
【PCが起動しなくても安心】“万が一”に備える「リカバリーディスク(回復ドライブ)」の作り方|必要なUSB容量と作成手順を完全図解
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記事の最終更新日:2025年10月29日
ピー太さん、私、PCのデータはちゃんと外付けHDDにバックアップしてるから安心だと思っていたんです。でもこの間、友人のPCがWindowsのアップデートに失敗して、全く起動しなくなってしまって…。
データは無事でもPC自体が起動しないとどうにもならないという現実を目の当たりにして、すごく怖くなりました。
こういうOSが起動しないという最悪の事態に備えて、何か私たちが作っておける「お守り」のようなものはないのでしょうか?
スト子さん、その気づき、100点満点です!多くの人が「データのバックアップ」はしていても、PCが起動しなくなった時の「OSの救出手段」を見落としているのです。
例えるなら、お客様は家の「家財保険」には入っているけれど、家に入るための「鍵」をなくしてしまった時の「合鍵」を持っていない状態。その万が一の時にPCという家の扉をこじ開け、内部の修復作業を行うための「**マスターキー**」こそが、Windowsに標準で備わっている「**回復ドライブ**」作成機能なのです。
これは単なるバックアップではありません。Windowsの「手術室(回復環境)」そのものをUSBメモリに移植し、PCが脳死状態に陥っても外部から救命活動を行えるようにする、究極の保険なのです。
この記事では、その命の恩人となる「回復ドライブ」の正しい作り方と、必要なUSBメモリの容量について世界一わかりやすく解説します。
回復ドライブの哲学:それは「データ」ではなく「OSの手術室」を持ち出すということ
多くの人が「バックアップ」と「回復ドライブ」を混同しています。しかし、その役割は全く異なります。
- データのバックアップ(ファイル履歴など): お客様が作成したWord文書や写真といった「**個人用ファイル**」のコピーを保存するもの。目的は「**データの保護**」です。
- 回復ドライブ: Windowsが起動しなくなった際にトラブルシューティングを行うための「**Windows 回復環境(WinRE)**」を、USBメモリから起動できるようにするもの。目的は「**OSの修復**」です。
例えるなら、バックアップはあなたの「アルバム」や「日記」の複製です。一方、回復ドライブはPCが意識不明の重体に陥った時に駆けつける「**救急車**」であり、その中には応急処置を行うための「**手術道具一式(修復ツール)**」が積まれています。
そして、作成時にある重要なオプションにチェックを入れることで、この救急車に「健康な血液(クリーンなWindowsのシステムファイル)」まで積んでおくことができます。これにより修復が不可能な場合でも、お客様のPCを工場出荷時の状態へと蘇生させる「輸血(OSの再インストール)」さえも可能になるのです。
この命の恩人となる救急車は、PCが健康なうちにしか作れません。この記事を読み終えたら、すぐに作成することをお勧めします。
第一章:準備 - 救急車を用意する
回復ドライブを作成するために必要なものは、たった一つです。
必要なもの:空のUSBフラッシュドライブ
重要なのは、その「容量」です。
【結論】2025年現在、`32GB`を用意しておけばまず間違いありません。
必要な容量は、お使いのPCのWindowsのバージョンや構成によって異なりますが、Windows 11の場合は以下のようになります。
- システムファイルを含めない場合: 1GB程度で足りますが、これでは修復ツールの起動しかできず、回復ドライブの価値は半減します。
- システムファイルを含める場合(推奨): ほとんどのPCで**16GB**のUSBメモリで作成可能です。しかし、将来のアップデートやお使いのPCのリカバリー領域のサイズによっては、16GBでは足りなくなるケースも報告されています。
【重要】回復ドライブの作成プロセスで、USBメモリ内のデータは**全て完全に消去されます**。必ず空のUSBメモリか、あるいは中身が消えてもよいものを用意してください。
また、作成にはそれなりの時間がかかるため、USB 3.0以上に対応した高速なUSBメモリを使用すると待ち時間を短縮できます。
第二章:製造工程 - 回復ドライブの正しい作り方(全手順図解)
それでは、具体的な作成手順に入ります。難しい操作は一切ありません。ウィザードの指示に従うだけです。
-
「回復ドライブの作成」ツールを起動する:
Windowsの検索ボックスに「**回復ドライブ**」と入力し、「回復ドライブの作成」をクリックします。ユーザーアカウント制御のプロンプトが表示されたら、「はい」をクリックします。 -
【最重要】システムファイルのバックアップを選択する:
「回復ドライブの作成」ウィザードが起動します。最初に表示される画面に、全ての運命を分ける重要なチェックボックスがあります。☑ **システムファイルを回復ドライブにバックアップします。**このチェックボックスに**必ずチェックを入れてください。**
これにより修復ツールだけでなく、Windowsを再インストールするためのシステムイメージもUSBメモリにコピーされ、回復ドライブの価値が最大限に高まります。 -
USBフラッシュドライブの選択:
PCに接続されているUSBメモリが自動的に検出されます。正しいドライブが選択されていることを確認し、「次へ」をクリックします。 -
最終警告の確認:
「ドライブ上のすべてのデータが削除されます。」という最後の警告が表示されます。覚悟を決めて「作成」ボタンをクリックします。 -
ひたすら待つ:
回復ドライブの作成プロセスが始まります。PCの性能やUSBメモリの速度によりますが、このプロセスには30分から1時間以上かかる場合もあります。気長に待ちましょう。 -
完了と保管:
「回復ドライブの準備ができました」と表示されれば作成は成功です。「完了」をクリックし、作成したUSBメモリに「Windows 11 回復ドライブ」といったラベルを貼り、万が一の時のために大切に保管しておきましょう。
第三章:出動命令 - いざという時、回復ドライブからPCを起動する方法
Windowsが起動しなくなったその時。いよいよ救急車の出番です。回復ドライブからPCを起動するためには、PCの電源を入れた直後にBIOS/UEFI設定画面に入り、「**起動デバイスの優先順序**」を変更する必要があります。
- 作成した回復ドライブ(USBメモリ)をPCに接続します。
- PCの電源を入れ、直後にメーカーロゴが表示されている間に指定されたキー(`F2`, `F12`, `Delete`など)を連打し、BIOS/UEFI設定画面を開きます。
- 「Boot」や「起動」といったメニューを探し、「Boot Priority(起動の優先順序)」を変更します。
- USBドライブが内蔵SSD/HDDよりも先に読み込まれるように、順序を一番上に移動させます。
- `F10`キーなどで設定を保存し、再起動します。
PCは内蔵ストレージではなくUSBメモリから起動を試み、やがて青い背景の「キーボードレイアウトの選択」画面、そして「オプションの選択」画面(Windows回復環境)が表示されるはずです。ここからお客様は「システムの復元」「スタートアップ修復」、そして究極の手段である「ドライブから回復する(OSの再インストール)」といった、あらゆる救命措置を実行することができるのです。
まとめ:「回復ドライブ」は、あなたのPCライフにおける最高の「お守り」である
Windowsの突然の起動不能は、誰の身にも起こりうる悪夢です。しかし、たった一本のUSBメモリで作成できる「回復ドライブ」というお守りがあれば、その悪夢から生還できる可能性は劇的に高まります。
- 「回復ドライブ」は「OSの手術室」: 個人用ファイルのバックアップとは目的が違う。OSそのものを修復するための最後の砦である。
- USBメモリは「32GB」を用意する: 安心して全ての機能を格納するための現代の標準サイズ。
- 「システムファイルのバックアップ」に必ずチェックを入れる: これが回復ドライブの価値を100倍に高める最も重要な一手間。
- 作成は「健康な時」にしかできない: 問題が起きてからでは遅い。この記事を読み終えた「今」、この瞬間が最高の作成タイミング。
- 大切に「保管」し、使い方を「知っておく」: いざという時にBIOS/UEFIからUSBブートする方法を頭の片隅に入れておく。その知識があなたを救う。
数千円のUSBメモリと1時間の投資で手に入る、未来への絶大な安心感。ぜひお客様もこの最強のお守りを手に入れ、何物にも代えがたい心の平穏を確保してください。
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