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2025.9.5

【2025年版】WSL2入門|WindowsでLinux環境を動かすメリットとインストール、使い方を世界一わかりやすく解説

Windowsのお役立ち情報

記事の最終更新日:2025年8月28日

質問する若い女性
Windowsで、Linuxが使えるって本当?

私はWeb開発を学んでいるのですが、学習教材やWeb上の技術情報の多くがMacやLinuxのコマンドライン(黒い画面)を前提に書かれているんです。

普段の作業やゲームにはWindowsが一番好きなのですが、開発環境のためだけにPCをもう一台用意したり、OSを二つ入れる「デュアルブート」をしたりするのは、少し敷居が高くて…。

最近、「WSL2」というものを使えばWindowsの中で本格的なLinux環境がそのまま動くという噂を聞きました。これって昔あった仮想マシン(Virtual Machine)のように動作が重かったり、ファイルのやり取りが面倒だったりするのでしょうか?

もし本当にシームレスに使えるなら、その導入方法と具体的な使い方を、世界一わかりやすく教えてほしいです。

解説する博識な男性
PC STORE スタッフ

その悩みこそ、現代の多くの開発者や学生が抱える、最も本質的な課題です。そして、お客様が耳にした「**WSL2(Windows Subsystem for Linux 2)**」こそが、その長年のジレンマにMicrosoft自身が出した革命的な「答え」なのです。

断言します。WSL2は、お客様が想像するような重くて不便な仮想マシンではありません。それは、WindowsというOSの心臓部に**本物のLinuxカーネル(OSの中核部分)**を直接組み込み、2つのOSをまるで一つのOSかのように融合させる驚異的な技術です。

Windowsの快適なデスクトップ環境と、Linuxの強力な開発ツールチェーン。その「両方の世界の良いところ」を一切の妥協なく、お客様の一台のPCで享受する。この記事では、その魔法のような技術の仕組みから、たった一行のコマンドで完了するインストール手順、そしてあなたの開発ワークフローを劇的に変える具体的な連携術まで、WSL2という新しい宇宙への旅の完全なガイドマップを提供します。

WSL2の哲学:それは「対立」から「融合」へ、OSの歴史を変える一大転換

かつて、MicrosoftのCEOはLinuxを「癌」と呼びました。WindowsとLinux。2つのオペレーティングシステムは、長年にわたり市場の覇権とその設計思想の優位性を巡って争い続けてきた宿命のライバルでした。

しかし、時代は変わりました。クラウドとオープンソースが世界のITインフラの中心となった現代において、Microsoftは過去の対立の歴史に終止符を打ち、Linuxを「敵」としてではなく最高の「パートナー」として迎え入れるという、歴史的な決断を下したのです。

WSL2は、その新しい時代の象徴です。それは、世界で最も普及したデスクトップOSの上で、現代のWebと科学技術計算を支える最も強力なサーバーOSであるLinuxを、ネイティブと遜色ないパフォーマンスで実行させるという、かつては誰もが夢物語だと思った世界を現実のものとしました。WSL2を学ぶことは、単に新しいツールを覚えるということではありません。それは、2つの偉大な文化の融合の最前線に立ち会い、これからのコンピューティングの新しい標準を体験するという、知的な冒険なのです。


第一章:技術の跳躍 - WSL1とWSL2の決定的違い

WSL2の革新性を理解するためには、その前身であるWSL1とのアーキテクチャ(基本設計)の違いを知る必要があります。

【WSL1:巧みな「翻訳者」】
WSL1は、Linuxのプログラムが出す命令(システムコール)をWindowsが理解できる命令へとリアルタイムで「翻訳」するという画期的なアプローチを取りました。これにより仮想マシンを使わずにLinuxのコマンドを実行できましたが、翻訳できない命令も存在し、完全な互換性はありませんでした。特にDockerのようなLinuxカーネルの深層の機能を必要とするソフトウェアは動作しませんでした。

【WSL2:本物の「エンジン」を搭載した超軽量な仮想マシン】
WSL2は、このアプローチを完全に刷新しました。WindowsのHyper-Vという仮想化技術を活用し、その上で「**本物のLinuxカーネル**」そのものを直接実行します。しかしそれは、従来のVirtualBoxやVMwareのような重厚長大な仮想マシンとは全く異なります。OSの起動はわずか数秒。メモリの消費も動的に最適化され、まるでWindowsのネイティブなアプリのように軽快に動作します。そして何よりも、本物のLinuxカーネルが動いているためシステムコールの「**100%の互換性**」が保証されます。Dockerも、その他のあらゆる高度な開発ツールも何の問題もなく完璧に動作します。このアーキテクチャの転換こそが、WSLを一部の技術者のための実験的なツールから、全ての開発者にとって必須の実用的なプラットフォームへと昇華させたのです。


第二章:魔法の呪文 - たった一行で完了するインストール

かつて、Windows上でLinux環境を構築するのは複雑な設定を伴う一大事業でした。しかしWSL2の登場により、そのプロセスは信じられないほどシンプルになりました。必要なのは、たった一行の魔法の呪文だけです。

まず、管理者権限で「Windows Terminal」または「PowerShell」を起動します。そして、以下のコマンドを入力しエンターキーを押してください。

wsl --install

ただ、これだけです。この一行のコマンドが、お客様のPCでWSL2を動作させるために必要な全てのWindowsの機能(「仮想マシン プラットフォーム」など)を自動で有効化し、最新のLinuxカーネルをダウンロードし、そして標準のLinuxディストリビューションである「Ubuntu」のインストールまでを全自動で行ってくれます。

インストールが完了しPCを再起動すると、スタートメニューに「Ubuntu」が追加されています。それを初めて起動すると、Linux環境で使用するあなた自身の「ユーザー名」と「パスワード」の設定を求められます。それが終われば、あなたはもうWindowsのデスクトップ上で完璧なLinuxのコマンドライン環境を手に入れたのです。

もしUbuntu以外のLinuxディストリビューション(例えばDebianやKali Linuxなど)を使いたい場合は、「`wsl --list --online`」で利用可能なリストを確認し、「`wsl --install -d (ディストリビューション名)`」で指定してインストールすることも可能です。


第三章:二つの世界の融合 - ファイルとツールのシームレスな連携

WSL2の真の美しさは、インストールされたLinuxが孤立した仮想環境ではなく、Windowsと深くそしてシームレスに融合している点にあります。

ファイルシステムの相互アクセス

LinuxのターミナルからWindowsのファイルにアクセスするのは簡単です。お客様のCドライブは、「`/mnt/c`」というパスで自動的にマウント(接続)されています。「`cd /mnt/c/Users/YourName/Desktop`」と入力すれば、あなたはLinuxのターミナルからWindowsのデスクトップ上にあるファイルを操作できます。

そしてその逆、すなわちWindowsからLinuxのファイルシステムにアクセスする方法は、さらに感動的です。Windowsのエクスプローラーのアドレスバーに、魔法の言葉「`\\wsl.localhost\`」(あるいは単に`\\wsl$`)と入力してみてください。すると、お客様がインストールしたLinuxディストリビューション(例:`Ubuntu`)がネットワークドライブのように表示され、その中をWindowsのGUIで自由に探索し、ファイルのコピー&ペーストを行うことができます。

Visual Studio Codeとの究極の連携

このシームレスな統合が最も輝くのが、世界中の開発者に愛用されているコードエディタ「Visual Studio Code(VS Code)」との連携です。Microsoftが公式に提供している「**WSL**」という拡張機能をVS Codeにインストールします。そして、WSLのLinuxターミナル上であなたのプロジェクトフォルダに移動し、そこで再び魔法の呪文、「`code .`」と入力するだけです。すると、Windows上でVS CodeのGUIウィンドウが立ち上がりますが、その実体(ターミナルやデバッガー)はWSL2のLinux環境の中で動作しています。これにより、お客様はWindowsの快適で美しいGUIでコードを書きながら、そのコンパイルや実行はLinuxのパワフルなツールチェーンを使って行うという、まさに「両方の世界の良いところ取り」をした究極の開発環境を手に入れることができるのです。

Linux GUIアプリの実行

WSL2はもはやコマンドラインだけの世界ではありません。「WSLg」という機能の統合により、Linuxのグラフィカルなアプリケーション(例えばGIMPやgeditなど)をインストールし実行すれば、そのウィンドウがWindowsのデスクトップ上にごく自然に表示され、Windowsアプリと何ら変わりなく操作することができます。

まとめ:WSL2は、あなたの「可能性」を拡張する新しい標準である

WSL2はもはや一部の開発者のためのニッチなツールではありません。それは、Windowsという世界で最も普及したOSの上で、オープンソースの膨大な資産と叡智を自由に活用することを可能にする、新しい「標準装備」です。

  1. WSL2は「本物のLinux」である: 翻訳レイヤーではなく、本物のLinuxカーネルが動いている。これによりDockerを含む100%の互換性を実現する。
  2. インストールは「`wsl --install`」の一行で: 複雑な設定はもういらない。ただ一つのコマンドが、あなたを新しい世界へと導く。
  3. 二つの世界は「融合」する: WindowsのエクスプローラーからLinuxのファイルに`\\wsl.localhost`でアクセスできる。このシームレスな統合こそがWSL2の真価である。
  4. VS Codeと連携してこそ最強: Windowsの快適なGUIとLinuxの強力なバックエンド。`code .`の一言が、あなたの開発体験を革命的に変える。

お客様がプロの開発者であれ、あるいはこれからプログラミングを学ぼうとする学生であれ。あるいは、ただ知的好奇心からLinuxという新しい世界を覗いてみたいと願う探求者であれ。WSL2は、その全ての要求に応え、お客様のWindows PCの可能性を無限に拡張してくれる最高のパートナーとなるでしょう。

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