
中古パソコンに最適なオフィスソフトの選び方
Officeのお役立ち情報

はじめに
「中古パソコンを購入したのに、ワードやエクセルが入ってなかった...」
新卒のOLである佐藤美咲さん(24歳)は、初めて購入した中古パソコンの前で困り果てていました。同僚からの資料作成の依頼があるのに、オフィスソフトが全く使えない状況です。近くにいた先輩社員の田中部長(55歳)がそんな様子を見かねて声をかけました。
「美咲さん、困っているようですね。中古パソコンのオフィスソフト選びでしたら、私にお任せください。30年以上IT業界にいる経験から、最適な解決策をお教えしましょう。」
田中部長は優しい笑顔を浮かべながら、中古パソコンにおけるオフィスソフトの選択肢について丁寧に説明を始めました。
中古パソコンとオフィスソフトの現状
2025年10月14日をもってWindows 10のサポートが終了し、消費者がWindows 11を搭載したパソコンへの買い替えを検討する必要に迫られています。このような状況の中、Windows 11対応の中古パソコンが注目されており、最新OSに対応しながらも、新品より低コストで手に入るため、セキュリティやパフォーマンスを重視する消費者にとって最適な選択肢となっています。
しかし、多くの中古パソコンにはMicrosoft Officeが付属していません。これは中古パソコンの価格を抑えるためであり、実際に2025年1月27日現在、「Microsoft Office Home & Business 2024(最新 永続版)」は約39,582円と高額なためです。
Microsoft Office以外の選択肢を検討する理由
高額なライセンス費用
純正のMicrosoft Officeは非常に高額です。Word / Excel / PowerPoint が含まれる Office Home & Business 2024 の価格は約 34,000 円と、中古パソコン本体よりも高い価格設定となっています。
ライセンスの複雑さ
中古パソコンに付属するOfficeは、元の所有者のライセンスであることが多く、新しいユーザーが使用する際は新たなライセンスの購入が必要になります。
必要機能の再考
多くのユーザーは、Microsoft Officeの機能をフル活用しているわけではありません。基本的な文書作成、表計算、プレゼンテーション機能があれば十分な場合が多いのです。
主要なオフィスソフト選択肢の徹底比較
WPS Office 2(推奨)
基本情報
WPS Officeは、中国のKingsoft社が開発しているオフィスソフトウェアで、Microsoft Office に匹敵する機能を持ちながら、コストパフォーマンスに優れています。特に中古パソコン購入者にとって魅力的な選択肢です。
価格とエディション
日本のキングソフト株式会社版では以下のエディションが販売されています。
●Personal Edition:約4,189円(Writer, Spreadsheets, PDF閲覧, 基本フォント)
●Standard Edition:約4,541円(Writer, Spreadsheets, Presentation, PDF閲覧, 基本フォント)
互換性と機能
Microsoft Officeで作成したファイルも、WPS Officeで問題なく開くことができ、操作方法や画面構成も似ているため、Microsoft Officeに慣れている方でもすぐに使い始められます。
主要な互換機能
●Word(DOCX、DOC)形式との互換性
●Excel(XLSX、XLS)形式との互換性
●PowerPoint(PPTX、PPT)形式との互換性
●PDF閲覧・編集機能(Office 2から追加)
動作の軽快性
WPS Office 2はMicrosoft Officeと比べて、本当に必要な機能しか搭載していないため、軽快な動作が可能となっています。古い中古パソコンでもストレスなく動作することが期待できます。
日本語フォント対応
Microsoft Officeでよく使われるフォント29種類は「基本フォント」としてすでにWPS Office 2にインストールされており、Microsoft Officeで作成したファイルを開く際もレイアウトが変わることはほとんどありません。
制限事項
WPS Office は基本的に互換性が高いですが、マクロや特定のプラグインは対応していません。高度なマクロやVBA機能を必要とする場合は、Microsoft Office の使用を検討する必要があります。
LibreOffice(完全無料)
基本情報
LibreOfficeは、オープンソースのオフィススイートで、どなたでも無料で使用することができます。OpenOffice.orgから派生したソフトウェアで、多くの独自機能も含まれています。
含まれるアプリケーション
以下のソフトウェアから構成されています
●文書ドキュメント(Writer)
●表計算ドキュメント(Calc)
●プレゼンテーション(Impress)
●図形描画(Draw)
●データベース(Base)
●数式(Math)
互換性について
Writer、Calc、ImpressについてはMicrosoft Officeとの互換性も確保されており、Word、Excel、PowerPointファイルの読み込み、保存もできるようになっています。
適用場面
不況とコストと闘っている中小零細企業、個人事業者には強力な味方となります。初期費用を一切かけずにオフィス機能を導入したい場合に最適です。
利点と制限
●完全無料で利用可能
●多機能で本格的なオフィス作業に対応
●日本語標準対応
●学習コストが若干必要
●企業サポートがない
Microsoft Office(正規版)
永続ライセンス版
Microsoft Office Homeは、「表計算ソフトExcel」「文章作成ソフトWord」「スライド作成ソフトPowerPoint」「テキストメモOne Note」の4つがセットで、買い切り型の永続版で、購入すればその後追加費用一切なし、さらに1つのライセンスで2台までインストールして使えます。
サブスクリプション版(Microsoft 365)
月額または年額で利用するタイプで、常に最新機能を利用できるメリットがあります。ただし、継続的な費用が発生します。
価格
●Office Home & Student:約29,000円〜
●Office Home & Business:約39,000円〜
●Microsoft 365 Personal:年額約12,984円
その他の選択肢
Google Workspace(旧G Suite)
●完全クラウドベース
●リアルタイム共同編集機能
●月額料金制
●インターネット接続必須
Office Suite(MobiSystems)
WPS Officeと異なる点は、年間ライセンスのサブスク型製品が多く、常に最新のバージョンを使用できる点で、すべての製品にメールソフトが付属しているのが特徴です。
用途別おすすめ選択
個人利用・基本的な事務作業
推奨:WPS Office 2 Personal Edition
理由
●Microsoft Officeとの高い互換性
●低価格(約4,189円)
●軽快な動作
●十分な日本語サポート
完全無料で始めたい場合
推奨:LibreOffice
理由
●完全無料
●多機能
●オープンソースの安心感
●長期的なコスト削減
ビジネス利用・高度な機能が必要
推奨:Microsoft Office
理由
●完全な互換性
●豊富な機能とサポート
●企業間でのファイル共有が確実
●マクロやVBA対応
予算別選択ガイド
予算0円
LibreOfficeが最適です。機能制限はありますが、基本的なオフィス作業は十分可能です。
予算5,000円以下
WPS Office 2 Personal Editionがベストバランスです。Microsoft Officeとの互換性と軽快な動作を両立しています。
予算10,000円以下
WPS Office 2の上位エディションまたはOffice Suite Personal(年間サブスク)を検討できます。
予算30,000円以上
正規のMicrosoft Office永続ライセンス版の購入を推奨します。
インストールと設定の注意点
WPS Office 2の場合
インストール手順
ダウンロード版を購入した場合、専用のページから WPS Office 2 インストーラーをダウンロードし、最初の1回目の起動だけシリアル番号入力ウィンドウが開きます。同梱のシリアルキーを入力すれば以後は永続利用できます。
ライセンスについて
WPS Office は 1ライセンス 1PC です。1ライセンスで 2PC にインストールするようなマルチライセンスではありませんので注意してください。
LibreOfficeの場合
初期設定の最適化
インストールした標準の状態ではアイコンスタイルがシンプルなものになっているため、メニューの「ツール」から「オプション」を選択し、左メニューの「LibreOffice」の「表示」を開いて「アイコンスタイル」を「Elementary」に変更することで見やすくなります。
リボン形式への変更
MS Officeのようにリボン形式のメニューが良い場合は、メニューの「表示」から「ユーザーインターフェース」を開き「タブ」を選択することで実現できます。
セキュリティと正規性の重要性
非正規版の危険性
非正規ソフトをインストールした中古パソコンを販売するECサイトにおいて、「マイクロソフト認定再生PC事業者」と偽って表記している企業があるようです。
正規品を購入する重要性
●セキュリティアップデートの確実な受信
●サポートの受けられる環境
●法的リスクの回避
●安定した動作の保証
Microsoft認定再生PC事業者
マイクロソフト認定再生PC事業者が販売する再生パソコンは、マイクロソフトが提供する正規のソフトウェアで中古パソコンを再生しているため、安心してご購入いただけます。
実際の互換性検証結果
WPS Office 2との互換性
Microsoft 純正 Word 2021 の新規テンプレートで作成した docx ファイルを WPS Writer でも開いてみて、表を使ったアンケートみたいなものも互換性バッチリです。かなり正確に表示されています。
ただし、Word で画像の明るさを調整していた場合、画像の色味を少し薄めに設定してありますが、WPS Writer ではそれが反映されず「素」の状態になるという制限があります。
LibreOfficeとの互換性
EXCELでファイルが破損して開けないとエラーが表示され開けないEXCELファイルでも、LibreOfficeで開くことができ、ファイルを一から作り直す必要がなくなったという報告もあります。
また、Googleスプレッドシートから書き出したCSVの文字コードがUTF8のため、エクセルで開くと文字化けしますが、LibreOfficeでしたらUTF8でもそのまま読み込んでくれるので変換の手間を省けるという利点もあります。
中古パソコン購入時の確認事項
OSの対応状況
CPUがIntelは第8世代Core、AMDはRyzen 2000以降かどうか、メモリが8GB以上あるか、ストレイジがSSDで容量は256GB以上あるかを確認することが重要です。
プリインストールソフトの確認
購入前に以下を確認してください
●オフィスソフトの有無と種類
●ライセンスの正規性
●アクティベーション状況
●サポート対象期間
長期的なコスト分析
5年間のトータルコスト比較
WPS Office 2 Personal Edition
●初期費用:4,189円
●アップデート費用:無料(メジャーアップデートは別途購入の可能性)
●5年間総コスト:約4,189円〜8,000円
LibreOffice
●初期費用:0円
●アップデート費用:無料
●5年間総コスト:0円
Microsoft Office 365 Personal
●初期費用:0円
●年間費用:約12,984円
●5年間総コスト:約64,920円
Microsoft Office Home & Business 2024
●初期費用:約39,582円
●アップデート費用:次期バージョンは別途購入
●5年間総コスト:約39,582円〜60,000円
パフォーマンスと動作要件
システム要件の比較
WPS Office 2
●Windows 10以降推奨
●メモリ4GB以上推奨
●軽快な動作で旧型PCでも快適
LibreOffice
●Windows 7以降対応
●メモリ2GB以上推奨
●幅広いシステムで動作
Microsoft Office
●Windows 10/11最新版推奨
●メモリ4GB以上必須
●定期的なアップデートが必要
トラブルシューティング
よくある問題と解決策
文字化けの問題
●LibreOffice:文字エンコーディングを手動で指定
●WPS Office:自動認識機能を活用
●Microsoft Office:地域設定の確認
ファイル形式の問題
●保存時にMicrosoft Office形式を選択
●互換性チェック機能の活用
●バージョン確認の重要性
印刷レイアウトのズレ
●プリンタドライバーの最新化
●ページ設定の再確認
●PDF出力での検証
業務効率化のコツ
テンプレートの活用
●定型書類のテンプレート化
●よく使う設定の保存
●スタイルの統一化
ショートカットキーの習得
●基本操作の効率化
●各ソフト固有の機能活用
●作業時間の短縮
クラウド連携の活用
●バックアップの自動化
●デバイス間での同期
●共同作業の効率化
サポートとコミュニティ
各ソフトのサポート体制
WPS Office
●公式サポート:有償サポートあり
●ユーザーコミュニティ:中程度
●ドキュメント:日本語対応
LibreOffice
●公式サポート:コミュニティベース
●ユーザーコミュニティ:豊富
●ドキュメント:充実した日本語情報
Microsoft Office
●公式サポート:充実
●ユーザーコミュニティ:最大規模
●ドキュメント:最も充実
将来性と発展性
アップデート方針
WPS Office
●定期的な機能向上
●互換性の継続的改善
●日本市場への対応強化
LibreOffice
●オープンソースコミュニティによる開発
●長期的な安定性
●新技術への対応
Microsoft Office
●最新技術の積極的導入
●AIとの統合
●クラウドファーストの方向性
学習リソースとスキルアップ
推奨学習方法
初心者向け
●公式チュートリアルの活用
●YouTube等の動画コンテンツ
●書籍による体系的学習
中級者向け
●機能の完全習得
●効率化テクニックの習得
●マクロ機能の活用(対応ソフトのみ)
上級者向け
●カスタマイズの深化
●他ツールとの連携
●自動化の実装
企業導入における考慮事項
ライセンス管理
●使用者数の正確な把握
●ライセンス期限の管理
●コンプライアンス対応
移行計画
●既存データの変換作業
●従業員への教育研修
●段階的な移行実施
セキュリティポリシー
●データ保護対策
●アクセス権限の設定
●情報漏洩対策
まとめ
中古パソコンに最適なオフィスソフトの選択は、利用目的と予算、そして長期的な視点を総合的に考慮することが重要です。
最も推奨される選択肢
多くの中古パソコンユーザーには WPS Office 2 Personal Edition を最も推奨します。理由として、Microsoft Officeとの高い互換性、軽快な動作、リーズナブルな価格、充実した日本語サポートが挙げられます。
予算を最重視する場合
初期費用を一切かけたくない場合は、LibreOffice が最適です。完全無料でありながら本格的なオフィス作業が可能で、長期的なコスト削減効果は絶大です。
ビジネス利用で確実性を重視する場合
企業間でのファイル共有が頻繁で、マクロやVBA機能が必要な場合は、Microsoft Office の導入を検討してください。初期投資は高額ですが、確実な互換性と豊富なサポートが得られます。
導入時の重要ポイント
どのソフトを選択する場合でも、以下の点を必ず確認してください
●正規ライセンスの確保
●セキュリティアップデートの継続性
●必要な機能の事前確認
●長期的なコストの試算
中古パソコンの魅力である低価格性を活かしつつ、適切なオフィスソフトを選択することで、快適で生産性の高いコンピューティング環境を構築できます。各ソフトウェアの特性を理解し、自分の利用スタイルに最も適した選択をすることが、満足度の高いパソコンライフに繋がります。
技術の進歩とともに、オフィスソフトの選択肢は今後もさらに多様化していくことが予想されます。定期的に最新情報をチェックし、より良い選択肢があれば柔軟に検討することも大切です。
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