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2025.10.22

ノートPCのキーボード、日本語(JIS)と英語(US)配列はどっちを選ぶべき?刻印以外の“10の違い”と、用途別メリット・デメリットを徹底比較

ノートパソコンのお役立ち情報

記事の最終更新日:2025年9月26日

質問するスト子
スト子

ピー太さん、新しいノートパソコンを購入しようと思っているんです。カスタマイズのオプションでキーボードを「日本語配列(JIS)」と「英語配列(US)」から選べるのですが、どちらにすべきかすごく迷っていて…。

私は普段ローマ字入力なので、キーに「かな」が書いてなくても問題ありません。プログラマーの友人は、「絶対にUS配列がいい!合理的で美しいから」と熱弁するのですが、長年日本語配列に慣れているので記号の位置が違うと混乱しそうで怖いです。

見た目のひらがな刻印以外に、この2つにはどのような本質的な「違い」があるのでしょうか?

解説するピー太
ピー太

その問いは、キーボードという最も身近なインターフェースの奥深さへと通じる、素晴らしい入り口ですよ。スト子さん、ご友人の言う通り、JIS配列とUS配列の違いは単なる刻印の問題ではありません。

それは、キーの物理的な「形」と「配置」、そしてその背景にある「**思想**」そのものの違いなのです。JIS配列は日本語と英語の入力をスムーズに切り替えるための細やかな配慮がなされた「**万能のマルチツール**」。一方、US配列は英語とプログラミングコードの入力を究極まで効率化するために設計された、ミニマルで合理的な「**専門の特殊工具**」です。

この記事ではプロのキーボードソムリエとして、その10の決定的な違いを徹底的に比較・分析し、お客様のタイピングスタイルや主な用途に合わせてどちらの「工具」があなたの手に馴染むのかを見極める手助けをします。

キーボードの哲学:それは「万能のマルチツール」か、それとも「専門の特殊工具」か

キーボードの配列は、その国の言語と文化を映し出す鏡です。日本語配列(JIS配列)は、ひらがな、カタカナ、漢字、そしてアルファベットが混在する世界でも類を見ない複雑な言語体系を効率的に入力するために最適化されてきました。スペースキーの両隣に鎮座する「英数」「かな」キーは、2つの言語世界を瞬時に行き来するための象徴的な存在です。それは、様々な状況に対応できる多機能な「マルチツール」と言えるでしょう。

一方、英語配列(US配列、あるいはANSI配列とも呼ばれる)は、アルファベットと記号だけで構成される英語圏の合理主義を体現しています。無駄なキーを極限まで削ぎ落とし、主要なキー(EnterキーやShiftキー)を大きく配置することで、タイピングの速度と正確性を追求する。特にプログラミングで多用される括弧`[]`や引用符`""`といった記号が合理的な位置に配置されているため、多くの開発者から熱狂的な支持を集めています。それは、一つの目的に特化した鋭い切れ味を持つ「特殊工具」なのです。どちらを選ぶかは、お客様がこれからPCで何を「創り出す」のかという、あなた自身の未来像を問い直す行為でもあります。


第一章:刻印以外の“10の決定的違い” - あなたの「指」が感じる物理的な真実

見た目のひらがな刻印を除いた、本質的な物理的・論理的な違いを10のポイントで徹底的に比較します。

① Enterキーの「形」

JIS配列: 逆L字型の大きなキー。縦にも横にも面積が広いため、押しやすいと感じる人が多いです。

US配列: 横長の長方形。ホームポジションからの指の移動距離が短く、合理的な配置です。

② スペースキーの「長さ」

JIS配列: 「英数」「かな」キーに場所を譲っているため、短い。

US配列: 非常に長く中央に鎮座しています。これにより左右どちらの親指でも打ちやすく、タイピングのリズムが安定します。

③ 「言語切り替え」専用キーの有無

JIS配列: スペースキーの両脇に「英数」「かな」という言語切り替え専用のハードウェアキーが存在します。これがJIS配列の最大のアイデンティティです。

US配列: 専用キーは存在しません。OSのショートカットキー(Macなら`control+space`など)で切り替えます。

④ 記号の「配置」(プログラマーにとって最重要)

ここが両者の思想を最も象徴する違いです。

  • **括弧 `[ ] { }`:** US配列ではEnterキーのすぐ上に独立したキーとして存在します。JIS配列では別のキーと共存しており、入力がやや煩雑です。
  • **コロン `:` とセミコロン `;`:** US配列では同じキーにShiftの有無で割り当てられており合理的です。JIS配列では別のキーに離れて配置されています。
  • **アットマーク `@`:** US配列では`Shift + 2`ですが、JIS配列では`P`の隣にあります。
  • **引用符 `"` と `'`:** US配列では`Shift + '`で`"`ですが、JIS配列では`Shift + 2`で`"`、`Shift + 7`で`'`と離れています。

⑤ Backspaceキーの「大きさ」

JIS配列: Enterキーが大きいため、その分Backspaceキーは小さめです。

US配列: 横に長く、非常に押しやすいサイズです。

⑥ 右Shiftキーの「大きさ」

JIS配列: 左Shiftに比べて小さく、隣にアンダースコア`_`があることが多いです。

US配列: 左右のShiftキーがほぼ同じ大きさで、シンメトリーな配置です。

⑦ アンダースコア `_` と 円マーク `¥`

JIS配列: 右Shiftの隣とBackspaceの隣にそれぞれ独立して存在します。

US配列: アンダースコアは`Shift + -`、円マーク(バックスラッシュ`\`)はEnterキーの上にあります。

⑧ 引用符とチルダ `~` の位置

JIS配列: `Shift + 7`で`'`、`Shift + ^`で`~`です。

US配列: Tabキーの上に`~`と`` ` ``(バッククォート)が同居しており、`Shift`キーの隣に`'`と`"`が同居しています。

⑨ 全体的なレイアウトの「対称性」

US配列は不要なキーが少ないため、全体として左右対称に近い美しいレイアウトをしています。これが一部のタッチタイピストが「ホームポジションが自然に定まる」と評価する理由です。

⑩ 数字キー列の記号

数字キーとShiftキーで入力する記号(`!`, `@`, `#`, `$`...)の配置が、JIS配列とUS配列では全く異なります。これは慣れるまでに最も時間がかかるポイントの一つです。


第二章:最終結論 - あなたの指が求めるのはどちらの配列か?

これら10の違いを踏まえ、お客様の用途に最適なキーボードを選びましょう。

「日本語配列(JIS)」を選ぶべき人

  • 「かな入力」を使う人: ローマ字入力ではなく、キーに印字されたひらがなで直接入力するスタイルの人。これはJIS配列でしか不可能です。
  • 「英数」「かな」キーの物理的な安心感を求める人: OSのショートカットよりも、物理的な専用キーで確実に言語を切り替えたい人。
  • 日本語の文章作成がメインの人: 日本語の句読点「、」「。」や鉤括弧「「」「」」が自然な位置に配置されているため、文章作成のリズムを崩しません。
  • 新しい配列を学び直すのが億劫な人: 長年慣れ親しんだJIS配列の筋肉の記憶は強力な資産です。無理に変更する必要はありません。

「英語配列(US)」を選ぶべき人

  • プログラマー、エンジニア、研究者: プログラミングで多用する記号類が極めて合理的に配置されており、コーディングの速度と快適さが劇的に向上します。
  • 英語での文章作成がメインの人: より自然でシンメトリーな配置が、英文タイピングの効率を高めます。
  • ミニマルなデザインを愛する人: キーの数が少なく刻印もシンプルなUS配列は、見た目が非常に美しくスタイリッシュです。
  • 新しいタイピング体験を求める冒険者: JIS配列に何となく感じていた非合理性を解消し、より論理的なタイピングの世界へと旅立ちたいと願う人。

まとめ:キーボード選びとは、あなたの「思考の言語」を選ぶことである

ノートパソコンのキーボード配列の選択は、単なる好みの問題ではありません。それは、お客様がPCという道具を通じて世界と対話するための「言語」そのものを選ぶという重要な決断です。

あなたの思考は、主に美しい「日本語」で紡がれますか?それとも、論理的な「プログラミング言語」で組み立てられますか?

  1. 決め手は「記号」と「スペースキー」: プログラマーがUS配列を選ぶ最大の理由は記号入力の合理性。そして全てのタイピストが恩恵を受けるのが、長大なスペースキーの快適さである。
  2. 「英数」「かな」キーはJISだけの特権: 物理キーによる確実な言語切り替えは、日本語と英語が頻繁に混在する文章を書く上で強力な武器となる。
  3. Enterキーの形は「慣れ」の問題: 逆L字型か横長か。これは数週間の使用で身体が順応する好みの領域である。
  4. 迷ったらまずは「JIS」が無難: 日本でPCを使うほとんどの人にとって、JIS配列はあらゆる状況に対応できる最もバランスの取れた選択肢である。しかし、もしあなたが現状に少しでも疑問を持つなら、US配列という新しい世界を覗いてみる価値は十分にある。

キーボードは、お客様の思考が最初に触れる最も重要なインターフェースです。ぜひこの記事を参考に、あなたにとって最高の「言葉」を奏でるパートナーを見つけてください。

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