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2025.5.2

Windows 11でのドライブ管理とディスクパーティションの作成法

Windowsのお役立ち情報

記事の最終更新日:2025年7月11日

質問する若い女性
PCのドライブ、分けたりできないかな…

新しく購入したノートパソコン、1TBの大きなCドライブが一つだけなんです。

これから、大事な仕事のファイルや、家族の写真などを保存していくのですが、OSやアプリケーションが入っているCドライブと、自分の大切なデータを保存する場所を、きっちり分けておきたいんです。

もし将来、Windowsの調子が悪くなって、Cドライブを初期化しないといけなくなった時に、Dドライブにデータがあれば、巻き添えにならずに済みますよね?

一つの物理的なドライブを、CドライブとDドライブみたいに、複数のドライブに分割するようなことって、データを消さずに、後からでもできるのでしょうか?

解説する博識な男性
パソコン専門店のスタッフ

その発想、長期的なデータ管理と、システムの健全性を考える上で、最も賢明で、プロフェッショナルな考え方ですよ。

おっしゃる通り、OSの領域と、あなたのデータ領域を、論理的に分離しておくことは、多くのメリットをもたらします。

そして、そのために行うのが、「**パーティションの作成**」という、高度なドライブ管理技術です。

これは、一つの広大な土地(物理ドライブ)に、見えない境界線を引いて、「居住区(OS領域)」と「農地(データ領域)」を、明確に区画整理するようなものです。

ご安心ください。

Windows 11には、この区画整理を、既存のデータを保持したまま、安全に行うための、強力なツールが標準で搭載されています。

この記事では、そのための基本的な知識から、OS標準の「ディスクの管理」ツールの詳細な操作手順、そして、専門家が利用するコマンドラインツール「diskpart」の概念まで、あなたのPCのストレージを、意のままに設計・管理するための、全ての知識を解説していきます。

パーティションの哲学:それは「論理的な秩序」を「物理的な混沌」に与える行為

一台のハードディスクやSSDは、物理的には、単一の、連続したデータ記憶領域です。

何もしなければ、それは、あらゆる種類の物が、無秩序に置かれた、だだっ広い一つの倉庫のようなものです。

パーティションを作成する、という行為の本質は、この物理的に連続した混沌の中に、「これはシステム用の部屋」「これはデータ用の部屋」「これは別のOSを住まわせるための客間」といった、論理的な「壁」と「扉」を建設し、明確な秩序を与えることにあります。

なぜ、そのような秩序が必要なのでしょうか。

それは、第一に、OSの再インストールやリカバリといった、システム領域にのみ影響する「改築」を行う際に、データ領域という別の部屋に、その影響が及ぶのを防ぐためです。

第二に、重要なデータ領域だけを、効率的にバックアップの対象としたり、あるいは、Linuxのような、全く異なるアーキテクチャを持つOSを、安全に共存させたりするためです。

パーティションの管理とは、単なるディスクの分割ではありません。

それは、あなたのデジタル資産の、安全性、整理性、そして柔軟性を、将来にわたって確保するための、最も基本的で、かつ強力な、データアーキテクチャの設計なのです。

第一章:基礎知識 - MBRとGPT、そしてファイルシステムの理解

パーティション操作という、ドライブの根幹に関わる作業を行う前に、その土台となる、いくつかの重要な技術的知識を理解しておく必要があります。

パーティション構成の「設計思想」:MBRとGPT

ドライブ全体のパーティション情報を、どのように管理・記録しておくか、その「設計思想」には、大きく分けて、旧来のMBRと、現代的なGPTの二種類が存在します。

  • MBR (マスターブートレコード): 非常に古い、伝統的な方式です。最大で2TBまでのドライブしか認識できず、作成できる基本パーティション(プライマリパーティション)も4つまで、という大きな制限があります。BIOSで起動する旧世代のPCで使われていました。
  • GPT (GUIDパーティションテーブル): MBRのこれらの制限を克服するために設計された、現代的な新しい方式です。事実上、無限に近いサイズのドライブと、128個ものパーティションをサポートします。Windows 11が動作する、UEFI(※注釈:BIOSに代わる、新しいPCの起動・ハードウェア制御規格)ベースのPCでは、こちらのGPTが、標準のパーティションスタイルとなります。

現在お使いのドライブが、どちらのスタイルでフォーマットされているかを確認するには、「ディスクの管理」ツールで、対象のディスク(例:「ディスク 0」)を右クリックし、「プロパティ」>「ボリューム」タブを見ることで、「パーティションのスタイル」として明記されています。

データの「言語」:ファイルシステム(NTFS, exFAT, FAT32)

パーティションを作成した後、その区画を、OSがファイルを読み書きできる形式、すなわち特定の「言語」で、フォーマット(初期化)する必要があります。

この言語にあたるのが、「ファイルシステム」です。

  • NTFS (New Technology File System): Windowsの標準的なファイルシステムです。セキュリティ設定、ファイルの圧縮、暗号化といった、高度な機能を持ち、非常に信頼性が高いのが特徴です。Windowsのシステムドライブや、Windows環境でのみ使用するデータドライブは、必ずこの形式を選択します。
  • FAT32 (File Allocation Table 32): Windows、macOS、Linuxといった、OSの垣根を越えて、ほぼ全てのデバイスで読み書きできる、非常に互換性の高い、いわば「世界の共通語」です。しかし、1ファイルあたりのサイズが最大4GBまで、という致命的な制限があるため、大きな動画ファイルなどを扱うのには適していません。USBメモリの初期フォーマットなどで、今なお広く使われています。
  • exFAT (Extended File Allocation Table): このFAT32の制限を解消するために開発された、後継規格です。ファイルサイズの制限は事実上なく、FAT32同様、WindowsとMacの両方で読み書きが可能です。OSをまたいで使用する、大容量の外付けドライブやUSBメモリに、最適なファイルシステムです。

第二章:GUIの執刀医 - 「ディスクの管理」ツール完全活用ガイド

Windows 11には、GUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)を通じて、比較的安全にパーティション操作を行える、「ディスクの管理」という、強力なツールが標準で搭載されています。

スタートボタンを右クリックし、表示されるメニューから「ディスクの管理」を選択することで、起動できます。

ステップ1:「ボリュームの縮小」で、未開の土地を確保する

新しいパーティションを作成するためには、まず、既存のパーティション(通常はCドライブ)の一部を「縮小」し、未使用の領域、すなわち「未割り当て」領域を作り出す必要があります。

「ディスクの管理」で、Cドライブの領域を右クリックし、「ボリュームの縮小」を選択します。

しばらく分析が行われた後、縮小可能な最大サイズが表示されます。

「縮小する領域のサイズ(MB)」の欄に、新しく作成したいDドライブのサイズ(例:500GBなら、約500000MB)を入力し、「縮小」ボタンをクリックします。

処理が完了すると、ドライブのグラフィカル表示に、黒い帯で示された「未割り当て」の領域が出現します。

これが、新しい部屋を建てるための、未開の土地です。

注意点として、システムのページファイルや、復元ポイントといった、「移動できないファイル」がディスクの途中に存在すると、物理的に、それ以上パーティションを縮小できない場合があります。

ステップ2:「新しいシンプルボリューム」で、新しい部屋を建てる

作成された「未割り当て」領域を右クリックし、「新しいシンプルボリューム」を選択します。

すると、「新しいシンプルボリュームウィザード」が起動します。

  1. ・パーティションサイズの指定:通常は、未割り当て領域の最大サイズが自動で入力されています。そのまま「次へ」進みます。
  2. ・ドライブ文字の割り当て:新しいパーティションに割り当てる、ドライブ文字(例:「D」)を、プルダウンメニューから選択します。
  3. ・パーティションのフォーマット:ここで、前述の「ファイルシステム」(通常はNTFS)を選択し、「ボリュームラベル」に、そのドライブの分かりやすい名前(例:「データ」や「DATA」)を入力します。「クイックフォーマットする」にチェックが入っていることを確認し、「次へ」進みます。
  4. ・設定内容の最終確認が表示されるので、「完了」をクリックします。

しばらくすると、未割り当て領域が、青い帯の、正常なパーティションとしてフォーマットされ、エクスプローラー(PC)上にも、新しい「Dドライブ」として認識されるようになります。

その他の操作:ボリュームの拡張と削除

「ディスクの管理」では、パーティションの削除や、拡張も可能です。

ただし、「ボリュームの拡張」機能には、一つ大きな制約があります。

それは、拡張したいパーティションの、**すぐ右隣に、連続した「未割り当て」領域が存在しなければならない**、という点です。

間に別のパーティションが挟まっている場合、標準ツールだけでは、ボリュームを拡張することはできません。

第三章:CUIの外科医 - コマンドラインツール「diskpart」入門

【警告】「diskpart」は、ディスクとパーティションを、OSの保護機能の一部をバイパスして、直接、低レベルで操作する、極めて強力なコマンドラインツールです。操作を誤ると、確認メッセージなしに、ドライブ上の全てのデータが、一瞬で、そして永久に失われます。以下の解説は、そのリスクを完全に理解し、コマンドの意味を一行一行、慎重に確認できる、上級者のみを対象としています。

GUIツールでは対応できない、より複雑な操作や、処理の自動化(スクリプト化)を行う際に、プロフェッショナルが利用するのが、「diskpart」です。

コマンドプロンプトやPowerShellを「管理者として実行」し、「`diskpart`」と入力することで、専用のプロンプトが起動します。

例えば、新しいUSBメモリを、完全にクリーンな状態にして、NTFSでフォーマットし、ドライブ文字「X」を割り当てる、という一連の操作は、以下のようなコマンドで実行できます。

  1. ・`list disk` - PCに接続されている、全ての物理ディスクを一覧表示します。
  2. ・`select disk 1` - 操作対象のディスク(USBメモリのディスク番号)を選択します。**ここでのディスク番号の選択は、絶対に間違えてはいけません。**
  3. ・`clean` - 選択したディスクの、全てのパーティション情報とデータを、完全に消去します。
  4. ・`create partition primary` - ディスク全体に、一つのプライマリパーティションを作成します。
  5. ・`format fs=ntfs quick` - 作成したパーティションを、NTFSファイルシステムで、クイックフォーマットします。
  6. ・`assign letter=X` - ドライブ文字として「X」を割り当てます。
  7. ・`exit` - diskpartを終了します。

diskpartは、まさに、ディスクを構造レベルから再構築するための、外科医が使う、鋭利なメスなのです。

まとめ:パーティション管理とは、あなたのデジタル資産を、未来の災厄から守る「区画整理」である

Windows 11におけるドライブのパーティション管理は、PCをより深く理解し、そのストレージという、有限な資源を、最大限に、そして安全に活用するための、必須の知識体系です。

それは、将来起こりうる、OSのクラッシュや、再インストールといった「災厄」から、あなたの最も大切なデータ資産を、確実に守るための、最も効果的な「防災計画」なのです。

  1. 思想を理解する: OSとデータを、パーティションという「壁」で分離する。この基本的な区画整理思想が、データの安全性と、メンテナンス性を、飛躍的に向上させます。
  2. 技術を理解する: 現代のPCの標準である「GPT」と、Windowsの標準言語である「NTFS」。この二つの技術的背景を理解することが、正しい操作の前提となります。
  3. GUIツールをマスターする: 「ディスクの管理」を使い、「ボリュームの縮小」で土地を確保し、「新しいシンプルボリューム」で部屋を建てる。この一連の流れが、最も安全で、一般的なパーティション作成の手順です。
  4. コマンドの力を知る: 「diskpart」という、プロの道具の存在と、その計り知れない力、そして、それに伴う大きなリスクを知っておくこと。それが、あなたを、単なるユーザーから、真のパワーユーザーへと、一歩近づけます。

大きな一つのドライブを、無計画に使い続けるのは、全ての家財道具を、仕切りのない一つの巨大な部屋に、雑然と置いているようなものです。

ぜひ、パーティションという、賢明な「壁」を、あなたのデジタルな住まいに設置し、整理され、安全で、そして将来の変化にも柔軟に対応できる、快適な環境を、あなた自身の力で、構築してください。

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