
【最後の手段】Windowsのシステム破損を自力で直す!修復コマンド「SFC /scannow」と「DISM」の正しい使い方と実行順序
Windowsのお役立ち情報

記事の最終更新日:2025年9月26日
ピー太さん、私のWindows PC、最近すごく調子が悪いんです。アプリが理由もなくクラッシュしたり、ブルースクリーンがたまに出たり、なんだかシステム全体が不安定な感じで…。
ウイルスチェックもしたし、不要なソフトも消したのですが一向に良くなりません。ネットで調べたら、「SFC」とか「DISM」っていう魔法の呪文みたいなコマンドがあって、それを実行するとOSの破損が直るって書いてありました。
なんだかすごく強力そうだけど、黒い画面にコマンドを打ち込むなんて、ちょっと怖いです。これって本当に安全なのでしょうか?それに、どっちを先に実行すればいいのか、正しい使い方がよく分かりません。
スト子さん、お客様はWindowsトラブル解決の、まさに「最後の砦」にたどり着きましたね。その「SFC」と「DISM」は、おっしゃる通りWindowsに標準で備わっている究極の「自己修復システム」です。
例えるなら、お使いのPCのOSを人体だと考えてください。「**SFC**」は、体中の傷ついた細胞(システムファイル)を見つけて健康な細胞に置き換えてくれる優秀な「**町医者**」です。しかし、その町医者が治療に使う「医学書(修復用のファイル)」自体が破れていたら、正しい治療はできませんよね?
そこで登場するのが、その医学書そのものを修復してくれる天才的な「**外科医**」、それが「**DISM**」なのです。プロの治療手順は常に一つ。まず外科医(DISM)に手術室を完璧な状態にしてもらい、その上で町医者(SFC)に治療を行わせる。
この記事では、そのプロフェッショナルな手順の全て、すなわち2つのコマンドの正しい実行順序と、その具体的な使い方を世界一わかりやすく解説します。
修復の哲学:それはOSに備わる「自己治癒力」を最大限に引き出すということ
Windowsという極めて複雑なオペレーティングシステムは、日々のアップデート、アプリケーションのインストールとアンインストール、そして予期せぬシャットダウンなど、様々な要因によってその根幹をなす「システムファイル」が少しずつ破損していくことがあります。原因不明のフリーズやアプリケーションのクラッシュといった多くの「PCの不調」は、この目に見えないシステムファイルの破損が引き金となっています。
しかし、Microsoftはこの事態を想定し、Windows自身に自らの健康状態を診断し、破損した細胞(ファイル)を修復するための驚くべき「自己治癒能力」を与えました。その自己治癒能力の中核をなすのが、「**SFC (System File Checker)**」と「**DISM (Deployment Image Servicing and Management)**」という2つの強力なコマンドラインツールです。
これらのツールを正しく使いこなすことは、PCの不調に対してOSの再インストールという「最終手段」に訴える前に、お客様自身の手でシステムの健全性を取り戻すための、最も効果的でかつ知的なアプローチなのです。それはPCの医者として、OS自身の生命力を信じ、その治癒プロセスを正しく導く行為に他なりません。
第一章:プロの作法 - 治療の成功率を最大化する正しい「実行順序」
SFCとDISM、この2つのツールには明確な役割分担があります。そして、その効果を最大限に引き出すためのプロが実践する「**正しい実行順序**」が存在します。
【重要】修復作業の正しい順序は、常に「**DISMが先、SFCが後**」です。
なぜなら、SFCは破損したシステムファイルを修復する際に、PC内部に保管されている「**コンポーネントストア**」と呼ばれる、修復用のオリジナル部品が格納された「倉庫」を参照するからです。しかし、もしその「倉庫」自体が破損していたら、SFCは正しい部品を取り出すことができず、修復は失敗に終わります。
DISMの最も重要な役割は、この「**倉庫(コンポーネントストア)そのものを点検・修復する**」ことです。つまり、プロの治療手順は以下のようになります。
- まず「外科医」である**DISM**を呼び出し、手術室の設備(コンポーネントストア)を完璧な状態に整備・修復させる。
- 次に「町医者」である**SFC**を呼び出し、その完璧な設備を使って患者(OS)の治療にあたらせる。
この順序を守ることこそが、システムの修復を成功に導くための絶対的な鉄則なのです。
【準備】コマンドプロンプトを「管理者として実行」する
これらの強力なコマンドを実行するためには管理者権限が必要です。Windowsの検索ボックスに「`cmd`」と入力し、表示された「コマンドプロンプト」を右クリックして、「**管理者として実行**」を選択してください。
ステップ1:外科医の執刀 - DISMコマンドの実行
黒いコマンドプロンプトの画面が開いたら、以下のコマンドを正確に入力(コピー&ペースト推奨)し、エンターキーを押します。
DISM.exe /Online /Cleanup-image /Restorehealth
このコマンドは、Windows Updateのサーバーにアクセスし、最新の健全なファイルと比較することでPCのコンポーネントストアの破損をチェックし、自動で修復します。処理には数分から数十分かかる場合があります。「操作は正常に完了しました」と表示されれば手術は成功です。
ステップ2:町医者の診察 - SFCコマンドの実行
DISMによる「倉庫」の修復が完了したら、いよいよシステムファイル全体の健康診断と治療を行います。続けて、以下のコマンドを入力しエンターキーを押してください。
sfc /scannow
SFCはWindowsの重要なシステムファイルを全てスキャンし、破損または変更されたファイルを検出し、コンポーネントストアにある正しいバージョンと自動的に置き換えます。この処理も数分から数十分かかります。「Windowsリソース保護は、整合性違反を検出しませんでした」または「破損したファイルを検出し、正常に修復しました」と表示されれば治療は完了です。最後にPCを再起動して、全ての変更を有効にしてください。
第二章:緊急手術 - Windowsが起動しない時のSFCとDISM
システム破損が深刻でWindowsが正常に起動しない。そんな絶望的な状況でも諦めるのはまだ早いです。私たちは「**Windows回復環境(WinRE)**」という特別な緊急手術室から、SFCとDISMを実行することができます。Windows回復環境には、「Shiftキーを押しながら再起動」するか、起動に数回失敗すると自動的に移行します。その青い画面で、「トラブルシューティング」>「詳細オプション」>「コマンドプロンプト」を選択してください。
ただし、この「オフライン」の状態でコマンドを実行する場合、いくつかの追加の呪文が必要になります。
オフライン環境でのDISMコマンド
Windowsが起動していないため`/Online`オプションは使えません。代わりに、修復対象のWindowsがインストールされているドライブ(例:`D:`ドライブ)を`/Image`オプションで明示的に指定する必要があります。(※回復環境ではドライブレターがずれることがあるため、`dir d:`などで中身を確認してください)
DISM.exe /Image:D:\ /Cleanup-Image /Restorehealth
オフライン環境でのSFCコマンド
SFCも同様に、スキャン対象のWindowsの場所を特別なオプションで教えてあげる必要があります。
sfc /scannow /offbootdir=D:\ /offwindir=D:\Windows
`/offbootdir`でブートドライブを、`/offwindir`でWindowsのインストールフォルダをそれぞれ指定します。これらの高度なコマンドを知っていることが、起動不能になったPCを自力で救出するための最後の鍵となるかもしれません。
まとめ:SFCとDISMは、Windowsユーザーにとっての「最後の、お守り」である
原因不明の不調に悩まされた時、OSの再インストールという全てを無に帰す最終手段に踏み切る前に、全てのユーザーが試すべき強力な自己修復の儀式。それがSFCとDISMです。
- 全ての不調はまず「システムファイルの破損」を疑う: アプリのクラッシュ、ブルースクリーン。その多くはOSの細胞レベルの損傷が原因である。
- 治療の順序は「DISM → SFC」: まず外科医(DISM)が手術室(コンポーネントストア)を整え、次に町医者(SFC)が治療にあたる。この順番が成功率を最大化する。
- コマンドは「管理者」として実行する: これらのコマンドはシステムの根幹に触れるため、最高の権限を持つ「管理者として実行」されたコマンドプロンプトからのみ実行できる。
- 起動しなくても諦めない: Windows回復環境(WinRE)という緊急手術室が存在する。オフライン用の特別なコマンドを知っておくことがあなたを救う。
これらの知識は、お客様のPCに問題が起きた時に冷静に、そして論理的に対処するための自信を与えてくれます。それはあなたのPCライフを、より深く、そしてより安定したものにするための強力な「お守り」となるでしょう。
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