最終更新日:2025年12月02日
ノートPCを海外旅行へ!機内持ち込みは?充電は?盗難・故障時に役立つ“海外旅行保険”の選び方まで、旅の達人が徹底解説
海外旅行にノートPCを持っていくと、写真のバックアップやメールチェック、ちょっとした作業まで一台でこなせます。ただその一方で「機内に持ち込んで大丈夫?」「コンセントや電圧は?」「盗難されたらどうしよう」といった不安もつきものです。
この記事では、IT初心者でも迷わないように、機内持ち込みのルールから、海外での充電・ネット環境の整え方、盗難や故障に備える海外旅行保険の選び方までを、旅慣れたIT担当者の視点でやさしく整理していきます。
今度、ヨーロッパに旅行するんですけど、ノートPCも持っていきたいんです。機内持ち込みとか、充電とか、盗難とか…正直ちょっと怖くて。
海外旅行保険でカバーできるって聞いたんですけど、どこを見ればいいかもよく分からなくて…。出発前に「これだけ押さえておけば安心」というポイントを教えてもらえませんか?
いい質問だね。ノートPCを海外に持っていく時は、機内持ち込みのルール、充電と電源、ネット環境、盗難や故障への備え、この4つを順番に押さえれば大きな失敗は避けられるよ。
この記事では「まず結論を知りたい人」と「ちゃんと理由も理解しておきたい人」どちらにも役立つように、判断の目安と具体的なチェックリストをセットで用意しておくね。

目次
ノートPCは海外旅行に持ち込める?機内持ち込みの基本ルール

まず最初におさえておきたいのは、ノートPCは世界中ほぼすべての航空会社で「預け入れ荷物ではなく機内持ち込み」が前提になっているという点です。理由は、ノートPCに内蔵されているリチウムイオン電池(高エネルギー密度の充電池)が、強い衝撃や高温の環境で発火リスクを持つためです。
航空機の貨物室で火災が発生すると、乗務員の目が届かず初期対応ができません。そのため国際的なガイドラインでは「ノートPCなどのバッテリー搭載機器は客室(機内)に持ち込む」ことが原則になっています。
ノートPCは「預け入れNG・機内持ち込み」が大前提
多くの航空会社は、ノートPCを含むPC・タブレット・スマートフォンなどを預け入れ荷物に入れることを禁止または強く非推奨としています。これは発火リスクだけでなく、盗難や紛失のリスクが非常に高いからです。
- 預け入れ荷物の中身は、預けた後は自分の目が届かない
- スーツケースを開けられ、ノートPCだけ抜き取られる事例がある
- 紛失や盗難に遭っても、航空会社の補償上限は低く、全額戻らないことが多い
こうした理由から、ノートPCは必ず機内に持ち込み、座席上の荷物棚か足元のスペースで管理するのが安全です。
リチウムイオン電池とバッテリー容量(Wh)の考え方
リチウムイオン電池の危険性の目安として使われるのが「Wh(ワット時)」という容量の単位です。多くの航空会社では、以下のような基準を採用しています。
- 100Wh以下:通常のノートPCやタブレット、スマートフォン用バッテリー。機内持ち込み可能。
- 100〜160Wh:大型のモバイルバッテリーなど。航空会社の事前許可が必要な場合がある。
- 160Wh超:航空機への持ち込み自体が禁止される高容量バッテリー。
一般的なノートPCの内蔵バッテリーは40〜80Wh程度で、多くの場合100Whを超えません。そのため、通常のノートPCを1台〜2台持ち込む程度であれば心配はいりません。ただし、大容量の外付けモバイルバッテリーを一緒に持ち歩く場合は、容量表示を確認しておくと安心です。
保安検査での取り扱いと、やりがちなNG行動
空港の保安検査場では、ノートPCは基本的に「バッグから取り出してトレイに単体で置く」必要があります。これは、X線装置で内部をはっきり確認するためです。
- ノートPCをバッグから取り出し、専用トレイの上に置く
- ACアダプタや充電ケーブルも、必要に応じて同じトレイにまとめる
- 係員から指示があれば、追加で確認や質問に答える
よくあるNG行動は、パソコンをバッグに入れたまま通そうとすることです。バッグが再検査になり、行列ができているときは周囲の迷惑にもなります。事前に「ノートPCは出してトレイに置く」と覚えておきましょう。
機内でのノートPC利用マナーと、快適に作業するコツ

長距離フライトでは「移動時間を有効活用したい」という理由でノートPCを広げる人も多いです。一方で、機内は限られた空間なので、周囲への配慮やマナーも欠かせません。ここでは、バッテリーを長持ちさせつつ、周りの人にも迷惑をかけない使い方を整理します。
座席選びとバッテリーの持たせ方
まずは「どの席で作業するか」を考えておくと快適さが変わります。エコノミークラスの場合、前の座席との距離が限られるため、ノートPCを開く角度も制限されます。
- 窓側:外を気にせず作業できるが、席を立ちにくい
- 通路側:出入りがしやすいが、飲み物サービスや他の乗客の移動が気になりやすい
- 前方の席:揺れが少なく静かな傾向がある
バッテリーを長持ちさせるには、出発前に以下の設定を済ませておくと効果的です。
- 画面の明るさを少し下げる
- 不要なアプリやバックグラウンドの常駐ソフトを終了しておく
- Bluetoothや不要なWi-Fi接続をオフにする
最近の機体(USBポートやACコンセントが座席に付いている機種)では充電しながらの利用も可能ですが、航空会社や機材によって仕様が異なるため、あらかじめ確認しておくと安心です。
前席リクライニング・周りの乗客への配慮
機内でノートPCを広げるときに気をつけたいのが「前の座席のリクライニング」です。背もたれを急に倒されると、ノートPCの画面とキーボードの間に圧力がかかり、最悪の場合ディスプレイ破損につながります。
- テーブルにぎりぎりまで画面を近づけず、ある程度の余裕を持たせる
- 前の人がリクライニングを倒したら、軽く声をかけて調整をお願いする
- 離着陸時や機内が揺れているタイミングは、ノートPCを一度閉じてバッグに戻す
また、機内は暗くなる時間帯も多く、画面の明るさが周囲の睡眠を妨げることもあります。明るさを少し抑え、プライバシーフィルター(覗き見防止フィルム)を貼っておくと、画面の内容保護とマナーの両方に役立ちます。
海外の電源・コンセント事情と、充電環境の整え方

海外でノートPCを安心して使うには、「電圧(ボルト数)」「周波数(ヘルツ)」「プラグ形状」の3点を確認する必要があります。難しそうに聞こえますが、ポイントさえ押さえればそこまで複雑ではありません。
電圧(V)と周波数(Hz)の考え方
日本のコンセントは100Vですが、海外では220〜240Vの国が多く存在します。一方で、ほとんどのノートPC用ACアダプタは「100〜240V対応」と書かれており、世界中どこでもそのまま使えるように設計されています。
- ACアダプタのラベルに「INPUT: 100–240V」と書かれていれば変圧器は不要
- 古い機種や特殊な充電器の場合は、100V専用になっていないか事前に確認
- 周波数(50Hz/60Hz)は多くのノートPCではあまり問題にならない
つまり、ノートPCの場合は「電圧変換」よりも「コンセントの形(プラグ形状)」の方が重要になります。
変換プラグとマルチアダプタの選び方
世界のコンセントには、A・C・BF・Oなど複数の形状があります。訪問国が1〜2か国なら、その国専用の変換プラグを用意してもよいですが、複数の国を巡る場合や、今後も海外へ行く予定がある場合は「マルチ変換アダプタ」が便利です。
- プラグ形状を切り替えられるワールドアダプタ
- USB-AやUSB-Cポートが複数付いた充電器
- ノートPC用のUSB-C PD(Power Delivery)充電器を1つ用意し、PCとスマホをまとめて充電
あれもこれもと個別の充電器を持ち歩くと、荷物もコンセント周りもごちゃごちゃしがちです。ワット数(W)の大きいUSB-C充電器を1つ用意しておき、ノートPC・スマホ・タブレットをまとめてまかなう構成にすると、荷物も配線もすっきりします。
海外でのネット接続とセキュリティ(Wi-Fi・SIM・VPN)

海外でノートPCを使う目的の多くは、メール確認やクラウドストレージへのアクセス、オンライン会議といった「インターネット利用」です。このときに重要なのが、公衆Wi-Fiの危険性と、VPN(通信を暗号化する仕組み)の活用です。
公衆Wi-Fiで絶対にやってはいけないこと
空港・ホテル・カフェの無料Wi-Fiは便利ですが、そのまま利用すると通信内容を盗み見られたり、偽のアクセスポイント(なりすましWi-Fi)に接続してしまうリスクがあります。
- 暗号化されていないWi-Fiで、パスワード入力やクレジットカード情報の送信をしない
- 「フリーWi-Fi」のような名前のアクセスポイントに安易に接続しない
- ネットバンキングや社内システムへのログインは、できるだけ避ける
どうしても利用が必要な場合は、VPNサービスをあらかじめ契約しておき、ノートPCにもクライアントソフトを入れておきます。VPNは、インターネットの通信経路を暗号化する仕組みで、カフェやホテルのWi-Fiを使っていても、第三者から中身を見られにくくする効果があります。
海外SIM/eSIMとテザリング活用
より安全にネット接続をしたい場合は、「スマホで海外SIM(またはeSIM)を使い、そのスマホからノートPCへテザリングする」方法が現実的でおすすめです。
- スマホに現地SIMまたはeSIMを設定し、モバイルデータ通信を有効化
- スマホのテザリング(インターネット共有)をオンにする
- ノートPCから、そのスマホに接続してインターネットを利用
これにより、公衆Wi-Fiに依存せずにインターネット接続ができるため、セキュリティリスクを大きく減らせます。仕事で重要なデータを扱う場合や、VPN設定に自信がない人は、この「スマホテザリング+信頼できる通信会社の回線」を軸に考えると良いでしょう。
盗難・紛失・故障リスクと、ノートPCの守り方

海外でノートPCが盗難や故障に遭うと、「PC本体の金額」よりも「失われたデータ」や「業務への影響」の方が深刻な問題になることが多いです。ここでは、物理的な守り方と、被害を最小限に抑えるための準備を整理します。
まず、盗難リスクを下げるための基本的な行動です。
- 観光地でノートPC入りバッグを椅子に掛けたまま席を立たない
- カフェで席取りのためにノートPCを置きっぱなしにしない
- ホテルの部屋では、金庫があれば必ず利用する
ノートPC自体を守るためには、ワイヤーロック(机に固定するケーブル)や、目立ちにくいシンプルなPCケースを使うのも有効です。ブランドロゴが大きく入ったバッグや、明らかに高級そうなPCケースは、盗難のターゲットになりやすくなります。
さらに、万が一盗難・紛失・故障に遭っても被害を小さくするために、次の準備を必ず行っておきましょう。
- クラウドストレージへのバックアップ(OneDrive・Googleドライブなど)
- ディスク暗号化(BitLockerなど)で、PCを失っても中身を読めないようにする
- リモートでデバイスを探す機能(位置情報とリモートワイプ)の有効化
物理的な対策とデータの対策をセットで行うことで、「盗難されても仕事や生活へのダメージを最小限に抑えられる」状態を作ることができます。
盗難・故障時に役立つ海外旅行保険の選び方

ここまでで、ノートPCを海外へ持ち出す際の「ルール」と「物理的な守り方」を見てきました。最後に、万が一の盗難・故障に備える「海外旅行保険」の選び方を整理します。ポイントは、「携行品損害」(旅行中に持ち歩く持ち物の補償)がノートPCをカバーしているかどうかです。
海外旅行保険でチェックすべき4つのポイント
- ノートPCが携行品として補償対象に含まれるかどうか
- 1回あたり・1旅行あたりの支払い上限(ノートPCの購入額と見比べる)
- 自己負担額(免責金額)がいくらか(例:1回の事故ごとに1万円など)
- 盗難・破損・水濡れなど、どこまでのトラブルが対象になっているか
特に見落としがちなのが「ノートPCやタブレットは補償対象外」としているプランです。保険会社によっては、スマホ・カメラはOKでもPCだけは対象外というケースがあります。約款はすべて読む必要はありませんが、「携行品損害」の説明欄だけは必ず確認しておきましょう。
クレジットカード付帯の海外旅行保険だけで足りる?
クレジットカードに付帯している海外旅行保険は便利ですが、ノートPCをしっかり守るという意味では、次のような制限がある場合があります。
- そもそも携行品損害が付いていないカードも多い
- 携行品損害があっても、ノートPCは対象外とされることがある
- 自己負担額(免責)が大きく、小さな破損には使いづらい
そのため、「短期の観光旅行で、PCは念のために持っていくだけ」という場合を除き、ノートPCを本格的に使う出張・ワーケーションでは、カード付帯保険だけに頼らず、旅行会社のパックや単体の海外旅行保険で「PCも補償対象」と明記されたプランを選ぶと安心度が高まります。
ビジネス用途のPCは、会社のルールも確認しておく
会社支給のノートPCを海外に持ち出す場合は、「個人の海外旅行保険でカバーして良いのか」「会社として別の保険に加入しているか」といったルールも確認が必要です。特に、業務上の機密情報が入ったPCが盗難に遭った場合、金銭的な損失よりも情報漏えいの方が問題になることがあります。
- 会社の情報セキュリティポリシーに沿った運用になっているか
- 暗号化やリモートワイプが有効になっているか
- 紛失・盗難時の連絡手順を出発前に確認しておくか
海外旅行保険は「お金の補償」、バックアップと暗号化は「情報の補償」と考えると、両方をバランスよく組み合わせるイメージが持ちやすくなります。
出発前チェックリスト(今日できる準備)
ここまで読んで「やることが多そう」と感じたら、最低限このステップだけ済ませておく、という形で出発前チェックリストをまとめました。
- ノートPCとモバイルバッテリーのバッテリー容量(Wh)を確認する
- 渡航先のプラグ形状と電圧を確認し、変換プラグやマルチアダプタを用意する
- OSとセキュリティソフトを最新の状態にアップデートしておく
- クラウドストレージに重要データをバックアップし、ローカルにしかないデータを減らす
- VPNサービスを契約し、ノートPCにクライアントをインストールして動作確認をしておく
- 海外旅行保険の「携行品損害」にノートPCが含まれているか確認する
- スマホのテザリング設定(インターネット共有)を事前に試しておく
現地で意識したい行動チェックリスト
現地に到着してから意識しておくだけで、盗難や情報漏えいのリスクは大きく下げられます。難しいことはしていないので、旅の前に一度目を通しておきましょう。
- カフェや空港で席を離れるときは、必ずノートPCを持っていく
- ホテルの部屋にノートPCを置いて外出するときは、金庫があれば必ず利用する
- 「Free Wi-Fi」のような名前のアクセスポイントには安易に接続しない
- 重要な作業やログインが必要な場面では、なるべくスマホ回線+テザリングを使う
- 盗難や紛失に気づいたら、その場ですぐに現地警察と保険会社の窓口に連絡する
よくある質問
ノートPCは、絶対に預け荷物に入れてはいけませんか?
各国のルールや航空会社の規定にもよりますが、一般的には発火リスクと盗難リスクの両面から「預け入れ荷物に入れない」ことが強く推奨されています。安全のため、機内持ち込みを前提に考えましょう。
海外旅行保険の「携行品損害」は、どれくらいの金額を目安にすればよいですか?
目安としては、「ノートPCの購入金額+スマホやカメラなど主要ガジェットの合計額」を超える上限額があると安心です。たとえばノートPCが15万円前後であれば、携行品損害30万円程度のプランを選ぶとバランスが良くなります。
VPNは必ず必要ですか?なんとなく難しそうで不安です。
公衆Wi-Fiを使うシーンが多い場合は、VPNがあると安心感が大きく変わります。最近はアプリを入れてスイッチをオンにするだけのサービスも多く、設定も比較的かんたんです。どうしても難しい場合は「公衆Wi-Fiでは重要な作業をしない」「スマホ回線のテザリングを優先する」といった運用ルールでリスクを下げることもできます。
まとめ
-
ノートPCは「預け入れNG・機内持ち込み」が大前提。バッテリー容量(Wh)を確認しておくと安心です。
-
海外では、電源(電圧・プラグ形状)とネット接続(Wi-Fi・SIM・VPN)、そして物理的な盗難対策をセットで考えましょう。
-
海外旅行保険では「携行品損害」にノートPCが含まれるか、上限額と自己負担額に無理がないかを必ず確認しておくと、万が一のときも落ち着いて対応できます。






