
【Macが重い原因】特定のアプリがメモリを食いつぶす「メモリリーク」とは?アクティビティモニタで原因を特定し、解決する手順を解説
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記事の最終更新日:2025年9月24日
ピー太さん、私のMacが最近すごく重いんです。特に数時間使い続けていると、虹色のカーソルがくるくる回って、アプリの切り替えだけでもすごく待たされるようになります。
「アクティビティモニタ」というアプリで確認してみたら、特定のアプリ、例えばWebブラウザとかが時には10GBとか、信じられないくらいのメモリを使っていることがあるんです。
そのアプリを一度終了させて再起動すると一時的に軽くなるのですが、しばらくするとまた同じ症状が現れます。これって一体何が起きているのでしょうか?
スト子さん、それはMacのパフォーマンス問題を語る上で避けては通れない、典型的な「**メモリリーク**」の症状ですね。素晴らしい観察眼です。原因究明の最も重要な手がかりをすでに掴んでいますよ。
メモリリークは、例えるならアプリケーションという「パーティーの客」が、次々と新しい料理(メモリ)をテーブルに持ってくるのに、食べ終わった空の皿を全く片付けないという行儀の悪い状態です。
時間が経つにつれてテーブルの上は空の皿で埋め尽くされ、新しい料理を置くスペースがなくなり、パーティー全体(Macの動作)が機能不全に陥ってしまうのです。
幸い、お客様のMacにはその「行儀の悪い客」を特定し退場させるための優秀な「会場警備員」、すなわち「アクティビティモニタ」が備わっています。この記事では、その警備員の報告書(アクティビティモニタ)の正しい読み解き方から、問題の客を更生させるための具体的な対処法まで、あなたのMacの健康を取り戻すための完全な手順を解説します。
メモリリークの哲学:それは、アプリの「物忘れ」がシステム全体の「窒息」を招く現象
私たちのMacが快適に動作するための最も重要な資源の一つが「メモリ(RAM)」です。メモリはCPUが今まさに作業を行うための「広大な作業机」に例えられます。アプリケーションは動作するために必要なデータをこの作業机の上に広げ、作業が終わればそのデータをきちんと片付けて机の上を空ける、というルールに従わなければなりません。
しかしプログラムのバグなどによって、一部のアプリケーションはこの「後片付け」を忘れてしまいます。作業のために確保したメモリ領域をOSに「返却」することなく、次々と新しい領域を確保し続けてしまうのです。これが、「**メモリリーク(Memory Leak:メモリの漏洩)**」の正体です。
最初は小さな「水漏れ」でも、時間が経つにつれてそれは大きな洪水となり、作業机の全てのスペースを使い果たしてしまいます。机の上がいっぱいになると、Macは仕方なく低速なストレージ(SSD/HDD)を机の代わり(スワップメモリ)として使い始めるため、システム全体のパフォーマンスが劇的に低下し、やがては「窒息(フリーズ)」へと至るのです。メモリリークはハードウェアの故障ではなく純粋なソフトウェアの「バグ」です。したがって、正しい診断と手順を踏めば必ず解決することが可能です。
第一章:診断ラボ - アクティビティモニタで「メモリの悲鳴」を聞き取る
メモリリークを診断するための最も強力な武器が、「アプリケーション」>「ユーティリティ」フォルダにある「**アクティビティモニタ**」です。このアプリの「メモリ」タブには、お客様のMacの現在の健康状態を示す重要な「バイタルサイン」が表示されています。
最重要指標:「メモリプレッシャー」グラフ
ウィンドウの下部に表示されるこのグラフこそが、Macのメモリ状況を一目で教えてくれる最高の診断ツールです。
- 緑色: 正常。メモリには十分な空きがあり、Macは快適な状態です。
- 黄色: 警告。空きメモリが少なくなり、OSが非アクティブなアプリのメモリを「圧縮」してスペースを作り出し始めています。パフォーマンスの低下を感じ始める段階です。
- 赤色: 危険。メモリが完全に枯渇し、OSが低速なストレージをメモリの代替(スワップ)として本格的に使い始めています。虹色のカーソルが頻繁に現れ、Mac全体の動作が著しく遅くなります。
Macの動作が重いと感じた時にこのグラフが黄色あるいは赤色になっていれば、それはメモリの圧迫が原因である明確な証拠です。
犯人を特定する:「メモリ」列のソート
次に、どのアプリケーションがメモリを圧迫しているのか、犯人を特定します。アクティビティモニタのプロセス一覧で、「メモリ」という列のヘッダーをクリックしてください。これにより、現在最も多くのメモリを消費しているプロセスがリストの一番上に表示されます。ここに数GB、時には10GBを超えるような異常なメモリ使用量を示すアプリケーションがいたら、そのアプリこそがメモリリークを起こしている最有力な「容疑者」です。特に、そのメモリ使用量が何もしなくても時間と共にじわじわと増え続けていくようであれば、メモリリークである可能性は極めて高いと言えるでしょう。
第二章:治療計画 - メモリリークを解消しMacの健康を取り戻す
容疑者を特定したら、いよいよ具体的な治療に入ります。簡単な応急処置から根治を目指す本格的な治療まで、段階的に進めていきましょう。
ステップ1:容疑者プロセスの強制終了
最も手軽で即効性の高い応急処置です。アクティビティモニタで特定した、メモリを暴食しているプロセスを選択し、左上の「X」ボタンをクリックして「終了」または「強制終了」させます。これにより、そのアプリケーションが不当に確保し続けていた全てのメモリ領域はOSによって強制的に解放され、メモリプレッシャーは一気に緑色の健康な状態へと戻るはずです。その後、改めてそのアプリケーションを起動し直してください。
ステップ2:アプリケーションのアップデート
メモリリークはアプリケーションのバグです。多くの場合、そのアプリの開発者はすでに問題を認識しており、新しいバージョンでバグを修正している可能性が高いです。App Storeやアプリケーションの公式サイトを確認し、問題のアプリが最新のバージョンになっているかどうかを確認し、もしアップデートがあれば適用してください。
ステップ3:ブラウザ拡張機能の見直し
もしメモリリークの犯人がSafariやChromeといったWebブラウザである場合、本当の黒幕はブラウザ本体ではなく、お客様が後から追加した「拡張機能」であるケースが非常に多いです。一度全ての拡張機能をオフにしてみて症状が改善するかどうかを確認してください。もし改善するようであれば、拡張機能を一つずつ有効にしていき、どの拡張機能がメモリリークを引き起こしているのかを特定し、その使用を中止します。
ステップ4:Macの再起動
アプリケーションの再起動だけでは解消されない、OSレベルのメモリ管理の不整合が起きている場合もあります。Macを完全に再起動すれば、全てのメモリはクリーンな状態にリセットされます。
ステップ5:アプリケーションの再インストール
特定のアプリケーションが繰り返しメモリリークを起こす場合、そのアプリの設定ファイルなどが破損している可能性も考えられます。一度そのアプリケーションを完全にアンインストールし、改めて公式サイトなどからクリーンなバージョンを再インストールすることで問題が解決する場合があります。
ステップ6:macOSのアップデート
メモリリークの原因が、アプリケーションとmacOSとの相性問題にある場合もあります。「システム設定」からmacOSが最新のバージョンになっているかを確認し、もしアップデートがあれば適用することでOSレベルでのメモリ管理が改善され、問題が解決するかもしれません。
まとめ:メモリリークは「監視」と「対処」で乗りこなす
メモリリークはソフトウェアのバグである以上、私たちユーザーがその根本原因をプログラムレベルで修正することはできません。しかし、私たちにはその症状を早期に「発見」し、適切に「対処」することでMacの快適性を維持するための強力な武器が与えられています。
- 「メモリプレッシャー」を監視する習慣を持つ: Macの動作が重いと感じたら、まずアクティビティモニタを開き、メモリプレッシャーの色を確認する。それがあなたのMacの健康のバロメーターである。
- メモリの「暴食者」を特定する: プロセスリストをメモリ使用量でソートし、異常に多くのメモリを消費し、かつその量が増え続けるプロセスを見つけ出す。
- 応急処置は「プロセスの再起動」: 最も手軽で即効性の高い治療は、暴走するアプリを一度終了させメモリを解放させることである。
- 根本治療は「アップデート」にあり: メモリリークはバグである。アプリとOSを常に最新の状態に保つことが最高の予防策となる。
- ブラウザが犯人なら真犯人は「拡張機能」を疑う: 便利な拡張機能は時としてメモリリークの温床となる。定期的な見直しと整理を心がける。
アクティビティモニタという名の聴診器を使いこなし、お客様のMacの内部の声に耳を澄ます。そのプロフェッショナルな習慣こそが、あなたを原因不明のパフォーマンス低下の悩みから解放し、常に最高の状態で創造的な作業に集中するための鍵となるのです。

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