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2025.3.16

Mac OSの自動化機能:Automatorで日常作業を効率化

MacOSのお役立ち情報

MacのAutomator活用術|日常作業を自動化する究極の方法【2025年】

記事の最終更新日:2025年7月10日

質問する若い女性
Macでの単純作業、どうにかならない?

毎日、Macで同じような単純作業を繰り返しているんです。

例えば、スクリーンショットを撮った後、毎回ファイル名を変更して、特定のフォルダに移動させたり、ダウンロードした大量の画像ファイルのサイズを、一つずつリサイズしたり…。

こういう地道な作業に、気づけば結構な時間を奪われていて、なんだか自分がロボットになったような気分になります。

Macに、こうした一連の面倒な作業を「記憶」させて、ボタン一つで実行してくれるような、魔法みたいな機能ってないのでしょうか?

解説する博識な男性
パソコン専門店のスタッフ

その「ロボットになった気分」、それこそが、PCを使いこなす上で、最も避けなければならない状態です。

そして、あなたのMacには、その退屈な繰り返し作業からあなたを解放するための、非常に強力な「魔法」が、標準で備わっています。

その名も「Automator(オートメーター)」です。

これは、プログラミングの知識が一切なくても、まるでレゴブロックを組み合わせるように、「ファイルを探す」「名前を変更する」「サイズを変更する」といった、個々の「アクション」を繋ぎ合わせることで、あなただけのオリジナルな自動化ロボット、「ワークフロー」を構築できる、夢のようなツールなのです。

この記事では、そのAutomatorの基本思想から、実用的なワークフローの具体的な作成例、そして最新の「ショートカット」アプリとの連携に至るまで、あなたのMacを、言われたことだけをこなす機械から、あなたの意図を汲んで自律的に働く「有能なアシスタント」へと変貌させるための、全ての知識を解説します。

自動化の思想:あなたの時間は「創造」のためにある

あなたがPCに向かう時間は、有限で、かつ非常に貴重な資源です。

その貴重な時間を、ファイルの移動、名前の変更、フォーマットの変換といった、創造性の欠片も必要としない、機械的な繰り返し作業に費やすべきではありません。

そうしたタスクは、本来、機械であるPC自身が引き受けるべきものです。

Automatorを学ぶということは、単に作業を効率化するテクニックを覚えることではありません。

それは、「人間がやるべき仕事」と「機械に任せるべき仕事」を明確に切り分け、あなた自身の時間を、企画、分析、創造、コミュニケーションといった、より高次元で、より付加価値の高い活動に集中させるための、現代的なワークスタイルの哲学を学ぶことに他なりません。

一度、自動化の仕組みを構築してしまえば、そのロボットは、文句も言わず、ミスもせず、24時間365日、あなたの代わりに働き続けてくれます。

その節約できた時間こそが、あなたの競争力の源泉となるのです。

第一章:Automatorの解剖学 - 「アクション」と「ワークフロー」という名のレゴブロック

Automatorの操作は、驚くほど直感的です。

「アプリケーション」フォルダ内の「その他」にあるAutomatorを起動すると、左側に「アクション」のライブラリ、右側に「ワークフロー」を構築するエリアが表示されます。

アクション:自動化の最小単位

アクションとは、「指定されたFinder項目を取得する」「イメージを回転させる」「テキストを音声に変換する」といった、一つ一つの具体的な命令のことです。

macOSには、数百ものアクションが標準で用意されており、これらを組み合わせることで、ほとんどの定型作業は自動化できます。

左側のライブラリで、目的のアクションを探し出し、右側のワークフローエリアにドラッグ&ドロップする。

これが、Automatorの基本的な操作です。

ワークフローとデータフロー:デジタルなベルトコンベアの仕組み

ワークフローとは、複数のアクションを上から下へと順番に繋げた、一連の処理の流れのことです。

Automatorの最も重要な概念は、このワークフローにおける「データフロー」を理解することです。

多くの場合、一つ前のアクションの「出力(結果)」が、次のアクションの「入力(材料)」として、自動的に引き渡されます。

例えば、「①デスクトップ上のファイルを取得する」というアクションの出力(見つかったファイル群)は、「②ファイル名を変更する」というアクションの入力となり、さらにその出力(名前が変更されたファイル群)は、「③特定のフォルダに移動する」というアクションの入力となります。

この、データがベルトコンベアのように流れていくイメージを掴むことが、複雑なワークフローを構築するための鍵となります。

第二章:自動化の「形」を選ぶ - 8種類のワークフロータイプを理解する

Automatorで作成したワークフローは、様々な「形」で保存し、実行することができます。

どのタイプを選択するかで、その自動化ロボットの使い勝手は大きく変わります。

  • ワークフロー: 最も基本的な形式で、Automatorアプリ内でのみ実行できます。作成した自動化処理のテストや、一度しか使わない処理に適しています。
  • アプリケーション: 作成したワークフローを、一つの独立したアプリケーション(`.app`)として保存します。このアプリアイコンにファイルやフォルダをドラッグ&ドロップするだけで、それらを材料としてワークフローが実行される「ドロップレット」として機能させることができ、非常に汎用性が高い形式です。
  • クイックアクション: (※注釈:以前の「サービス」機能)作成したワークフローを、Finderの右クリックメニュー(コンテキストメニュー)に追加します。ファイルを選択して右クリックし、メニューから実行、という流れで、日常的なファイル操作を劇的に効率化できます。
  • プリントプラグイン: 作成したワークフローを、印刷ダイアログの「PDF」メニュー内に追加します。例えば、「PDFとして保存し、特定のフォルダに自動でバックアップする」といったワークフローを作成できます。
  • カレンダーアラーム: 作成したワークフローを、カレンダーの特定の予定時刻に自動で実行させます。「毎朝9時に、特定のWebサイトの情報を取得してテキストファイルに保存する」といった、定時実行タスクに最適です。
  • フォルダアクション: 特定のフォルダに、ワークフローを「添付」します。そのフォルダに新しいファイルが追加されると、添付されたワークフローが自動的に実行されます。例えば、「ダウンロード」フォルダに添付し、「画像ファイルが追加されたら、自動で『写真』フォルダに移動させる」といった、全自動の整理システムを構築できます。
  • イメージキャプチャプラグイン: デジカメなどを接続した際に、「イメージキャプチャ」アプリ内で利用できるワークフローを作成します。
  • 音声入力コマンド: アクセシビリティ機能と連携し、特定の音声コマンドでワークフローを起動します。

第三章:実践 - 3つの実用的な自動化ロボットの構築

理論を理解したところで、具体的なワークフローの作成例を3つ、ステップ・バイ・ステップで見ていきましょう。

実践例1:画像リサイズ&リネーム・ドロップレット(アプリケーション形式)

大量の画像ファイルを、一括で指定したサイズに縮小し、連番付きの名前に変更する、非常に実用的なロボットです。

  1. ・1. Automatorを起動し、新規書類で「アプリケーション」を選択します。
  2. ・2. ワークフローエリアには、最初に「指定されたFinder項目を取得」アクションがありますが、今回はドラッグ&ドロップでファイルを受け取るため、これは削除します。
  3. ・3. 「Finder項目をコピー」アクションを追加します。これは、元の画像ファイルを保護するための、重要な安全策です。コピー先のフォルダを指定します。
  4. ・4. 「イメージを拡大/縮小」アクションを追加し、縮小後のサイズ(例:幅1200ピクセル)を指定します。
  5. ・5. 「Finder項目の名前を変更」アクションを追加し、「連番付きの名前にする」を選択します。新しい名前の形式(例:「Web用画像_20250710_」)や、番号の開始位置などを設定します。
  6. ・6. このワークフローを「画像一括処理.app」といった名前でデスクトップに保存します。以降は、処理したい画像ファイル群を、このアプリアイコンにドラッグ&ドロップするだけで、一連の処理が自動で実行されます。

実践例2:選択したファイルを日付フォルダに移動(クイックアクション形式)

デスクトップに散らかった複数のファイルを選択し、右クリック一発で、実行日の日付(例:「2025-07-10」)がついたフォルダを新規作成し、その中に移動させるロボットです。

  1. ・1. Automatorを起動し、新規書類で「クイックアクション」を選択します。
  2. ・2. ワークフロー上部で、「ワークフローが受け取る現在の項目」を「ファイルまたはフォルダ」、「検索対象」を「Finder.app」に設定します。
  3. ・3. 「変数を設定」アクションを追加し、「新規変数...」で「FilePath」といった名前の変数を作成します。これにより、最初のファイルパスが一時的に記憶されます。
  4. ・4. 「シェルスクリプトを実行」アクションを追加します。「入力の引き渡し方法」を「引数として」に設定し、スクリプトエリアに「`date +%Y-%m-%d`」と入力します。これは、現在の日付を指定したフォーマットで出力するコマンドです。
  5. ・5. 「変数の値を設定」アクションを追加し、「新規変数...」で「DateString」といった名前の変数を作成します。これにより、先ほどの日付文字列が記憶されます。
  6. ・6. 「変数の値を取得」アクションを追加し、「FilePath」変数をワークフローに復帰させます。(少し複雑ですが、これは後の移動アクションのためです)
  7. ・7. 「新規フォルダ」アクションを追加します。名前に、先ほど作成した「DateString」変数をドラッグ&ドロップして設定します。
  8. ・8. 「Finder項目を移動」アクションを追加します。移動先に、先ほど作成した「新規フォルダ」アクションの結果をドラッグ&ドロップします。
  9. ・9. このワークフローを「日付フォルダに整理」といった名前で保存します。これで、Finderの右クリックメニューから、いつでもこの機能が呼び出せるようになります。

実践例3:ダウンロードフォルダの自動整理(フォルダアクション形式)

「ダウンロード」フォルダを監視し、新しく追加されたファイルの種類に応じて、デスクトップ上の「画像」「書類」「その他」といったフォルダに自動で振り分ける、究極の整理整頓ロボットです。

  1. ・1. Automatorを起動し、新規書類で「フォルダアクション」を選択します。
  2. ・2. ワークフロー上部で、「“フォルダアクション”は、次の場所に追加されたファイルやフォルダを受け取る」のプルダウンから、「ダウンロード」フォルダを選択します。
  3. ・3. 「指定された種類のFinder項目をフィルタ」アクションを追加します。「種類」「が」「イメージ」である、といった条件を設定します。
  4. ・4. 「Finder項目を移動」アクションを追加し、移動先に「画像」フォルダを指定します。
  5. ・5. 手順3と4を繰り返し、「種類」「が」「PDF書類」の場合は「書類」フォルダへ、といった形で、必要なファイル種類ごとの振り分けルールを追加していきます。
  6. ・6. このワークフローを「ダウンロード自動振り分け」といった名前で保存します。これ以降、あなたが意識することなく、ダウンロードフォルダは常に整理された状態に保たれます。

第四章:次世代の自動化 - 「ショートカット」アプリとの連携と未来

近年のmacOSでは、iOSでお馴染みの「ショートカット」アプリが搭載され、Appleの自動化の主軸は、徐々にこちらに移行しつつあります。

ショートカットアプリは、よりモダンなインターフェースを持ち、特にサードパーティ製アプリとの連携や、OSの新しい機能との統合に優れています。

しかし、Automatorが持つ、Finderのファイル操作に関する詳細で強力なアクションの数々や、フォルダアクションのようなバックグラウンドでの自動実行機能は、依然として非常に魅力的です。

そして、幸いなことに、この二つのツールは敵対するものではなく、連携させることが可能です。

ショートカットアプリには、「Automatorワークフローを実行」というアクションが用意されています。

これにより、Automatorで作成した、ファイル操作に特化した複雑なワークフローを、ショートカットアプリから呼び出し、Siriやメニューバー、あるいは他のショートカットと組み合わせて、より大きな自動化システムの一部として活用することができるのです。

Automatorの「レガシーなファイル処理能力」と、ショートカットの「モダンなアプリ連携能力」。

この二つを使い分ける、あるいは連携させることこそが、2025年現在の、Mac自動化における最も高度で、最も効果的なアプローチと言えるでしょう。

まとめ:Automatorは、あなたの「面倒くさい」を吸収する魔法のスポンジである

日々の業務に潜む、名もなき「面倒くさい」繰り返し作業。

Automatorは、それらを全て吸収し、あなたをより創造的で、より人間的な仕事へと解放してくれる、Macに標準で備わった最高のパートナーです。

  1. 自動化の思考法を身につける: 「この作業、今月にもう3回もやっているな」と感じたら、それは自動化のサインです。繰り返し作業を、Automatorの「アクション」へと分解する思考法を身につけましょう。
  2. 最適な「形」でロボットを作る: 一回きりの処理なら「ワークフロー」、ドラッグ&ドロップで使いたいなら「アプリケーション」、右クリックから呼びたいなら「クイックアクション」、全自動を目指すなら「フォルダアクション」。目的に応じて、最適な形式を選択する知識が重要です。
  3. 具体的な成功体験を積む: まずは、この記事で紹介したような、簡単な画像の処理やファイルの整理といった、身近な問題解決から始めてみましょう。小さな成功体験の積み重ねが、より複雑な自動化への扉を開きます。
  4. 新旧のツールを使い分ける: ファイルシステムを深く扱うならAutomator、様々なアプリを連携させたいならショートカット。そして、この二つを連携させることで、自動化の可能性は無限に広がります。

あなたが退屈な作業に費やしている1時間は、Automatorがわずか1秒で終わらせてくれるかもしれません。

その浮いた時間で、あなたは何を生み出しますか?

その問いこそが、Automatorが私たちに与えてくれる、最も価値のある贈り物なのです。

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