
OneNoteでプロジェクト管理!効率的な使い方ガイド
Officeのお役立ち情報

この記事の最終更新日:2025年7月7日

先輩、最近、初めて小さなプロジェクトのリーダーを任されたんですけど、情報管理が本当に大変で…もうカオスなんです。
議事録はWord、タスクリストはExcel、参考資料はPDFやWebクリップ、お客様とのやり取りはOutlookのメール、アイデア出しは手元の付箋メモ…と、全部の情報がバラバラで、いつも「あれ、あの資料どこに保存したっけ?」って探す時間ばかりが過ぎていって。
OneNoteがいいって聞いたんですけど、私にはただのデジタルノートにしか見えなくて…。これでどうやって、複雑なプロジェクトを管理するのか、全くイメージが湧かないんです。

その悩み、プロジェクトを率いる者なら誰もが必ず通る道だね。そして、OneNoteの本質を見抜く、とても良い質問だ。
多くの人はOneNoteを「デジタル版の大学ノート」くらいにしか思っていない。でも、その本当の姿は、テキスト、画像、手書きメモ、音声、動画、ファイルそのものまで、ありとあらゆる情報を飲み込み、自由自在に構造化できる『思考と情報のセントラルハブ』なんだ。
専用のプロジェクト管理ツールが「決められた間取りのオフィスビル」なら、OneNoteは「内部を自由に設計・改造できる、無限の広さを持つ巨大なアトリエ」のようなもの。
今日は、そのアトリエの中に、君だけの最強のプロジェクト管理システムをゼロから設計・構築するための、具体的な設計図とプロのテクニックを、日本一詳しく解説していこう。
【思想編】なぜ専用ツールではなく「OneNote」でプロジェクトを管理するのか?
世の中には、Asana, Trello, Jiraといった、高機能なプロジェクト管理専用ツールが数多く存在します。
では、なぜ私たちは、あえて「ノートアプリ」であるOneNoteを、プロジェクト管理の母艦として推奨するのでしょうか。
その理由は、OneNoteが持つ、他のツールにはない3つの本質的な価値にあります。
OneNoteの三大価値:「自由度」「情報集約力」「エコシステム連携」
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1. 無限のキャンバスがもたらす「思考の自由度」:
OneNoteのページには、決まったフォーマットや枠線が存在しません。テキストボックスは好きな場所に配置でき、手書きのスケッチやマインドマップを自由に描き加えられます。この制約のない「無限のキャンバス」は、プロジェクト初期の混沌としたアイデア出しや、複雑な問題の構造化といった、非線形な思考プロセスを強力にサポートします。整然としたリスト形式では表現しきれない、思考の「過程」そのものを記録できるのです。
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2. あらゆる情報を飲み込む「情報集約力」:
プロジェクトの情報は、テキストだけではありません。OneNoteは、Webページのクリップ、PDFやOffice文書の埋め込み、画像、手書きメモ、音声録音、さらには動画まで、あらゆる形式の情報を一つのページに集約できます。情報が散在しがちなプロジェクトにおいて、「ここを見れば全てがある」という唯一無二の「情報ハブ」を構築できること。これがOneNoteの最大の強みです。
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3. Microsoft 365とのシームレスな「エコシステム連携」:
OneNoteは、単体で完結するアプリではありません。Outlook、Teams、To Do、Plannerといった、多くのビジネスパーソンが日常的に使うMicrosoft 365のツール群と、深く、シームレスに連携します。このエコシステム全体で活用することで、OneNoteは単なるノートアプリを超え、業務全体の生産性を向上させる、強力なプラットフォームへと進化するのです。
OneNoteが不得意なことと、その対策
もちろん、OneNoteは万能ではありません。
自由度の高さと引き換えに、厳密な管理が求められる領域は不得意です。
例えば、タスク間の依存関係を考慮したガントチャートプロジェクト管理や生産管理などで用いられる、作業の進捗状況を視覚的に表現するための棒グラフの一種。の作成や、担当者への自動リマインダー通知といった機能は、標準では備わっていません。
しかし、これは大きな問題ではありません。
これらの弱点は、Microsoft PlannerやTo Doといった、タスク管理に特化したツールと連携させることで、見事に補完することができるのです。
重要なのは、OneNoteを「すべての情報を集約し、思考を整理する母艦」と位置づけ、他のツールと適切に役割分担させることです。
【第一部:設計編】最強のプロジェクトノートブックをゼロから構築する
OneNoteの自由度の高さを活かすには、最初にしっかりとした「設計図」、すなわち情報の構造化ルールを決めることが極めて重要です。
ルールなき自由は、ただのカオスを生むだけです。
情報の構造化:P.A.R.A.メソッドによるノートブック設計
情報の整理術として世界的に評価されているP.A.R.A.メソッド生産性向上コンサルタントのTiago Forte氏が提唱する情報整理術。情報をProjects(プロジェクト)、Areas(エリア)、Resources(リソース)、Archives(アーカイブ)の4つのカテゴリに分類する。は、OneNoteの構造と非常に相性が良い考え方です。
このメソッドに基づき、以下のようにノートブック自体を役割で分割することから始めます。
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1. ノートブック「1_Projects」:
「明確なゴールと期限がある、現在進行中の仕事」を管理します。例えば、「新製品Aローンチ」「2025年度予算策定」といったものが該当します。各プロジェクトを「セクショングループ」または「セクション」として作成します。
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2. ノートブック「2_Areas」:
「明確なゴールはないが、継続的に責任を持つ領域」に関する情報を蓄積します。例えば、「部署定例会」「人材育成」「マーケティング戦略」などです。自分の役職や役割に応じたセクションを作成します。
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3. ノートブック「3_Resources」:
「個人的に興味があり、いつか役立つかもしれないテーマ」に関する情報を集めます。「競合他社分析」「Webデザイン参考」「プログラミングTIPS」など、あなたの知的好奇心を満たすための場所です。
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4. ノートブック「4_Archives」:
完了したプロジェクトや、不要になったAreas、興味のなくなったResourcesを保管する場所です。情報を削除するのではなく、ここに移動させることで、いつでも過去の情報を参照できます。
このように情報の保管場所を役割で明確に分けることで、「この情報はどこにあるべきか?」という迷いをなくし、常に整理された状態を維持できます。
作業効率を爆上げする「プロジェクトテンプレートページ」の作成
新しいプロジェクトが始まるたびに、ゼロからノートブックの構成を考えるのは非効率です。
そこで、標準的なプロジェクトのページ構成を「テンプレート」として作成し、使い回せるようにしておきましょう。
例えば、あるプロジェクトのセクション内に、以下のページをテンプレートとして用意します。
- ・01_ダッシュボード: プロジェクトの目的、ゴール、期間、主要メンバー、関連リンクなどをまとめた、プロジェクトの「顔」となるページ。
- ・02_議事録: 会議のたびに、このページ内に新しいサブページを作成して時系列で記録。
- ・03_タスクリスト: OneNoteの「ToDoタグ」機能を活用し、タスク、担当者、期限を一覧化。
- ・04_資料保管庫: 関連するPDF、Excel、PowerPointなどを直接埋め込む場所。
- ・05_アイデアノート: ブレインストーミングやラフスケッチに使う、自由な発想のための白紙ページ。
この一連のページ群を、セクションごとコピーすることで、新しいプロジェクトが始まっても、数秒で標準化された作業環境を構築できます。
(残念ながらOneNoteにはページをテンプレートとして直接保存する機能がありませんが、空のテンプレート用セクションを作成し、それを都度コピーするのが最も効率的な方法です。)
【第二部:実践編】OneNoteの機能を120%引き出す高度なテクニック
優れた設計図ができたら、次はOneNoteの各機能を最大限に活用する具体的なテクニックを習得しましょう。
情報の高速入力と整理術
プロジェクトの情報は、様々な形で、様々な場所から飛び込んできます。
それらをいかにストレスなくOneNoteに集約するかが鍵となります。
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1. 「OneNoteに送る」機能:
Outlookのリボンにあるこのボタンは神機能です。受信したメールや、開催する会議の出席者・議題といった情報を、ワンクリックで指定のOneNoteページに転送できます。これにより、やり取りの経緯が全てOneNoteに記録されます。
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2. 画面の領域の取り込み:
Windowsでは `Win + Shift + S`、Macでは `Cmd + Shift + 4` を使って画面の一部をキャプチャし、クリップボードにコピーしたものを、OneNoteに直接貼り付けられます。Webサイトのデザインや、エラーメッセージの記録に最適です。
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3. OCR(光学的文字認識):
OneNoteは、貼り付けられた画像やPDFに含まれるテキストを、自動で認識し、検索対象にしてくれます。紙の資料をスキャンして貼り付けておくだけで、後からキーワードで検索できるようになる、非常に強力な機能です。
検索性を飛躍させる「タグ」の戦略的活用
OneNoteの「タグ」機能は、単なる「ToDo(チェックボックス)」だけではありません。
独自のカスタムタグを作成し、戦略的に利用することで、ノートブック内の情報が有機的に繋がり始めます。
例えば、以下のような命名規則でカスタムタグを作成します。
- ・@担当者名:「@山田」「@鈴木」のように、タスクの担当者を示すタグ。
- ・#ステータス:「#未着手」「#進行中」「#完了」のように、タスクの進捗状況を示すタグ。
- ・?確認事項: 後で誰かに確認が必要な項目に付けるタグ。
- ・!重要: プロジェクトにおける重要決定事項やリスクに付けるタグ。
このようにタグ付けされた情報は、「ホーム」タブの「タグの検索」機能で、ノートブック全体を横断して一覧表示できます。
例えば、「自分が担当(@自分)で、まだ終わっていない(#未着手 or #進行中)タスク」だけを、すべてのプロジェクトから抽出して表示する、といった芸当が可能になります。
【第三部:連携編】Microsoft 365エコシステムでOneNoteを要塞化する
OneNoteの真価は、Microsoft 365の他のアプリケーションと連携させたときに、最大限に発揮されます。
Outlookとの神連携:メールとタスクをシームレスに
前述の「OneNoteに送る」機能に加え、OneNote側からの連携も強力です。
OneNoteのページ上でタスクを書き出し、その行を選択して「Outlookタスク」のフラグを設定すると、そのタスクがOutlookの「ToDoバー」に自動で表示されます。
これにより、OneNoteで詳細な計画を練り、日々のタスク実行は使い慣れたOutlook上で行う、という効率的なワークフローが実現します。
Microsoft Teamsとの統合
Teamsの各チャネルの上部にある「+」ボタンからタブを追加し、「OneNote」を選択することで、チームで共有しているプロジェクトノートブックを、Teamsのインターフェース内に直接埋め込むことができます。
これにより、チームメンバーはチャットでの会話からシームレスにノートブックにアクセスし、会議中にリアルタイムで議事録を共同編集するといった、高度なコラボレーションが可能になります。
Power Automateによる超自動化(上級者向け)
Power AutomateMicrosoftが提供する、様々なアプリケーションやサービス間の処理を自動化するためのクラウドサービス。旧称Microsoft Flow。を使えば、プログラミング知識なしで、OneNoteに関連する定型作業を完全に自動化できます。
例えば、以下のような「レシピ」を作成可能です。
- ・トリガー:「Outlookで、特定の件名(例: [報告])を持つメールを受信したら」→ アクション:「OneNoteの"週次報告"セクションに、そのメールの本文を新しいページとして作成する」
- ・トリガー:「Plannerで、自分が担当者の新しいタスクが作成されたら」→ アクション:「OneNoteの"今日のタスク"ページに、そのタスク名と期限を追記する」
- ・トリガー:「毎朝9時に」→ アクション:「OneNoteの"業務日誌"セクションに、今日の日付で新しいページを作成する」
Power Automateを駆使することで、OneNoteはもはや単なるノートではなく、あなたの業務プロセスに組み込まれた、自動化された情報システムの一部と化すのです。
まとめ - OneNoteは「育てる」プロジェクト管理ツールである
OneNoteによるプロジェクト管理は、最初から完成されたシステムを与えられるものではありません。
それは、あなた自身の思考スタイルや、プロジェクトの特性に合わせて、ブロックを組み合わせるように、少しずつ最適なシステムを「育てていく」創造的なプロセスです。
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1. まずは「構造化」から始めよ:
P.A.R.A.メソッドなどを参考に、あなたなりのノートブックの設計思想を確立すること。しっかりとした骨格が、後の拡張性を決定します。
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2. 「テンプレート」と「タグ」を使いこなせ:
定型業務はテンプレートで効率化し、情報はタグで有機的に繋げること。この2つが、OneNoteを単なるメモ帳から脱却させるための鍵です。
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3. 「エコシステム」の力を借りよ:
OneNoteを孤立したツールとして使うのではなく、Outlook, Teams, To Do, Power AutomateといったMicrosoft 365の仲間たちと連携させること。これにより、OneNoteはあなたの仕事全体の「司令塔」へと進化します。
完璧なシステムを最初から目指す必要はありません。
まずは、今あなたが抱えている一つの小さなプロジェクトで、この記事で紹介したテンプレートやタグ付けを試してみてください。
OneNoteは、使えば使うほど、あなたの思考の癖を学習し、あなたにとってかけがえのない「第二の脳」へと育っていくはずです。
その成長の過程そのものが、プロジェクト管理の面白さであり、醍醐味なのです。
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