
Excelでグラフ作成!見やすいレポートの作り方
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この記事の最終更新日:2025年7月1日

仕事で、売上データをまとめて、Excelでグラフを作成することになったんです。
グラフ自体は作れるんですけど、なんだかゴチャゴチャしてしまって、上司からも「で、結局、何が言いたいの?」って言われてしまって…。
プロが作るレポートに入っているグラフって、シンプルなのに、すごく分かりやすくて、説得力がありますよね。
どうすれば、あんな風に「伝わる」グラフが作れるんでしょうか?

そのお悩み、Excelを使うすべてのビジネスパーソンが、一度はぶつかる大きな壁です。
素晴らしいことに、あなたは、その壁の本質にすでに気づかれています。
優れたグラフとは、単にデータを「可視化」したものではありません。
それは、データという無味乾燥な数字の羅列から、意味のある「物語(ストーリー)」を抽出し、相手に、明確な「メッセージ」として届けるための、高度なコミュニケーションツールなのです。
ご安心ください。
今日は、その「物語」を紡ぎ出すための、適切なグラフの選び方から、情報を整理し、メッセージを際立たせるためのデザイン原則、そして見る人を惹きつける、プロの応用テクニックまで、日本一詳しく、そして分かりやすく解説していきます。
この記事を読み終える頃には、あなたはもう、単なるグラフの作成者ではなく、データを自在に操る、優れたストーリーテラーになっているはずですよ。
【思想】優れたグラフの条件 - 「作る」から「伝える」への意識改革
具体的なテクニックに入る前に、最も重要な心構えについてお話しします。
それは、グラフ作成の目的を、単にデータをグラフに「変換する」ことではなく、データを通じて、特定のメッセージを「伝達する」ことへと、意識を改革することです。
あなたのグラフが伝えたい「たった一つのメッセージ」は何か?
優れたグラフには、必ず、作り手が伝えたい「たった一つの、明確なメッセージ」が込められています。
「A商品の売上は、B商品より2倍も高い」「第3四半期から、売上は急激な上昇トレンドにある」「広告費と売上には、強い相関関係が見られる」。
あなたが、そのグラフを通じて、相手に最も理解してほしい、そして記憶してほしいメッセージは何でしょうか。
グラフ作成の全プロセスは、この「たった一つのメッセージ」を、いかにして、最も効果的に、そして最も分かりやすく際立たせるか、という視点で行われるべきです。
Excelの「デフォルトグラフ」からの脱却
Excelのグラフ作成機能は非常に優秀ですが、デフォルト(初期設定)の状態で作成されたグラフは、残念ながら「伝わる」グラフとは言えません。
過剰な罫線(グリッド線)、意味のない3D効果、分かりにくい凡例、無意味な配色…。
これらはすべて、あなたの伝えたいメッセージという「シグナル」を覆い隠してしまう、「ノイズ(雑音)」です。
プロのグラフ作成とは、この**「ノイズ」を、一つずつ、そして徹底的に、削ぎ落としていく作業**なのです。
【第1部:グラフの選択】データが語りたがっている物語を見つける
グラフ作成の最初のステップは、あなたのデータと、伝えたいメッセージに、最も適した「グラフの種類」を選択することです。
それぞれのグラフが、どのような物語を語るのが得意なのか、その特性を理解しましょう。
1. 棒グラフ - 「比較」を語るための基本形
【得意な物語】複数の項目間の「量」を、視覚的に比較すること。
【主な用途】商品別の売上比較、支店別の契約件数、アンケート結果の回答者数比較など。
棒グラフは、そのシンプルさゆえに、最も直感的で、誤解の少ないグラフです。
各棒の長さが、そのまま量の大小を表すため、一目で項目間の優劣を判断できます。
項目名が長い場合は、縦棒グラフよりも、横棒グラフを使うと、ラベルが読みやすくなります。
2. 折れ線グラフ - 「時間的な変化・傾向」を語る
【得意な物語】ある項目が、時間の経過と共に、どのように「変化」したか、その傾向(トレンド)を示すこと。
【主な用途】月次の売上推移、年間の気温変化、Webサイトのアクセス数の変動など。
折れ線グラフは、データの連続的な変化を表現するのに最適です。
線の上がり下がりで、成長、停滞、減少といった、データの持つ「物語」を、ドラマチックに描き出すことができます。
比較したい系列が複数ある場合も、2~4本程度であれば、効果的に比較できます。
3. 円グラフ - 「全体に対する割合」を語る(※ただし注意が必要)
【得意な物語】ある項目が、全体の中で、どれくらいの「割合(シェア)」を占めているかを示すこと。
【主な用途】市場シェア、年代別の顧客構成比、アンケートでの支持率など。
円グラフは、その分かりやすさから、非常によく使われます。
しかし、プロのデータビジュアライゼーションの世界では、**円グラフの使用は、慎重であるべき**、と考えられています。
なぜなら、人間の目は、角度や面積の大小を、正確に比較するのが苦手だからです。
特に、構成要素が5つ以上になったり、各要素の割合が近かったりすると、どの項目が大きいのかを、正確に判断するのは困難になります。
多くの場合、**同じデータでも、円グラフより、横棒グラフで表現した方が、遥かに正確に、そして分かりやすく、量を比較できます。**
4. 散布図 - 2つの要素の「関係性・相関」を探る
【得意な物語】2つの異なる数値データの間に、どのような「関係性」があるかを探ること。
【主な用途】広告費と売上の関係、気温とアイスクリームの販売数の関係、勉強時間とテストの点数の関係など。
散布図は、各データを、X軸とY軸の値が交差する点としてプロットします。
その点の分布が、右肩上がりの傾向にあれば「正の相関」が、右肩下がりであれば「負の相関」が、そして、ばらばらであれば「相関なし」といった、データに隠された、変数間の関係性を、視覚的に浮かび上がらせます。
「近似曲線」を追加することで、その傾向を、より明確に示すことも可能です。
5. 帯グラフ(積み上げ棒グラフ)- 「内訳の変化」を語る
【得意な物語】全体の量が変化しながら、その「内訳(構成比)」も、同時にどう変化したかを示すこと。
【主な用途】事業部別の売上高の推移、年代別の人口構成の推移など。
帯グラフには、各項目の絶対量を積み上げる「積み上げ棒グラフ」と、全体を100%として、その構成比率を示す「100%積み上げ棒グラフ」があります。
全体の総量と、その中での各要素の貢献度の両方を、同時に見せたい場合に、非常に有効なグラフです。
【第2部:デザインの原則】「ノイズ」を消し、「シグナル」を輝かせる
適切なグラフの種類を選んだら、次はそのグラフから、不要な「ノイズ」を徹底的に取り除き、あなたが伝えたいメッセージという「シグナル」を、最大限に輝かせるための、デザインのプロセスに入ります。
原則1:脱Excelデフォルト - 過剰な装飾をすべて削除する
Excelが自動で作成するグラフは、親切心のつもりで、多くの不要な要素を描画してしまいます。
まず、以下の要素は、本当に必要かどうかを、厳しく自問してください。
- ・グラフの枠線:
ほとんどの場合、不要です。
削除すると、スライドや紙面とグラフが一体となり、洗練された印象になります。
- ・グリッド線(目盛線):
これも、多くの場合、不要です。
データの正確な数値を伝えるのが目的でなければ、削除しましょう。
残す場合でも、色を薄いグレーにするなど、主張しないようにします。
- ・3D効果や影:
これらは、データを歪めて見せる、最悪のノイズです。
グラフは、常にシンプルで、誠実な2Dで表現すべきです。
原則2:戦略的な色の使用 - 感情と注意をコントロールする
色は、あなたのメッセージを強調するための、最も強力な武器です。
Excelのデフォルトの、青、オレンジ、グレーといった配色は、卒業しましょう。
まず、グラフ全体のトーンを、**無彩色(グレー)**で統一します。
そして、あなたが最も伝えたい、最も重要なデータ系列(例えば、自社の売上推移や、最も注目すべき項目など)**ただ一つだけ**に、あなたの会社のコーポレートカラーや、注意を引くような、鮮やかな**アクセントカラー**を適用します。
これにより、聴衆の視線は、あなたが意図した通り、その最も重要な情報に、自然と、そして強力に、引きつけられるのです。
原則3:凡例をなくし、直接ラベルを付ける
グラフの右側や下側に表示される「凡例」は、聴衆の視線を、グラフ本体と凡例の間で、何度も往復させる、非効率な要素です。
可能な限り凡例は削除し、代わりに、各データ系列の終端などに、**直接、その系列名を表示(ダイレクトラベリング)**しましょう。
これにより、聴衆は、視線を動かすことなく、瞬時に、どの線が、どの棒が、何を表しているのかを理解できます。
原則4:タイトルで「物語」を語る
グラフのタイトルは、単に「〇〇の売上推移」といった、データの説明であってはなりません。
グラフのタイトルは、そのグラフが導き出す**「結論」であり、「物語」そのものであるべき**です。
例えば、「第3四半期、新キャンペーンにより売上が30%急増」といったように、あなたがそのグラフから読み取った、最も重要なインサイトを、タイトルとして、力強く記述してください。
【第3部:応用テクニック】Excelでインタラクティブなレポートを作成する
最後に、静的なグラフから一歩進んで、見る人が自分で操作できる、動的な「インタラクティブ・レポート」を作成するための、プロのテクニックを紹介します。
テーブルとスライサーで、動的なグラフダッシュボードを構築する
これは、Excelの「テーブル」機能と「スライサー」機能を組み合わせることで実現できる、非常に強力なテクニックです。
-
1. 元データを「テーブル」に変換する:
まず、グラフの元となるデータ範囲を選択し、`Ctrl + T`で「テーブル」に変換します。
-
2. テーブルからグラフを作成する:
そのテーブルを基に、通常通り、グラフ(例えば、棒グラフや折れ線グラフ)を作成します。
-
3. スライサーを挿入する:
テーブル内のどこかを選択した状態で、「テーブルデザイン」タブの「スライサーの挿入」をクリックします。
データを絞り込みたい項目(例えば、「年度」「支店名」「商品カテゴリー」など)にチェックを入れます。
すると、画面上に、各項目のボタンが並んだ「スライサーテーブルやピボットテーブルのデータを、ボタンをクリックするだけで、直感的にフィルタリング(絞り込み)できる、対話的な操作パネルです。」が表示されます。
このスライサーのボタン(例えば「2024年」や「東京支店」)をクリックするだけで、テーブルのデータが瞬時にフィルタリングされ、それに連動して、**グラフの内容もリアルタイムで動的に変化**します。
これにより、見る人が、自分自身の興味に合わせて、データを自由に深掘りできる、インタラクティブな「ダッシュボード」を、Excelだけで簡単に作成できるのです。
まとめ - グラフ作成は、説得力のある「物語」を紡ぐ技術である
Excelのグラフ作成は、単なるデータの可視化作業ではありません。
それは、数字の羅列に命を吹き込み、説得力のある「物語」を紡ぎ出し、そして、相手の心を動かして、意思決定を促すための、高度な「コミュニケーションの技術」なのです。
- 1. まず「メッセージ」を決めよ:
そのグラフで、あなたが最も伝えたい「たった一つのメッセージ」は何か。
すべてのデザインは、そのメッセージを際立たせるためにあります。
- 2. 適切な「語り部」を選べ:
比較なら「棒グラフ」、推移なら「折れ線グラフ」、関係性なら「散布図」。
あなたの物語に、最もふさわしいグラフの種類を選択しましょう。
- 3. 「ノイズ」を消し、「シグナル」を輝かせよ:
不要な罫線や装飾を徹底的に削ぎ落とし、伝えたい情報だけに、戦略的に色を使うことで、あなたのメッセージは、より強く、より明確に、相手に突き刺さります。
優れたグラフは、何百ページもの報告書よりも、雄弁です。
ぜひ、この記事で紹介したテクニックを駆使して、あなたのレポートやプレゼンテーションを、誰もが納得し、そして心を動かされる、最高のレベルへと昇華させてください。
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