【メーカー別】ノートパソコンを“データを残して”初期化する完全ガイド|Windows 11「このPCをリセット」失敗しない選び方(クラウド/ローカル・BitLocker・初期化できない時)
Windows 11の「このPCをリセット」は、うまく使えば“データを残したまま”調子を取り戻せます。いっぽうで、選択肢(クラウド/ローカル)やBitLocker(ディスク暗号化)を理解しないと、ログイン不能・復旧不能・時間ロスになりがちです。この記事では、初心者でも失敗しにくい順番で、メーカー別の注意点までまとめて解説します。
ノートPCが最近重くて、アプリも変な挙動が多いので「初期化したい」んです。でも、写真や仕事のファイルは残したくて…。Windows 11の「このPCをリセット」で“データを残す”って選べば安心なんですよね?
あと、メーカーによって初期化がうまくいかないとか、BitLockerが絡むと詰むとか聞いて怖いです。失敗しない手順を、できればメーカー別にも教えてください。
OK。結論から言うと、「データを残すリセット」は便利だけど“万能の修理ボタン”ではないんだ。失敗が多い原因は、(1) 事前バックアップ不足、(2) クラウド/ローカルの選びミス、(3) BitLockerの回復キー未準備、(4) メーカー独自の回復環境を知らない、の4つが多いよ。
この記事は、最初に「安全に戻れる保険」を作ってから、最短で成功率が高い選び方と手順を示す。初期化できない時の“詰み回避”ルートも用意するから、順番どおりに進めよう。

目次
検索意図の分解(顕在/準顕在/潜在)
この記事は「Windows 11でノートPCをデータを残して初期化したい」というニーズを、次の3層に分けて解決します。
顕在ニーズ(今すぐやりたい)
- 「このPCをリセット」でファイルを残して初期化する方法が知りたい。
- クラウドダウンロードとローカル再インストールの違いが知りたい。
- BitLockerで回復キーを求められて詰みたくない。
準顕在ニーズ(失敗したくない)
- 初期化後にアプリやドライバー、Officeが戻らないのが不安。
- メーカー別(DELL/HP/Lenovo/NEC/富士通)の癖を知りたい。
- 初期化できない時に復旧できる“逃げ道”が欲しい。
潜在ニーズ(本当の目的)
- 重い・不安定を根本改善して、作業時間を取り戻したい。
- 売却や下取りの前に、データ保護と再設定の手間を最小化したい。
- ウイルス疑い(マルウェア:悪意のあるソフト)や設定破損を安全側で片付けたい。
「データを残して初期化」とは?できること・できないこと
Windows 11の「このPCをリセット」は、OS(基本システム)を入れ直しつつ、選択によっては個人ファイルを残せる機能です。
| 分類 | 基本の挙動 | 注意点 |
|---|---|---|
| 個人用ファイル | 残せる(保持オプション) | 場所によっては対象外。別ドライブや暗号化領域は要確認。 |
| アプリ(インストールしたソフト) | 基本は消える | 再インストールが必要。ライセンス再認証も起きやすい。 |
| 設定 | 多くが初期化される | Wi-Fi、プリンタ、既定アプリなどは再設定前提。 |
| Windows自体の破損 | 改善しやすい | ストレージ故障(SSD不良)だと改善しないことがある。 |
| ウイルス疑い | 状況次第 | 強い感染の場合はクリーンインストール(完全入れ直し)が安全。 |
このページの前提は「同じPCを使い続ける」「できればファイルを残したい」です。売却や譲渡が目的なら、データ保護の観点から“残す”初期化はおすすめしません(後半で目的別に整理します)。
最重要:リセット前の安全準備(失敗しても戻れる状態)

リセットは、成功しても「アプリが消える」「設定が戻る」などの影響が出ます。失敗した場合でも戻れるように、最低限の準備を先に済ませます。
まずは“二重バックアップ”を作る
- 外付けSSD(外部ストレージ:USB接続で保存するディスク)に、重要フォルダをコピー。
- クラウド(OneDrive等:ネット上の保管)にも、最重要だけ同期。
- 外付けSSDは、別PCで一度開けるか確認(復元テスト)。
アプリとアカウントを棚卸しする
- Office、Adobe、VPN、業務ソフトなど「再ログインが必要なもの」をメモ。
- ブラウザのブックマークとパスワード(同期/エクスポート)を確認。
- メール(Outlook等)のデータ保存場所を把握(PST:メール保管ファイル)。
BitLockerの状態を必ず確認する
BitLocker(ビットロッカー:ディスク暗号化)を使っていると、リセット中や再起動で「回復キー」を要求されることがあります。回復キーが見つからないとログインできず、復旧が難しくなります。
- Windowsの設定から「デバイスの暗号化」または「BitLocker」を確認。
- 回復キー(48桁の数字)を、紙か安全なメモに控える。
- 会社PCの場合は、管理者に回復キーの管理方法を確認。
クラウド/ローカルの選び方と、時間・失敗率の目安

「このPCをリセット」には、再インストール方法の選択があります。どちらが正解というより、状況で選びます。
| 選択肢 | 向いている状況 | 注意点 |
|---|---|---|
| クラウド ダウンロード | OS破損の疑いがある/最新の状態でやり直したい/ローカル回復が怪しい | ネットが必要。通信量が大きい。回線が不安定だと失敗しやすい。 |
| ローカル 再インストール | ネットが弱い/短時間で終えたい/回復環境が健全そう | 回復イメージ(復元用のデータ)が壊れていると失敗する。 |
迷ったらこの選び方
- 最近アップデート失敗や青画面(BSOD:致命的エラー画面)が続くなら、クラウド寄り。
- ネットが不安定・通信制限があるなら、ローカル寄り。
- 「初期化できない」を避けたいなら、先に準備(回復ドライブや別PC)も検討。
BitLockerがあると何が起きる?回復キーで詰まない手順

BitLockerは、盗難や紛失時にデータを守る強力な仕組みです。その反面、初期化や修復で“本人確認”として回復キーが必要になることがあります。
よくある詰まりポイント
- 再起動後に突然「回復キーを入力してください」が出る。
- Microsoftアカウントを使っていないつもりでも、端末側で自動的に暗号化されている。
- 会社PCで、回復キーが管理者側にしかなく、個人では確認できない。
回復キー対策の“安全手順”
- まず暗号化の有無を確認(デバイスの暗号化/BitLockerの表示)。
- 回復キーを控える(紙・パスワード管理アプリなど安全な場所)。
- 会社PCなら、初期化を始める前に管理者へ確認する(後で詰むのを防ぐ)。
回復キーが用意できてから、リセットに進むのが一番の失敗回避です。
Windows 11「このPCをリセット」手順(データを残す)
「個人用ファイルを保持する」を選ぶ判断
「データを残す」目的なら、基本は「個人用ファイルを保持する」を選びます。ただし、次のケースは“残す”初期化が不向きです。
- 売却・譲渡が目的(データの痕跡が残る可能性があるため)。
- ウイルス感染が強く疑われる(完全入れ直しが安全側)。
- SSDの故障が疑わしい(リセットしても症状が戻る)。
手順(設定画面から実行する場合)
- 設定を開き、「システム」→「回復」を選ぶ。
- 「このPCをリセット」を選択し、開始する。
- 「個人用ファイルを保持する」を選ぶ。
- 「クラウド ダウンロード」か「ローカル 再インストール」を選ぶ。
- 表示される内容(消えるアプリ一覧など)を確認して実行する。
実行中の注意点
- ACアダプタを接続(電源断は失敗の原因)。
- 外付け機器は最小限(USB機器が原因で失敗することがある)。
- 途中で固まったように見えても、しばらく待つ(再起動が複数回入る)。
初期化後に必ずやる復旧・最適化
- Windows Updateを当てる(再起動も含めて完了まで)。
- メーカーの更新ツールでドライバー更新(無線・音・タッチパッドを優先)。
- 必要アプリを再インストールし、ライセンス再ログインを行う。
- OneDriveやブラウザ同期を戻す(戻す順番は“少しずつ”が安全)。
- 不要スタートアップ(起動時常駐)を整理し、体感速度を改善する。
【メーカー別】リセット/回復でつまずきやすいポイント
Windowsのリセット機能は共通ですが、メーカーごとに「回復環境」「サポートツール」「BIOS設定(起動設定)」が微妙に違い、つまずきポイントも変わります。ここでは“よくある現場の罠”を中心に整理します。
DELLで多いポイント
- SupportAssist(サポートツール:診断と更新)が入っていて、更新の導線がメーカー寄りになる。
- 回復に失敗したとき、診断メニュー(ハード診断)を先に回すと原因切り分けが早い。
- 無線が不安定な場合、リセット後はWi-Fiドライバー更新が優先。
HPで多いポイント
- HP Support Assistant(更新ツール)を使うとドライバー復旧が早い。
- キーボードのファンクションキー設定(Fn動作)が初期化で変わることがある。
- タッチパッドやオーディオは、更新順で挙動が改善することがある。
Lenovoで多いポイント
- Lenovo Vantage(更新ツール)がドライバー復旧の要。
- 省電力設定が強めで、初期化後にバッテリー制御が変わったように感じることがある。
- カメラ/マイクなどプライバシー設定が初期化で戻るので、会議前に確認が必要。
NECで多いポイント
- 独自のユーティリティが多く、初期化後に必要なものだけ戻す整理が効く。
- Wi-Fiやタッチパッドの“体感不調”は、メーカー側の推奨ドライバーで改善することがある。
- 購入時のプリインストール(最初から入っているアプリ)を戻すかどうかを決めておくと良い。
富士通で多いポイント
- ユーティリティの復旧で操作性(ホットキー等)が戻るケースがある。
- 初期化後はWindows Update → メーカー更新の順にすると安定しやすい。
- キーボード/タッチパッドの細かな設定が初期値に戻るので、使い慣れた状態に再調整。
メーカー共通:回復キー/BIOS/周辺機器
- BitLocker回復キーは、メーカーに関係なく“最重要”。
- リセット中のUSB機器(ドック、外付けGPU、古いハブ)は一度外す。
- BIOS(起動制御)の設定は触りすぎない。変えた場合は元に戻せるようメモする。
初期化できない時の対処(WinRE・修復・インストールメディア)

「このPCをリセット」を押しても失敗する、途中で戻る、そもそも起動しない。こういう時は、段階的に“弱い修復”→“強い復旧”へ進むのが安全です。
まずは軽い修復(成功率高・影響小)
- 周辺機器を外して再試行する。
- 空き容量を確保する(目安:システムドライブに20GB以上)。
- セーフモード(最小構成起動)で起動できるなら、不要アプリを削除してから再挑戦。
WinRE(回復環境)から実行する
WinRE(回復環境:修復メニュー)からリセットできる場合があります。起動が不安定なときほど有効です。
- 自動修復が出る場合は、そのまま「トラブルシューティング」へ進む。
- 起動できるなら「設定」→「回復」から「今すぐ再起動」で回復環境へ。
それでもダメなら、インストールメディア(USB)を用意する
別PCがあるなら、USBインストールメディア(起動用USB)を用意し、修復や再インストールの選択肢を増やします。これは“詰み回避”の切り札です。
- 回復ドライブ(復旧用USB)を作っておくと、失敗後も戻りやすい。
- BitLockerの回復キーがないと、修復や移行が難しくなることがある。
目的別:最適ルート早見(重い/売却前/ウイルス疑い/業務PC)
とにかく重い・不安定を直したい
- 二重バックアップ → データ保持リセット → Windows Update → メーカー更新の順。
- 改善しない場合はSSDの健康状態(ストレージ不良)を疑う。
売却・下取り・譲渡の前
- 原則は「データを残す」ではなく、データ保護を優先して消去前提の手順を検討。
- BitLockerが有効なら、回復キー管理と消去の整合が重要。
ウイルス疑いがある
- まずネットワークから切り離す(Wi-Fiをオフ)。
- データ保持より、安全側(完全入れ直し)を優先する判断も必要。
会社・学校PC
- 自己判断で初期化しない。管理者へ相談して手順に従う。
- BitLocker回復キーが管理側の場合、事前確認が必須。
よくある質問
「個人用ファイルを保持する」を選べば、デスクトップのファイルは全部残りますか。
多くの場合は残りますが、保存場所や構成によって例外があります。別ドライブに置いているデータ、暗号化状態、同期設定(OneDrive等)によっては期待どおりにならないこともあるため、必ず外付けSSDなどに二重バックアップを作ってから実行してください。
クラウドダウンロードとローカル再インストール、どちらが安全ですか。
状況次第です。OS破損が疑われる、回復イメージが怪しい、できるだけ新しい状態にしたいならクラウド寄りです。ネットが不安定・通信量が厳しいならローカル寄りが現実的です。迷う場合は、失敗しても戻れる準備(バックアップと回復手段)を優先してから選ぶと安心です。
BitLockerの回復キーが分からないのですが、初期化しても大丈夫ですか。
おすすめしません。回復キーが必要な場面で入力できないと、ログイン不能になり復旧が難しくなります。まず暗号化の有無を確認し、回復キーの所在を確保してから実行してください。会社PCの場合は管理者が保持していることが多いので、先に相談するのが安全です。
初期化が途中で失敗して戻ってしまいます。何から試せばいいですか。
まずは周辺機器を外し、空き容量を確保して再試行してください。それでも改善しなければ、WinRE(回復環境)からの実行を試します。さらにダメなら、別PCでインストールメディア(USB)を作って修復手段を確保するのが“詰み回避”になります。
まとめ
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Point
「データを残す初期化」は便利ですが、成功率を上げる鍵は“事前準備”です。二重バックアップと、アプリ/アカウントの棚卸しを先に済ませると、初期化後の復旧がスムーズになります。
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Point
クラウド/ローカルは状況で選びます。OS破損の疑いが強いならクラウド寄り、回線が弱いならローカル寄り。迷ったら「失敗しても戻れる保険」を先に作るのが安全です。
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Point
BitLockerは回復キーが命です。回復キーが用意できるまで初期化を始めないことが、最も大きな失敗回避になります。初期化できない時はWinRE→USBメディアの順で“段階的に強く”対処しましょう。






