが気になります。
機能解説:
Copilot+ PCでは、ビデオ会議で活躍する「Windows Studio Effects」が、コントロールセンターから瞬時に呼び出せるようになりました。
「背景ぼかし」に加えて、アーティスティックなフィルター(イラスト調や水彩画調など)が追加され、ワンタッチで適用できます。
また、カメラが自動であなたを追従する「自動フレーミング」や、常にカメラ目線で話しているように見せる「アイコンタクト」、周囲の騒音を消し去る「音声フォーカス」といった機能も、NPUの力で、PCのパフォーマンスを一切低下させることなく、極めて自然に動作します。
活用事例4:主要なクリエイティブソフトのAI機能が爆速化
シナリオ:あなたは、Adobe Photoshopで、AI機能「ジェネレーティブ塗りつぶし」を使い、写真に写っていない部分をAIに生成させています。
機能解説:
これまで、このような高度な生成AI機能は、処理のためにデータをクラウドに送信する必要があり、結果が返ってくるまで数秒から数十秒の待ち時間が発生していました。
しかし、Adobe社をはじめとする主要なクリエイティブソフトウェアメーカーは、続々とCopilot+ PCの強力なNPUへの最適化を進めています。
これにより、多くのAI処理がデバイス上で完結するようになり、これまで待たされていた処理が、瞬時に、あるいはリアルタイムで完了するようになります。
クリエイターの思考の流れを一切止めることのない、真のインタラクティブな創作環境が実現します。
Copilot+ PCは今すぐ買うべきか? - 2025年現在の最適解
これら革新的な機能を前に、多くの人が「Copilot+ PCは今すぐ買うべきか?」という問いに直面するでしょう。
Copilot+ PCの現状のラインナップと価格帯
2025年6月現在、最初のCopilot+ PCが各社から一斉に発表・発売されています。
Microsoft自身のSurface ProやSurface Laptopがその筆頭です。
これらに搭載されているのは、主にQualcomm社が開発した、PC向けARMプロセッサーである「Snapdragon X Elite」および「Snapdragon X Plus」です。
これらのチップは、極めて高いNPU性能と、驚異的なバッテリー効率を両立しているのが特徴です。
今後、2025年後半から2026年にかけて、Intelの次世代プロセッサー「Lunar Lake」や、AMDの「Strix Point」といった、強力なNPUを統合したx86系プロセッサー搭載のCopilot+ PCも続々と登場する予定です。
価格帯は、その高いハードウェア要件から、現時点では20万円前後からのスタートとなっており、プレミアムクラスのPCとして位置づけられています。
購入を推奨する人と、「待つ」という選択肢
私たちの結論は明確です。
**もしあなたが、2025年後半以降にノートPCの新規購入や買い替えを検討しているのであれば、Copilot+ PC以外の選択肢を考える必要はありません。**
特に、新しいテクノロジーを活用して、自らの生産性や創造性を劇的に向上させたいと考えている、すべてのビジネスパーソン、学生、クリエイターにとって、Copilot+ PCは最高の投資となるでしょう。
一方で、「待つ」という選択肢も、決して間違いではありません。
Recallをはじめとする革新的な機能は、まだ登場したばかりであり、今後、ユーザーからのフィードバックを受けて、さらに洗練されていくことは間違いありません。
また、IntelやAMDの対抗モデルが出揃うのを待って、性能や価格、デザインをじっくり比較検討したい、というのも賢明な判断です。
しかし、PCは「欲しい時が買い時」です。
今お使いのPCに不満を感じており、Copilot+ PCが提供する未来の体験に魅力を感じるのであれば、いち早くその世界に飛び込む価値は十分にあります。
まとめ - PCの歴史が変わる、その瞬間に立ち会うということ
Copilot+ PCの登場は、単なる新製品の発表ではありません。
それは、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)の登場、インターネットの普及に匹敵する、PCの歴史における大きなパラダイムシフトの始まりです。
- 1. Copilot+ PCは「資格」である:
それは、Microsoftが定めた厳しい基準(40TOPS以上のNPU、16GBメモリ、256GB SSD)をクリアし、次世代のオンデバイスAI体験を保証されたPCだけに与えられる「称号」です。
- 2. Recallは「第二の脳」:
プライバシーに最大限配慮された形で、あなたのPC体験のすべてを記憶するRecall機能は、PCにおける「検索」の概念を過去のものにし、私たちの知的生産性を根底から変える可能性を秘めています。
- 3. AIネイティブ時代の到来:
リアルタイム翻訳や高度な画像生成など、これまで不可能だったAI機能が、OSの標準機能として、オフラインでも、安全に、そして快適に使える時代が、ついに始まりました。
PCが、単に命令を待つだけの「道具」から、ユーザーの意図を先読みし、思考を助け、能力を拡張してくれる「パートナー」へと進化する。
Copilot+ PCは、その歴史的な転換点に立ち会うための、私たちにとっての招待状なのです。
この新しい時代の扉を開けることに、不安や疑問を感じるかもしれません。
どのCopilot+ PCが自分に最適なのか、どう使いこなせば良いのか。
そんな時は、ぜひ私たちPCのプロフェッショナルにご相談ください。
お客様がこのエキサイティングな変化を最大限に楽しめるよう、万全の体制でサポートさせていただきます。
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