
中古パソコンで快適に動画編集を行うためのポイント
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この記事の最終更新日:2025年7月8日

先輩、最近、趣味で動画編集を始めたんですけど、私のノートパソコンだと、すぐに動作がカクカクになっちゃって、全然作業が進まないんです。
特に、4Kで撮影した素材をタイムラインに並べたり、エフェクトをかけたりすると、プレビューが紙芝居みたいになってしまって…。
プロが使うような、何十万円もする新品のパソコンじゃないと、快適な動画編集は無理なんでしょうか?
中古パソコンで、なんとか、この状況を打開する方法って、ないものですかね?スペックの見方も複雑で、何から手をつけていいのか、もうお手上げです。

その悩み、動画編集の世界に足を踏み入れた、すべてのクリエイターが、必ず通る道だよ。そして、それは、君が、より高みを目指している、素晴らしい証拠だ。
結論から言うと、答えは、断じてノーだ。適切な知識と戦略さえあれば、中古パソコンでも、プロに匹敵する、驚くほど快適な編集環境を、低コストで構築することが、十分に可能なんだ。
多くの人は、動画編集を、ただひたすらPCのパワーで殴り合う、馬力勝負だと思っている。でも、プロの現場では、必ずしもそうじゃない。
本当の快適さとは、PCの性能を100%引き出し、重いデータを、軽く見せかける『ワークフローの魔法』、特に『プロキシ編集』という技術を、知っているかどうかにかかっているんだ。
今日は、その魔法の正体から、動画編集におけるCPU、GPU、メモリの、本当の役割、そして、君の創造性を解き放つための中古PC選びの最適解まで、日本一詳しく、そして深く、解説していこう。
【思想編】それはPCの性能だけのせいではない - 「ワークフロー」という名の魔法
動画編集が重くなる、カクつく。
その原因を、多くの人は、単純に「PCのスペック不足」と考えがちです。
しかし、それは、問題の半分しか見ていません。
たとえ、最新・最強のPCを手に入れたとしても、扱うデータや、作業の進め方が非効率であれば、パフォーマンスは、いとも簡単に、頭打ちになります。
プロの映像編集の現場では、PCの絶対的な性能(馬力)と同じくらい、あるいは、それ以上に、効率的な「ワークフロー(作業手順)」を、重視します。
そして、そのワークフローの根幹をなすのが、「重いデータを、いかにして軽く見せかけ、快適に編集するか」という、知的な技術なのです。
中古パソコンで、快適な動画編集を実現するための最大の鍵は、この「ワークフロー」の概念を、深く理解することにあります。
最大のボトルネック「タイムライン再生」と、その解決策「プロキシ編集」
動画編集における、最もストレスが溜まる瞬間。
それは、編集中の「タイムライン」の再生が、カクカクと、紙芝居のようになってしまうことです。
これは、編集作業の根幹を揺るがし、クリエイターの、思考と、リズムを、著しく阻害します。
この問題の多くは、現代のカメラが記録する、高圧縮な動画ファイル形式(H.264 / H.265 (HEVC)非常に高い圧縮率を誇る、ビデオコーデックの規格。ファイルサイズを小さくできる反面、再生・編集時には、PCが、複雑な解凍処理をリアルタイムで行う必要があり、CPUに大きな負荷がかかります。など)を、編集ソフトが、リアルタイムで、デコード(解凍)しきれないことに、起因します。
この問題を、根本的に解決する、プロの常套手段が、「プロキシ編集 (Proxy Editing)元の高解像度で重い動画ファイル(オリジナル)とは別に、編集用に、低解像度で軽い動画ファイル(プロキシ)を、あらかじめ作成し、編集作業中は、この軽いプロキシファイルを使って、快適に作業を進める手法。」です。
編集中は、サクサク動く軽い「プロキシ」で作業を行い、最終的な書き出し(レンダリング)の時だけ、自動で、高画質の「オリジナル」ファイルに、差し替えて処理を行う。
Premiere Pro, DaVinci Resolve, Final Cut Proといった、主要な編集ソフトは、全て、このプロキシ編集のワークフローに、標準で対応しています。
この技術を使えば、数世代前の中古PCであっても、4K、あるいは、それ以上の解像度の動画を、驚くほど、快適に編集することが可能になるのです。
中古PCでの動画編集を考えるなら、まず、この「プロキシ編集」を、必ず行う、ということを、大前提としてください。
【第一部:スペック解剖編】動画編集における、PCパーツの本当の役割
プロキシ編集という魔法を覚えた上で、次に、PCの各パーツが、動画編集の、どの工程で、どのような役割を果たすのかを、正確に理解しましょう。
これにより、中古PC選びで、どこに予算を重点的に配分すべきかが、明確になります。
1. CPU - 編集の体感速度と、書き出し時間を司る「監督」
CPUは、動画編集において、二つの重要な役割を担います。
一つは、編集ソフトの操作そのものの、応答性(レスポンス)です。
これは、主に、CPUの「シングルコア性能」に依存します。
もう一つは、最終的な動画の書き出し(エンコード)時間です。
これは、CPUの全てのコアを使い切る処理であり、「マルチコア性能」が高ければ高いほど、書き出し時間は、短縮されます。
さらに、IntelのCPUには、「クイック・シンク・ビデオ (QSV)IntelのCPUに内蔵されている、動画のエンコード(圧縮)とデコード(解凍)を、高速に実行するための、専用ハードウェア回路。H.264/H.265形式の動画を扱う際に、絶大な威力を発揮します。」という、強力な武器が搭載されていることがあります。
QSVに対応したCPU(Intel第7世代Coreプロセッサー以降など)を搭載した中古PCは、動画の書き出しや、プロキシ作成において、CPUのコア性能だけでは測れない、高いパフォーマンスを発揮することがあります。
2. GPU - エフェクトとカラーグレーディングを担う「特殊効果アーティスト」
GPU(グラフィックボード)は、動画に、エフェクト(ブラー、ノイズリダクションなど)をかけたり、色調を補正(カラーグレーディング)したり、といった、視覚的な処理を、専門に担います。
これらの処理は、編集ソフトの「GPUアクセラレーション本来はCPUが行う処理の一部を、よりその処理が得意なGPUに肩代わりさせることで、アプリケーション全体のパフォーマンスを向上させる技術。Premiere ProのMercury Playback Engineなどが有名です。」機能によって、GPUに割り当てられます。
GPU選びで、最も重要な指標は、搭載されている専用メモリ「VRAM」の容量です。
4Kなどの高解像度動画や、多くのエフェクトを重ねる場合、VRAMが少ないと、すぐに容量不足に陥り、パフォーマンスが著しく低下します。
動画編集を快適に行うなら、最低でもVRAM 8GB以上、本格的な4K編集や、VFX(視覚効果)に挑戦するなら、12GB以上を搭載したGPUが、強く推奨されます。
3. メモリ (RAM) - 複数の素材とアプリを並べる「作業台」
メモリは、動画編集における「作業台の広さ」です。
動画素材、音声ファイル、テロップ、エフェクト、そして編集ソフト本体と、OS。これら全てが、この作業台の上に、同時に広げられます。
作業台が狭い(メモリが少ない)と、PCは、低速なストレージ(SSD/HDD)上に、データを、一時的に退避させる「スワップ」という動作を、頻繁に行うようになり、これが、システム全体の、深刻なもたつきの原因となります。
複数のアプリケーションを、同時に立ち上げながら、4K動画を編集するような、現代的なワークフローでは、16GBでは、もはや、十分とは言えません。
32GBを標準と考え、より複雑なプロジェクトを手掛けるなら、64GB以上を、視野に入れるべきです。
4. ストレージ - 全ての速度の「源泉」
動画編集における、ストレージの「速度」は、全ての快適さの、源泉となります。
プロの現場では、役割の異なる、複数のストレージを使い分けるのが常識です。
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1. OS・アプリケーション用ドライブ:
ここには、最も高速なNVMe SSDを使用します。OSや、編集ソフトの起動、動作の、あらゆる応答性が、向上します。
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2. プロジェクトファイル・キャッシュ用ドライブ:
現在、編集中のプロジェクトファイルや、プレビューのレンダリングファイル、プロキシファイルなどを置くための、2台目の高速なSSDです。OS用とは、物理的にドライブを分けることで、読み書きの競合を防ぎ、パフォーマンスを安定させます。
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3. 素材・アーカイブ用ドライブ:
撮影した元データや、過去のプロジェクトを保管しておくための、大容量ストレージです。ここは、速度よりも容量を重視し、大容量のSATA SSDや、HDD(あるいはNAS)を利用します。
中古PCを選ぶ際は、最低でも、起動ドライブがNVMe SSDであり、かつ、2台目のSSDを増設できるスペースや、Thunderbolt/USB3.1 Gen2といった、高速な外付けSSDを接続できるポートがあるかどうかを、必ず確認しましょう。
【第二部:モデル選定編】中古市場で、最高の編集マシンを探す
これらの知識を元に、中古市場で、具体的に、どのようなモデルを狙うべきかを見ていきましょう。
Macの選択肢 - 揺るぎない業界標準と、新時代の覇者
動画編集の世界では、長年、Macが標準機として、使われてきました。
中古市場で狙うべきは、以下のモデルです。
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MacBook Pro (15/16インチ、Intel最終世代):
2018年~2019年モデルの、dGPU(Radeon Proシリーズ)を搭載したモデルは、今なお、非常に高い編集能力を持ちます。中古価格も、かなりこなれてきており、コストパフォーマンスに優れた選択肢です。
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Mac (Apple Silicon搭載モデル):
M1/M2/M3の、Pro、Max、Ultraチップを搭載した、MacBook ProやMac Studioは、動画編集の世界に、革命をもたらしました。その心臓部である「メディアエンジン」は、H.264/H.265やProResといった、主要な動画コーデックの、エンコード/デコードを、専門に処理する、ハードウェアアクセラレータです。これにより、驚異的な電力効率で、複数の4K/8Kストリームを、リアルタイムで、スムーズに再生する、圧倒的なパフォーマンスを発揮します。中古市場で見つけたら、最優先で検討すべき、最高の選択肢です。
Windowsの選択肢 - 眠れる獅子「モバイルワークステーション」
Windows環境で、最高のコストパフォーマンスを求めるなら、狙うべきは、中古の「モバイルワークステーション」です。
DELLのPrecisionシリーズや、HPのZBookシリーズ、LenovoのThinkPad Pシリーズといった、法人向けPCの最上位モデルは、元々、3DCGやCADといった、極めて高い負荷のかかる作業を、安定して、こなし続けることを、前提に設計されています。
NVIDIAのQuadro(現RTX Ada世代)シリーズといった、プロフェッショナル向けGPUを搭載し、冷却性能や、筐体の剛性も、一般的なノートPCとは、比較になりません。
新品では、非常に高価なこれらのマシンが、リースアップ品として、中古市場に流れてくることで、同価格帯の新品のゲーミングPCを、凌駕するほどの、安定性と、信頼性を、手に入れることができるのです。
まとめ - 最適なPCとワークフローが、あなたの創造性を解き放つ
快適な動画編集環境とは、単に、最も高価な最新PCを手に入れることではありません。
それは、あなたの作るコンテンツと、予算に合わせて、最適なハードウェアを選び抜き、そして、その性能を、100%引き出すための、賢い「ワークフロー」を、構築することなのです。
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1. 「プロキシ編集」は、全ての基本である:
PCのスペックに関わらず、重い動画素材は、まず、軽いプロキシファイルを作成してから編集する。この一手間が、あなたの編集作業から、あらゆるカクつきと、ストレスを、取り除いてくれます。
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2. スペックは「バランス」で選べ:
CPU、GPU、メモリ、ストレージ。動画編集は、これらのパーツが、総力戦で挑む、チームスポーツです。どれか一つだけが突出していても、他のパーツがボトルネックとなり、真の性能は発揮できません。あなたのワークフローに合わせて、バランスの取れた構成のマシンを選びましょう。
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3. 中古市場は「宝の山」である:
数年前に、プロフェッショナルが、第一線で使っていた、高品質で、高信頼性なマシンが、中古市場には、驚くほどの低価格で、眠っています。適切な知識という「地図」さえあれば、その宝の山から、あなただけの、最高のパートナーを、見つけ出すことができるのです。
PCの性能が、あなたの創造性の、足かせになってはいけません。
適切なPCと、効率的なワークフローを手に入れたとき、あなたの頭の中にある、素晴らしいアイデアは、何の制約もなく、映像という形になり、世界へと、羽ばたいていくでしょう。
この記事が、そのための、力強い、最初の一歩となることを、心から願っています。
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