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2025.3.22

Windows 11でのVPN設定:セキュリティを強化するためのステップバイステップガイド

Windowsのお役立ち情報

記事の最終更新日:2025年7月10日

質問する若い女性
公共のWi-Fiって、使うのが少し怖い…

最近、カフェや空港などでノートパソコンを使うことが多いのですが、公共のフリーWi-Fiって、セキュリティ的に安全なのか、すごく不安になります。

入力したパスワードや、やり取りしているデータが、誰かに盗み見られているんじゃないかって…。

友人に相談したら、「VPNを使えば安全だよ」と教えてくれたのですが、VPNという言葉自体が、なんだか専門的で難しそうで、手が出せません。

私のWindows 11のパソコンでも、自分でVPNを設定して、安全にインターネットを使えるようになるのでしょうか?

そのための、分かりやすい手順を教えてほしいです。

解説する博識な男性
パソコン専門店のスタッフ

そのセキュリティ意識、デジタル社会を安全に生きる上で、最も重要な感覚です。

おっしゃる通り、公共のWi-Fiは、いわば「誰でも会話を聞ける、広場の真ん中」のようなもの。

そこで機密情報をやり取りするのは、非常に危険な行為です。

そして、その完璧な解決策が、ご友人の言う通り「VPN(Virtual Private Network)」なのです。

VPNとは、公衆のインターネット網の中に、あなただけの「暗号化された、秘密のトンネル」を掘る技術です。

一度このトンネルに入ってしまえば、あなたの全ての通信は、外部の誰からも解読不可能な、鉄壁のセキュリティで保護されます。

設定は、あなたが思っているよりも、ずっと簡単ですよ。

この記事では、VPNがなぜ安全なのかという基本原理から、信頼できるVPNサービスの選び方、そしてWindows 11での具体的な設定手順、さらにはプロが使う高度な機能まで、あなたのプライバシーを守り抜くための、完全な知識と技術を授けます。

VPNの理念:それは「信頼できないネットワーク」を「信頼できる」ように変える技術

私たちが日常的に利用するインターネットは、その設計上、必ずしも安全ではありません。

特に、カフェやホテル、空港などが提供する公共のWi-Fiネットワークは、その利便性の裏側で、同じネットワークに接続している悪意のある第三者によって、あなたの通信が傍受(盗聴)されるリスクを常に抱えています。

VPN(仮想プライベートネットワーク)の本質的な役割とは、こうした「信頼できない」ネットワークを利用する際に、あなたのデバイスと、インターネット上の特定のサーバーとの間に、暗号化された仮想的な「専用線」を確立することにあります。

このVPNトンネルを通じて行われる全ての通信は、高度な暗号技術によって保護されるため、たとえ通信データそのものを傍受されたとしても、その中身を解読することは事実上不可能です。

さらに、VPNサーバーを経由してインターネットに接続するため、あなたがアクセスするウェブサイトなどからは、あなたの本当のIPアドレス(インターネット上の住所)は見えず、代わりにVPNサーバーのIPアドレスが見えるようになります。

これにより、あなたのプライバシーと匿名性は、より高いレベルで保護されるのです。

VPNとは、信頼性の低い公衆網の上で、安全な私的空間を自ら創り出すための、現代人必須の自己防衛技術なのです。

第一章:技術的背景 - VPNプロトコルの種類と特徴を理解する

VPNと一言で言っても、その通信の「作法」を定義する、いくつかの「プロトコル」が存在します。

どのプロトコルを利用するかによって、VPNの速度やセキュリティレベル、安定性が変わってきます。

専門的な内容ですが、概要を理解しておくことで、より賢いVPN選びが可能になります。

  • OpenVPN: 長年にわたり、業界の標準とされてきた、非常に信頼性の高いオープンソースのプロトコルです。セキュリティと安定性のバランスに優れていますが、他の新しいプロトコルに比べると、速度面ではやや見劣りすることがあります。
  • WireGuard®: (※注釈:WireGuardはJason A. Donenfeldの登録商標です)比較的新しく、近年急速に普及している、非常に軽量で高速なプロトコルです。最新の暗号技術を採用し、コードベースもシンプルなため、高いセキュリティと圧倒的なパフォーマンスを両立させています。2025年現在、多くの主要VPNサービスが、このWireGuardを標準、あるいは選択可能なプロトコルとして採用しています。
  • IKEv2/IPsec: MicrosoftとCiscoによって開発された、非常に安定したプロトコルです。特に、スマートフォンなどでWi-Fiとモバイルデータ通信が切り替わるような、ネットワーク環境の変化に強いという特徴があり、モバイルデバイスでの利用に適しています。
  • PPTP / L2TP/IPsec: これらは、より古い世代のプロトコルです。特にPPTPは、既知の脆弱性が多数発見されており、セキュリティレベルが著しく低いため、現在ではその利用は**絶対に避けるべき**です。

結論として、2025年現在の選択肢としては、まずは高速で安全な「WireGuard」を第一候補とし、それが利用できない環境では、実績のある「OpenVPN」や「IKEv2/IPsec」を選ぶのが、最も賢明な判断と言えるでしょう。

第二章:信頼の選択 - 優れたVPNプロバイダーを見極めるための基準

VPNを利用するには、通常、月額または年額で料金を支払い、世界中にサーバー網を展開する「VPNプロバイダー」と契約します。

無料のVPNサービスも存在しますが、その多くは、ユーザーの通信ログを収集・販売したり、セキュリティが脆弱であったり、速度が極端に遅かったりと、プライバシー保護という本来の目的とは相容れない、多くのリスクを抱えています。

信頼できる、有料のVPNプロバイダーを選択することが、安全なVPNライフの絶対条件です。

ここでは、特定のサービス名を挙げることは避けますが、優れたプロバイダーを見極めるための、普遍的な基準を解説します。

  • 厳格なノーログポリシー: これが最も重要な基準です。ユーザーの接続ログ、IPアドレス、閲覧履歴といったデータを、一切記録・保存しないという方針(ノーログポリシー)を明確に掲げているか。そして、その方針が、第三者の監査機関によって客観的に証明されているかを確認します。
  • 管轄国と法執行機関への態度: プロバイダーの拠点が、ユーザーのプライバシー保護に寛容な法律を持つ国(例:スイス、パナマなど)にあるか。また、政府からの情報開示要求に対して、毅然とした態度を取ってきた実績があるかも、重要な判断材料です。
  • 強力なセキュリティ機能: WireGuardやOpenVPNといった、最新で安全なプロトコルをサポートしているか。そして、後述する「キルスイッチ」のような、情報漏洩を防ぐための必須機能を備えているかを確認します。
  • サーバーの品質とネットワーク規模: 通信速度に直結する、サーバーの性能と、世界中に多数のサーバーロケーションを提供しているか。これにより、安定した接続と、様々な国のコンテンツにアクセスする自由が得られます。

第三章:実践 - Windows 11でのVPN設定ステップ・バイ・ステップ

信頼できるVPNプロバイダーと契約したら、いよいよWindows 11にVPNを設定します。

設定方法には、プロバイダーが提供する専用アプリを使う、最も簡単な方法と、Windows標準の機能を使って手動で設定する、上級者向けの方法があります。

手法1(推奨):専用アプリケーションによる簡単セットアップ

これは、最も簡単で、かつ最も多くの機能を活用できる、全ての人に推奨される方法です。

  1. 契約したVPNプロバイダーの公式サイトにログインし、Windows向けの専用アプリケーションをダウンロードして、インストールします。
  2. アプリを起動し、あなたのユーザー名とパスワードでログインします。
  3. アプリのメイン画面が表示されたら、接続したい国(サーバーロケーション)を選択し、「接続」ボタンをクリックします。

基本的には、たったこれだけの操作で、あなたのPCはVPNトンネルを通じて、安全にインターネットに接続されます。

しかし、本当の価値は、このアプリ内に隠された、高度なセキュリティ機能にあります。

【必須機能:キルスイッチ (Kill Switch)】

キルスイッチは、万が一、VPNサーバーとの接続が何らかの理由で切断された場合に、PCの全てのインターネット通信を、自動的に即座に遮断する機能です。

これにより、VPNが切れた瞬間に、あなたの本当のIPアドレスや、暗号化されていない通信が、外部に漏洩してしまうという、最悪の事態を防ぎます。

プライバシーを重視するなら、このキルスイッチ機能は、必ず有効にしておくべきです。

【便利機能:スプリットトンネリング (Split Tunneling)】

これは、アプリケーションごとに、VPNトンネルを経由させるか、させないかを選択できる、高度な機能です。

例えば、「Webブラウザの通信は、プライバシー保護のためにVPNを経由させる」が、「オンラインゲームの通信は、速度(低遅延)を優先するため、VPNを経由させずに直接接続する」といった、柔軟な設定が可能になります。

手法2(上級者向け):Windows標準機能による手動設定

専用アプリを使わず、Windows 11のOS機能だけでVPN接続を設定することも可能です。

これは、会社のネットワークに接続する場合や、自分で構築したVPNサーバーに接続する場合などに利用します。

まず、VPNプロバイダーから、手動設定用の情報(サーバーアドレス、対応プロトコル、あなたのアカウント情報など)を入手しておく必要があります。

次に、「設定」>「ネットワークとインターネット」>「VPN」と進み、「VPNを追加」をクリックします。

表示された画面で、以下の情報を入力していきます。

  • VPNプロバイダー: 「Windows(ビルドイン)」を選択します。
  • 接続名: 自分で分かりやすい名前を付けます(例:「My VPN」)。
  • サーバー名またはアドレス: プロバイダーから提供されたサーバーのドメイン名やIPアドレスを入力します。
  • VPNの種類: 接続に使用するプロトコル(例:「IKEv2」や「L2TP/IPsec」)を選択します。
  • サインイン情報の種類: 「ユーザー名とパスワード」などを選択し、提供された情報を入力します。

設定を保存すれば、VPN設定の一覧に新しい接続プロファイルが追加され、そこから接続を開始できます。

ただし、この方法では、前述のキルスイッチのような、高度な機能は利用できない点に注意が必要です。

第四章:最終確認 - あなたのトンネルは本当に安全か?

VPNに接続した後、それが正しく機能しているかを確認する、簡単な方法があります。

まず、VPNに接続する前に、Webブラウザで「what is my ip」などと検索し、あなたの現在のIPアドレスと、表示されている所在地を確認します。

次に、VPNをオンにして、接続先の国(例:アメリカ)を選択した状態で、再度同じサイトにアクセスします。

表示されるIPアドレスが変わり、所在地がアメリカになっていれば、あなたのIPアドレスは、正常にVPNサーバーのものに置き換えられています。

さらに、より高度な確認として、「DNSリークテスト」と検索し、専門サイトでテストを実行することをお勧めします。

これにより、DNSクエリ(※注釈:Webサイトのドメイン名からIPアドレスを調べるための問い合わせ)も、きちんとVPNトンネルを経由しているか、あるいは漏洩していないかを確認でき、より高いレベルでの安全性を確保できます。

まとめ:VPNは、デジタル世界における「良識ある市民」の嗜みである

公共の場で、大声で個人情報や機密情報を話す人がいないように、信頼できないネットワーク上で、無防備にデータをやり取りすることは、極めてリスクの高い行為です。

VPNを導入し、利用することは、もはや一部の技術マニアだけのものではなく、自らの情報資産とプライバシーに責任を持つ、全ての現代人にとっての、基本的な「嗜み」であり「デジタルな良識」と言えるでしょう。

  1. 原理を理解する: VPNは、暗号化されたトンネルと、IPアドレスの匿名化によって、あなたの通信を保護する。この基本原理の理解が、全ての土台となる。
  2. 信頼できるパートナーを選ぶ: 無料のVPNには代償が伴うことを認識し、「ノーログポリシー」を掲げる、信頼できる有料プロバイダーを、自らの基準で見極める。
  3. 専用アプリを主軸に考える: 専用アプリは、簡単な設定と、「キルスイッチ」のような必須のセキュリティ機能を提供する、最も優れたソリューションである。
  4. 常に有効化を習慣にする: 特に、自宅やオフィス以外の、信頼できないネットワークに接続する際は、何も考えずに、まずVPNをオンにする。この習慣が、あなたを不測の事態から守る。

一本の暗号化されたトンネルが、あなたのノートパソコンでの活動に、これまでにないレベルの「自由」と「安心」をもたらします。

ぜひ、この強力なプライバシーの盾を手に入れ、安全で快適なデジタルライフを送ってください。

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