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2025.3.28

Wordで文書の章ごとに異なるページ番号を設定する方法

Officeのお役立ち情報

記事の最終更新日:2025年7月10日

質問する若い女性
Wordのページ番号が、うまくいかない…

今、大学の卒業論文をWordで書いているのですが、ページ番号の設定で完全に詰まってしまいました。

要件として、①表紙にはページ番号を入れず、②目次にはローマ数字(i, ii, iii...)を振り、③本文の第一章から、アラビア数字の「1」から番号を始めないといけないんです。

でも、普通にページ番号を挿入すると、全部のページに連番が振られてしまって、どうしても指定通りの形式になりません。

Wordで、文書のパートごとに、ページ番号の書式や開始番号を自由に変えることって、できないのでしょうか?

何か特別な設定方法があるなら、ぜひ教えてほしいです。

解説する博識な男性
パソコン専門店のスタッフ

そのお悩み、長文の公式文書を作成する全ての人が、一度はぶつかる「最後の壁」とも言える、非常に高度な課題ですね。

ご安心ください、その壁を突破するための「魔法の鍵」が、Wordにはちゃんと用意されています。

その鍵の名は、「セクション区切り」です。

多くの方は、Word文書を一枚の長い巻物のように捉えていますが、プロは、この「セクション区切り」という見えない壁を使い、文書を、それぞれが独立したルールを持つ「部屋」に分割して考えています。

部屋ごとにページ番号のルールを変え、ヘッダーやフッターの内容も自由に変更する。

この記事では、その「セクション」という概念の完全な理解から始め、セクション間の「鎖」を断ち切る方法、そして各セクションに意図通りのページ番号を設定していくまでの、具体的で体系的な手順を、一つ一つ丁寧に解説していきます。

あなたの論文を、プロフェッショナルな見た目の公式文書へと、一緒に仕上げていきましょう。

ページ番号設定の哲学:文書は「単一の塊」ではなく「独立した区画の集合体」である

Microsoft Wordで、論文や報告書、マニュアルといった、構造化された長文の文書を作成する際、私たちがまず乗り越えなければならない思考の壁があります。

それは、「Word文書は、一枚の連続した紙である」という、直感的な、しかし誤った認識です。

Wordの高度なページレイアウト機能の神髄は、文書を、それぞれが独自の書式(ページ番号、ヘッダー/フッター、余白、印刷の向きなど)を持つことができる、複数の独立した「セクション」という区画の集合体として捉えることにあります。

表紙、目次、本文、参考文献、付録といった、文書の各構成要素を、それぞれ別の「セクション」として定義する。

この「セクション」という概念を理解し、自在に操ることこそが、単なる文章作成ツールとしてのWordから、高度な組版が可能なDTP(デスクトップパブリッシング)ツールとしてのWordへと、その使い方を昇華させるための、唯一にして絶対の鍵なのです。

第一章:魔法の鍵「セクション区切り」の完全理解

複雑なページ番号設定を実現するための、全ての土台となるのが「セクション区切り」です。

この、目に見えないが極めて強力な機能を、まずは徹底的に理解しましょう。

セクション区切りとは何か? なぜ必要なのか?

セクション区切りは、Word文書内に挿入できる、特殊な編集記号の一つです。

それは、文書の見た目上は改ページのように振る舞いますが、その前後で、文書の「構造」を完全に分割します。

セクション区切りを挿入することで、その区切りの前後で、以下のような書式を、それぞれ全く別の設定にすることが可能になります。

  • ・ページ番号の書式(アラビア数字、ローマ数字など)と開始番号
  • ・ヘッダーとフッターの内容
  • ・ページの向き(縦または横)
  • ・段組の数
  • ・ページの余白設定

つまり、「表紙だけはページ番号を付けたくない」「目次だけはローマ数字にしたい」といった、文書のパートごとに異なるルールを適用したい、という要求は、全てこのセクション区切りを挿入することから始まるのです。

セクション区切りの挿入方法と、その「可視化」

セクション区切りを挿入するには、「レイアウト」タブ > 「区切り」ボタンをクリックし、「セクション区切り」の項目から目的の種類を選択します。

今回の目的で最もよく使われるのは「**次のページから開始**」です。

これは、改ページとセクション区切りの挿入を、同時に行ってくれる便利な機能です。

しかし、挿入されたセクション区切りは、通常の状態では目に見えません。

そこで重要になるのが、「ホーム」タブにある「編集記号の表示/非表示(¶)」ボタンです。

このボタンをオンにすることで、スペースや改行、そしてセクション区切りといった、全ての編集記号が画面上に表示されます。

「===== セクション区切り (次のページから) =====」といった表示が見えることで、今、自分の文書が、どこで、どのように分割されているのかを、正確に把握しながら作業を進めることができます。

高度な文書作成においては、この編集記号を常に表示させておくことが、ミスのない操作の基本です。

第二章:実践 - 論文・報告書のためのページ番号設定ステップ・バイ・ステップ

それでは、冒頭の「表紙(番号なし)」「目次(ローマ数字)」「本文(アラビア数字で1から)」という、典型的な要件を実現するための、具体的な手順を解説していきます。

ステップ1:文書の構造を「セクション区切り」で分割する

まず、あなたのWord文書を、目的の構造に分割します。

  1. ・表紙ページの、一番最後の文字の後ろにカーソルを置きます。
  2. ・「レイアウト」タブ > 「区切り」 > 「次のページから開始」を選択します。これにより、表紙(セクション1)と、目次以降(セクション2)が、構造的に分割されます。
  3. ・次に、目次ページの、一番最後の文字の後ろにカーソルを置きます。
  4. ・再び、「レイアウト」タブ > 「区切り」 > 「次のページから開始」を選択します。これにより、目次(セクション2)と、本文以降(セクション3)が分割されます。

これで、あなたの文書は、それぞれが独立したルールを持つことができる、3つのセクションに分割されました。

ステップ2:ヘッダーとフッターの「鎖」を断ち切る

ここが、多くの人がつまずく、最も重要なステップです。

デフォルトでは、新しく作成したセクションのヘッダーとフッターは、前のセクションの設定を「継承」するように、見えない鎖で繋がれています。

この鎖(リンク)を断ち切らない限り、セクションごとに異なるページ番号を設定することはできません。

  1. ・まず、セクション2の最初のページ(目次ページ)の、フッター領域をダブルクリックして、フッターの編集モードに入ります。
  2. ・すると、画面上部に「ヘッダー/フッター」という専用のタブが表示されます。その中にある、「**前と同じヘッダー/フッター**」というボタンが、オレンジ色にハイライトされているはずです。これが、前のセクション(セクション1)とリンクしている証です。
  3. ・この「前と同じヘッダー/フッター」ボタンを、一度クリックして、ハイライトを解除します。フッターの右側に表示されていた「前と同じ」というラベルが消えれば、鎖は断ち切られました。
  4. ・同様に、セクション3の最初のページ(本文の1ページ目)のフッター領域でも、同じ操作を行い、「前と同じヘッダー/フッター」のリンクを解除します。

この「リンクの解除」こそが、セクションごとの独立したページ番号設定を可能にするための、必須の儀式なのです。

ステップ3:各セクションに、意図通りのページ番号を設定する

全ての準備が整いました。

いよいよ、各セクションに、それぞれのルールに基づいたページ番号を挿入していきます。

【セクション1:表紙】

このセクションには、何もする必要はありません。

セクション2のフッターとのリンクは既に断ち切られているため、ここにページ番号が挿入されることはありません。

【セクション2:目次】

  1. ・目次ページ(セクション2)のフッターにカーソルを置きます。
  2. ・「ヘッダー/フッター」タブ > 「ページ番号」 > 「ページ番号の書式設定」を選択します。
  3. ・「ページ番号の書式」ダイアログで、「番号書式」を「i, ii, iii, ...」に変更します。
  4. ・「連続番号」セクションで、「開始番号」にチェックを入れ、「i」に設定します。そして「OK」を押します。
  5. ・最後に、再び「ページ番号」ボタンから、番号を配置したい場所(例:「ページの下部」>「番号のみ、中央」)を選択します。すると、フッターに「i」というページ番号が挿入されます。

【セクション3:本文】

  1. ・本文の最初のページ(セクション3)のフッターにカーソルを置きます。
  2. ・同様に、「ページ番号の書式設定」を開きます。
  3. ・「番号書式」が「1, 2, 3, ...」になっていることを確認します。
  4. ・「連続番号」セクションで、「開始番号」にチェックを入れ、「1」に設定します。そして「OK」を押します。
  5. ・最後に、ページ番号を挿入すると、フッターに「1」という、新たな開始番号が挿入されます。

これで、あなたの文書は、表紙は番号なし、目次はローマ数字、そして本文は1から始まるアラビア数字、という、完璧なページネーションを持つに至りました。

第三章:さらに高度なページ番号テクニック

基本をマスターすれば、さらに複雑な要求にも応えることができます。

【章番号を含めたページ番号(例:1-1, 1-2)】

「ページ番号の書式設定」ダイアログには、「章番号を含める」というチェックボックスがあります。

これを有効にするには、まず、各章のタイトルが、Wordの「スタイル」機能を使って、「見出し1」として設定されている必要があります。

この条件を満たしていれば、Wordは自動的に章番号を認識し、「1-1, 1-2, ... 2-1, 2-2, ...」といった、より詳細なページ番号を自動で振ってくれます。

【先頭ページのみ別指定 / 奇数・偶数ページ別指定】

「ヘッダー/フッター」タブには、これらのチェックボックスも用意されています。

「先頭ページのみ別指定」は、各章の最初のページだけ、ヘッダーやフッターを表示させたくない、といった場合に利用します。

「奇数・偶数ページ別指定」は、書籍のように、ページの左右(外側)にページ番号を配置したい、といった高度な組版レイアウトを実現するための機能です。

まとめ:セクションを制する者は、Wordを制する

Wordでの複雑なページ番号設定の旅は、私たちに一つの重要な真実を教えてくれます。

それは、高度な機能の根底には、必ずシンプルで、しかし極めて強力な「基本原則」が存在する、ということです。

Wordの長文作成における、その基本原則こそが、「セクション」という概念です。

  1. 第一の壁:セクション区切りを理解し、挿入する。 文書を、異なるルールを持つことができる、独立した区画へと分割する。これが、全ての始まりです。
  2. 第二の壁:「前と同じヘッダー/フッター」のリンクを断ち切る。 新しいセクションに、独自の書式を与えるための、必須の儀式。この「鎖」の存在を忘れてはいけません。
  3. 最後の仕上げ:ページ番号の書式設定を使いこなす。 各セクションごとに、番号の「書式(ローマ数字か、アラビア数字か)」と、「開始番号」を、意図通りに再設定する。

この三つのステップをマスターすれば、あなたはもう、ページ番号の設定に頭を悩ませることはありません。

論文、報告書、マニュアル、あるいは書籍の原稿まで、あらゆる長文の公式文書を、プロフェッショナルな品格を持つ、美しいレイアウトで仕上げることができるようになるでしょう。

Wordというツールの、真のポテンシャルを、ぜひあなたの手で解放してください。

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