
Windows 11でのスクリーンキャプチャと録画機能の活用方法
Windowsのお役立ち情報

記事の最終更新日:2025年7月11日
仕事で、ソフトウェアの操作方法を説明するマニュアルを作ることが多いんです。
いつもはキーボードの`Print Screen`キーで画面全体のスクリーンショットを撮って、後からペイントツールで必要な部分を切り抜いたり、矢印を入れたりしているのですが、すごく手間がかかってしまって…。
特定のウィンドウだけを綺麗に撮影したり、簡単な操作なら動画で撮って見せたりできたら、もっと分かりやすいマニュアルになると思うんです。
Windows 11には、スクリーンショットの撮影から、簡単な編集、そして画面録画までを、もっとスマートに、そして効率的に行えるような、プロ向けの機能は内蔵されていないのでしょうか?
そのお悩み、Windows 11が持つ、強力な「ビジュアルコミュニケーション能力」を解き放つ、最高のチャンスですよ。
もはや、`Print Screen`キーの時代は終わりました。
現代のWindows 11における画面キャプチャは、単に画面を「写す」行為から、情報を「捉え、加工し、伝達する」ための、統合されたワークフローへと進化しています。
その司令塔となるのが、`Win + Shift + S`で呼び出される、新しい「Snipping Tool」です。
これを使えば、範囲指定やウィンドウ撮影はもちろん、撮影した画像からAIがテキストを認識・コピーしたり、簡単な画面録画まで行えます。
さらに、PowerPointや、標準搭載のビデオ編集アプリ「Clipchamp」といった、あなたが既に持っているツールの中にも、プロフェッショナルな画面録画・編集機能が隠されています。
この記事では、それら全てのツールの能力を解き明かし、あなたの情報伝達スキルを、次のレベルへと引き上げるための、完全な知識と技術を授けます。
画面キャプチャの哲学:それは「見る」を「分かる」に変換する技術
「百聞は一見に如かず」という言葉の通り、一枚の適切に加工されたスクリーンショットや、短い操作動画は、時に、長文のテキスト説明よりも遥かに雄弁に、そして正確に、情報を伝達します。
Windows 11におけるスクリーンキャプチャと録画機能の真価は、この「見る」から「分かる」への変換プロセスを、いかにシームレスに、そして効率的に行うか、という思想に基づいて設計されています。
エラーメッセージの共有、ソフトウェアの操作手順の解説、デザインのフィードバック、あるいは感動したゲームのワンシーンの記録。
これら全てのコミュニケーションは、OSに深く統合されたキャプチャ機能を使いこなすことで、より速く、より豊かになります。
これから解説するのは、単なるツールの使い方ではありません。
あなたの思考と意図を、最も効果的な視覚言語へと翻訳するための、現代的なコミュニケーションの技術なのです。
第一章:司令塔「Snipping Tool」の完全 mastery
Windows 11における静止画キャプチャの、全ての中心となるのが、`Win + Shift + S`のショートカットキーで呼び出される、新しい「Snipping Tool」です。
これは、かつてのSnipping Toolと、切り取り&スケッチ(Snip & Sketch)が統合・進化した、現代的なキャプチャツールです。
撮影モードの選択:四角形、フリーフォーム、ウィンドウ、フルスクリーン
ショートカットを押すと、画面上部に、キャプチャモードを選択するための小さなツールバーが表示されます。
- ・四角形モード: ドラッグして、矩形の範囲を選択・撮影します。最も一般的に使用するモードです。
- ・フリーフォームモード: マウスをフリーハンドで動かし、好きな形の範囲を切り抜くことができます。複雑な形状の一部だけを抜き出したい場合に便利です。
- ・ウィンドウモード: カーソルを合わせるとウィンドウがハイライトされ、クリックするだけで、そのウィンドウだけを正確に撮影します。影を付けるかどうかのオプションはありませんが、アプリケーションの操作画面を説明する際に非常に役立ちます。
- ・フルスクリーンモード: 表示されている画面全体を撮影します。`Print Screen`キーと同じ機能です。
撮影後の編集機能:注釈、トリミング、そしてAIによるテキスト認識
キャプチャを実行すると、画面右下に通知が表示されます。
この通知をクリックすることで、Snipping Toolの編集ウィンドウが開き、撮影した画像に、様々な加工を施すことができます。
ペンや蛍光ペンによる手書きの注釈、定規を使った直線描画、トリミング(切り抜き)といった基本的な編集機能に加え、現在のSnipping Toolには、特筆すべき二つの高度な機能が搭載されています。
【テキストアクション】
これは、撮影した画像の中から、AIがテキストを自動で認識する機能です。
ツールバーの「テキストアクション」ボタンを押すと、画像内のテキスト部分がハイライトされ、そのテキストを全てコピーしたり、特定の部分だけを選択してコピーしたりすることが可能になります。
Webページや、コピーが禁止されているPDF、あるいはエラーメッセージのダイアログなど、あらゆる「画像の中の文字」を、再入力することなく、テキストデータとして活用できる、極めて強力な機能です。
【クイック編集】
「テキストアクション」でテキストを認識させた後、メールアドレスや電話番号といった、プライベートな情報が含まれていた場合、この機能を使えば、ワンクリックで、それらの情報を黒塗りで自動的に墨消し(リダクション)することができます。
スクリーンショットを他者と共有する際の、プライバシー保護の手間を、大幅に削減してくれます。
Snipping Toolによる簡易画面録画
Snipping Toolのツールバーには、静止画キャプチャの隣に、ビデオカメラのアイコンがあります。
これをクリックすると、画面録画モードに切り替わります。
録画したい範囲をドラッグで指定し、「スタート」ボタンを押すだけで、その範囲内の動きを、MP4形式の動画ファイルとして、簡単に記録することができます。
ただし、この機能は、システム音声やマイク音声を同時に録音することはできず、あくまで「無音の操作動画」を作成するための、簡易的な機能と位置づけられています。
より高度な録画には、次の章で解説するツールを利用します。
第二章:本格録画スタジオ「Xbox Game Bar」の活用
「ゲームバー」という名前から、ゲーム専用の機能だと誤解されがちですが、`Win + G`で呼び出される「Xbox Game Bar」は、Windows 11に内蔵された、最も高機能な画面録画ツールです。
アプリケーションの操作説明や、オンラインセミナーの録画など、ビジネス用途でも絶大な威力を発揮します。
Game Bar録画機能の優位性:音声収録とウィンドウ指定
Game Barの録画機能が、Snipping Toolのそれよりも優れている点は、主に以下の通りです。
- ・音声の同時収録: ゲームや動画の音声といった「システム音声」と、マイクからの「自分の声」を、同時に、あるいは個別に選択して、映像と共に録音することができます。
- ・アクティブウィンドウの録画: デスクトップ全体ではなく、現在操作している特定のアプリケーションウィンドウだけを対象として録画できます。これにより、余計なデスクトップアイコンや、他のアプリの通知が映り込むのを防ぎ、クリーンな録画が可能です。
- ・パフォーマンスへの影響が少ない: ハードウェアアクセラレーションを活用して録画を行うため、PCへの負荷が比較的少なく、ゲームプレイのような高負荷な状況でも、パフォーマンスの低下を最小限に抑えながら録画できます。
「直前の瞬間を記録する」という神業
Game Barの最もユニークで強力な機能が、「これを記録」ボタン、通称「バックグラウンド録画」です。
この機能を有効にしておくと、Windowsは常に、直前の30秒間(時間は設定で変更可能)の画面の動きを、バックグラウンドで一時的に記録し続けます。
そして、ゲームでスーパープレイが決まった瞬間や、ソフトウェアで再現性の低いエラーが発生した瞬間など、「今、起きた瞬間を録画しておけばよかった!」と思った時に、ショートカットキー「`Win + Alt + G`」を押すだけで、過去に遡って、直前の30秒間を動画ファイルとして保存することができるのです。
これは、予期せぬ出来事を確実に捉えるための、まさにタイムマシンのような機能です。
第三章:隠れた動画スタジオ - PowerPointとClipchampの活用
驚くべきことに、多くの人が日常的に使っているPowerPointや、Windows 11に新たに標準搭載されたClipchampも、非常に強力な画面キャプチャ・編集機能を備えています。
PowerPointによる高品質な画面録画と編集
PowerPointの「挿入」タブには、「画面録画」という機能があります。
これをクリックすると、デスクトップに戻り、録画範囲を指定して、システム音声やマウスポインターを含めた、高品質な画面録画を開始できます。
録画を終了すると、その動画は、PowerPointのスライド上に、ビデオオブジェクトとして挿入されます。
ここからがPowerPointの真骨頂です。
挿入された動画を選択し、「ビデオの書式設定」や「再生」タブを使えば、動画のトリミング(始点と終点の設定)、フェードイン・フェードアウト、ブックマークの追加、さらには動画の形状を円形や星形に変えるといった、多彩な編集が可能です。
そして、編集が完了した動画は、スライド上で右クリックし、「メディアに名前を付けて保存」を選択することで、独立したMP4ファイルとして書き出すことができます。
これは、多くの人が知らない、身近なアプリケーションに隠された、本格的な動画スタジオなのです。
Clipchamp:OS標準搭載の本格ビデオエディター
Microsoft Clipchampは、Windows 11から標準で搭載されるようになった、クラウドベースのビデオ編集アプリケーションです。
このアプリにも、非常に高機能な「画面とカメラの録画」機能が内蔵されています。
PCの画面と、ウェブカメラの映像を、ピクチャーインピクチャーの形で同時に録画することも可能です。
そして、Snipping ToolやGame Bar、PowerPointで作成した様々な動画クリップを、このClipchampに読み込み、テロップ(字幕)の追加、シーン間のトランジション(切り替え効果)の設定、BGMの挿入といった、より本格的なビデオ編集を行うことができます。
Windows 11における画面キャプチャのワークフローは、各ツールで素材を「撮影」し、最終的にClipchampで「編集・仕上げ」を行う、という流れで完結するのです。
第四章:ワークフローの最適化 - どのツールを、いつ使うべきか?
これまで紹介してきた複数のツールを、その特性を理解し、目的に応じて使い分けることが、真の効率化に繋がります。
- ・静止画で、素早く注釈を加えて共有したい: `Win + Shift + S`で**Snipping Tool**を使い、即座に編集・共有するのが最速です。
- ・無音の簡単な操作デモ動画を作成したい: **Snipping Tool**の録画機能が、最も手軽でシンプルです。
- ・音声付きで、特定のアプリの操作を録画したい: **Xbox Game Bar**を使い、「ウィンドウ録画」モードを利用するのが最適です。
- ・プレゼンテーション資料に埋め込む、あるいは、簡単な編集を加えたい動画を撮る: **PowerPoint**の画面録画機能が、撮影から編集、そして資料への埋め込みまでをシームレスに行えます。
- ・複数の動画クリップを繋ぎ合わせ、本格的なチュートリアル動画を作成したい: Game BarやPowerPointで素材を撮影し、**Clipchamp**で最終的な編集と書き出しを行うのが、最もプロフェッショナルなワークフローです。
まとめ:画面キャプチャとは、あなたの「伝えたい」を形にする創造活動である
Windows 11が提供する画面キャプチャと録画機能群は、もはや単なる補助的なユーティリティではありません。
それらは、あなたの知識、発見、そして意図を、最も分かりやすく、最も効果的な形で他者と共有するための、統合された「ビジュアル・コンテンツ制作環境」です。
- ・`Win + Shift + S`を全ての起点に: Snipping Toolは、静止画キャプチャにおける、現代のデファクトスタンダードです。AIによるテキスト認識など、その先進的な機能を余すところなく活用しましょう。
- ・音声付きの録画は「Game Bar」に任せる: `Win + G`で呼び出せるGame Barは、アプリケーションの操作説明や、自分の声を乗せたチュートリアル動画を作成するための、最も手軽で強力なソリューションです。
- ・PowerPointという「隠れスタジオ」を忘れない: プレゼン資料作成の傍ら、高品質な画面録画と、そのままシームレスな編集が可能なPowerPointの能力は、多くの場面であなたの助けとなります。
- ・「撮影」と「編集」を分離して考える: 各ツールで最適な素材を撮影し、最終的な仕上げは、OS標準のビデオエディターである「Clipchamp」で行う。この分業思想が、質の高いコンテンツ制作への近道です。
スクリーンショット一枚、あるいは、短い録画クリップ一つが、あなたのコミュニケーションを円滑にし、ビジネスを加速させ、そして誰かの「分からない」を「分かった!」に変える力を持っています。
ぜひ、これらの強力なツールをマスターし、あなたの「伝えたい」を、もっと自由に、もっと豊かに、表現してください。

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