
OneDriveでファイル共有をスムーズに!権限設定とセキュリティ
Officeのお役立ち情報

この記事の最終更新日:2025年7月9日

先輩、お客様に見積書や提案書といったファイルを送るとき、いつもどうすればいいか悩むんです。
メールに添付すると容量が大きすぎて送れなかったり、後から修正があったときにバージョン管理が大変になったりして…。
OneDriveの「共有」機能を使えば便利だと聞いたんですけど、リンクを発行するのはなんだかセキュリティがすごく不安で。
「リンクを知っている全員が編集可能」みたいな設定で送ってしまって、もし関係ない人にまで見られたり、勝手に内容を書き換えられたりしたら、って考えると怖くて使えないんです。
もっと安全にそしてスマートに特定の人とだけファイルを共有するためのプロフェッショナルな方法ってないんでしょうか?

その不安とその慎重さこそ、デジタル時代のビジネスパーソンにとって最も重要な資質だよ。素晴らしいね。
多くの人はOneDriveの共有機能を単にファイルを「送る」ための一方通行の手段だと考えている。でもその本質は全く違うんだ。
それはクラウド上にある「唯一無二の原本」への『アクセス権』を、あなたが厳格なセキュリティガードとして特定の相手に特定の条件で一時的に『許可』する高度なアクセス制御システムなんだ。
誰にどこまで見せるのか。編集を許可するのか。いつまでその扉を開けておくのか。その全ての権限は君の手の中にある。
今日はそのOneDrive共有機能の真の力を解放するための全知識を伝授しよう。様々な共有リンクの種類とその戦略的な使い分けからプロが実践する鉄壁のセキュリティ設定、そしてチームでの共同作業を円滑にするための応用テクニックまで、日本一詳しく解説していくよ。
【思想編】それは「送信」ではない、「アクセス権の委譲」である
私たちがまず最初に覆すべき古い概念。
それはファイルをメールに添付して「送信する」という考え方です。
ファイルをメールに添付した瞬間、そのファイルはあなたの管理下を離れ無数の「コピー」として世界に拡散していきます。
相手がそのファイルをさらに別の人に転送しても、あなたにはそれを知るすべも止めるすべもありません。
後からファイルに間違いが見つかっても一度送ってしまった全てのコピーを回収・修正することは不可能です。
一方OneDriveでファイルを共有するという行為は全く思想が異なります。
あなたが共有するのはファイルの「コピー」ではありません。
あなたが相手に渡しているのはクラウド上にある「唯一のオリジナルファイル」へと通じる一時的な「合鍵(アクセス権)」なのです。
この「合鍵」はあなたがいつでも無効にしたりその権限(「閲覧のみ」「編集可能」など)を変更したりすることができます。
もしオリジナルファイルを修正すれば、その合鍵を持つ全ての人がアクセスするファイルは自動的に最新の状態に更新されます。
バージョン管理の悪夢はもはや存在しません。
ファイル共有とはデータを無秩序に拡散させる行為ではなく、唯一のマスターデータへのアクセス権を厳格に管理・委譲するという高度な情報管理術なのです。
このパラダイムシフトを理解することがOneDriveの共有機能をマスターするための全ての始まりとなります。
【第一章:アクセス制御編】共有リンクの「4つの信頼レベル」を支配する
OneDriveの「共有」ボタンを押すと最初にあなたが直面するのが「どのような範囲の人々と共有するか」というリンクタイプの選択です。
これはあなたのファイルのセキュリティレベルを決定づける最も重要な選択です。
プロは共有する相手と情報の機密性に応じてこの4つの信頼レベルを戦略的に使い分けます。
レベル1:「すべてのユーザー」(Anyone)- 最大の利便性と最大のリスク
これは「リンクを知っている人なら誰でもアクセスできる」という最もオープンな共有設定です。
相手がMicrosoftアカウントを持っている必要もなくリンクをクリックするだけでファイルにアクセスできるため非常に便利です。
しかしこれは同時に最も危険な設定でもあります。
もしこのリンクが意図しない第三者の手に渡れば、あなたのファイルは完全に無防備な状態となります。
この設定を使うのはチラシや公開イベントの案内状など、そもそも不特定多数に見られても全く問題のない情報に限定すべきです。
そしてもしやむを得ずこの設定を使う場合でも、必ず以下の二つの安全装置をかける習慣をつけましょう。
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有効期限の設定:
リンクが有効な期間を限定します。イベントの終了日やファイルの確認期限を設定しておくことで、役目を終えたリンクがインターネット上を永遠に彷徨うというリスクを防ぎます。
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パスワードの設定:
リンクにパスワードを設定し、そのパスワードはリンクを送るメールとは別の手段(例えばチャットや電話)で相手に伝えます。これによりたとえリンクURLが漏洩してもパスワードを知らなければファイルにアクセスできずセキュリティは飛躍的に向上します。
レベル2:「組織内のすべてのユーザー」- 安全な社内情報共有
これはあなたの会社や学校といった同じMicrosoft 365組織に所属するアカウントでのサインインを要求する設定です。
社内規定や全社向けのお知らせなど組織内のメンバーであれば誰が見ても問題のない情報の共有に適しています。
リンクが万が一外部に漏洩しても組織外の人間はサインインできないためアクセスすることはできません。
レベル3:「既存のアクセス許可を持つユーザー」- アクセス権の再確認
このオプションは少し特殊で誤解されやすいものです。
これは新しいアクセス権を付与するのではなく、既にそのファイルやそれが保存されているフォルダに対して何らかのアクセス権を持っている人々にだけ有効なリンクを生成します。
例えばチームの共有フォルダにあるファイルへのリンクをチームメンバーに再送付し「この件確認お願いします」とリマインドするような用途で使います。
これにより誤って関係のない人にまでアクセス権を広げてしまうリスクを防ぐことができます。
レベル4:「特定のユーザー」- 最も安全な機密情報の共有
これこそが顧客との見積書や契約書のやり取りなど機密性の高い情報を共有する際の唯一許される選択肢です。
このオプションを選択し相手のメールアドレスを指定すると、その相手はファイルにアクセスする際に必ず指定されたメールアドレスのアカウントでサインインし本人であることの認証を求められます。
これにより「特定の個人」に対してのみアクセスを許可するという極めて厳格で安全なファイル共有が実現します。
【第二章:権限設定編】相手に「何」を許可するのかを精密に制御する
リンクタイプでアクセスできる「人」を限定したら次は、その人がファイルに対して何ができるかという「権限」を精密に制御します。
共有ダイアログの鉛筆アイコンから権限レベルを選択します。
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編集可能:
相手にファイルの閲覧編集コピーダウンロードの全ての権限を与えます。WordやExcel、PowerPointのファイルを共同編集する際に選択します。
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レビューモードで開く:
Word文書の共有で利用できる強力なモードです。相手は文書を直接編集することはできませんがWordの「変更履歴の記録」機能がオンになった状態で修正案やコメントを追加できます。あなたがその提案を「承諾」して初めて元の文書に反映されます。相手に自由な編集権限を与えたくないがフィードバックは欲しいという絶妙な状況に最適です。
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表示可能:
相手に閲覧のみを許可します。しかしデフォルトではファイルのダウンロードは可能です。もしダウンロードまで禁止したい場合はリンク設定で「ダウンロードをブロック」のスイッチをオンにする必要があります。これはデザインカンプや機密性の高いPDF資料のレビューに不可欠な機能です。
【第三章:管理・応用編】共有後のライフサイクルを支配する
ファイル共有はリンクを送って終わりではありません。
プロフェッショナルは共有したファイルのその後の「状態」まで厳格に管理します。
「アクセス許可の管理」による共有状態の棚卸し
OneDrive上のファイルを選択し「…」メニューから「アクセス許可の管理」を選ぶと、そのファイルに対して現在有効になっている全ての共有リンクとアクセス権を持つユーザーの一覧が表示されます。
ここであなたはいつでも特定の共有リンクのアクセスを停止させたりユーザーの権限を変更したりアクセス権を完全に削除したりすることができます。
定期的に自分の重要なファイルの共有状態を棚卸しし不要になったアクセス権を整理することは、情報漏洩を防ぐための非常に重要なセキュリティ習慣です。
OneDriveとSharePointの戦略的使い分け
Microsoft 365環境ではファイルの保存場所として「OneDrive」と「SharePointMicrosoft 365に含まれるチーム向けの情報共有・コラボレーションのためのプラットフォーム。その中核機能がチーム用のドキュメントライブラリ(ファイルサーバー)です。」の二つが存在します。
この二つの使い分けを理解することが企業における効率的なファイル管理の鍵となります。
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OneDrive:
あなたの「個人用の仕事ファイル」を保存する場所です。あなたのデスクトップやドキュメントフォルダと同期されており、まだドラフト段階の資料やあなた個人が管理するファイルを置くのに適しています。
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SharePoint (およびTeamsの「ファイル」タブ):
チームや部署プロジェクトといった「組織の公式なファイル」を保存する場所です。ここに保存されたファイルは元々チームメンバー全員がアクセス権を持っており属人化を防ぎ情報資産の継続的な管理を可能にします。
原則として個人で作業している間はOneDriveを使い、そのファイルがチームの共有資産となった段階でSharePointのドキュメントライブラリ(あるいはTeamsのファイルタブ)に移動させるというワークフローが推奨されます。
まとめ - ファイル共有とはあなたの「信頼」を形にするコミュニケーションである
OneDriveでのファイル共有は単なる技術的な操作ではありません。
それはあなたが扱う情報の価値を深く理解し、それを共有する相手との信頼関係に基づいてアクセス権というデリケートな権限を適切に設計する高度なコミュニケーション行為なのです。
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1. まず共有リンクの「4つの信頼レベル」をマスターせよ:
「すべてのユーザー」「組織内」「既存のアクセス許可」「特定のユーザー」。この4つの選択肢の中から共有する相手と情報の機密性に応じて常に最も厳格なものを選択する規律を持つこと。
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2. 次に相手に求めるアクションを定義し「権限」を精密に制御せよ:
相手に求めるのは「編集」か「レビュー」かそれともダウンロードさえ許さない「閲覧」か。あなたの意図を明確に権限設定に反映させることで意図しない情報の改変や拡散を防ぎます。
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3. そして共有後の「アクセス権の棚卸し」を習慣化せよ:
一度与えたアクセス権は永遠ではありません。プロジェクトの終了や担当者の変更に応じて定期的にアクセス権を見直し不要になった扉を確実に閉じること。これが継続的なセキュリティを担保します。
「この人ならこの情報へのアクセス権を渡しても大丈夫だ」というあなたの判断と信頼。
OneDriveの共有機能とはその目に見えない信頼関係をデジタルの世界で安全にかつスマートに実現するための最高のツールなのです。
ぜひこの強力なツールを使いこなしあなたのビジネスコミュニケーションを次のレベルへと進化させてください。
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