
【解決】iCloud Driveが同期しない・終わらない問題の原因と対処法|MacとiPhoneでファイルを確実に同期させるための全手順
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記事の最終更新日:2025年8月16日
MacのデスクトップとiPhoneのファイルを同期するためにiCloud Driveを使っているのですが、最近どうも調子が悪いんです。
Macでデスクトップに保存したはずのファイルが、いつまで経ってもiPhoneのファイルアプリに表示されなかったり、逆にiPhoneで保存したファイルがMac側でずっと「アップロード中」のまま一向に同期が終わらなかったりします。
Appleのエコシステムの魅力なのに、この同期がうまくいかないと本当にストレスです。何かこの問題を根本的に解決するための、体系的なトラブルシューティング方法はないのでしょうか?
その、シームレスなはずの連携が途切れてしまうもどかしさ、非常によく分かります。iCloud Driveの同期は一見魔法のように見えますが、その裏側ではお客様のデバイス、家庭のWi-Fiネットワーク、そしてAppleの巨大なクラウドサーバーという三者が常に緻密な通信を行っています。
同期が止まるということは、この通信経路のどこかで何らかの「渋滞」や「断絶」が起きているというサインなのです。ご安心ください。その原因は多くの場合、深刻な故障ではありません。
この記事では、プロのネットワークエンジニアのようにその通信経路を一つずつ点検し、問題を切り分けていく体系的なトラブルシューティングの手順を伝授します。簡単な基本チェックから、Macの深層部に眠る同期プロセスを直接再起動させる専門的なテクニックまで、お客様のiCloud Driveのスムーズな流れを取り戻すための全ての解決策を網羅しました。
同期の哲学:それは、デバイス、ネットワーク、クラウド間の信頼の連鎖である

iCloud Driveのファイル同期は、単にファイルをA地点からB地点へコピーするだけの単純なプロセスではありません。それは、お客様の全てのAppleデバイスとiCloudサーバーとの間で、常に最新のファイルの状態を監視し、差分を検出し、そして変更を安全に伝播させていく、永続的な「**対話**」のプロセスです。
この繊細な対話が成立するためには、その通信経路を構成する全ての要素が健全でなければなりません。あなたのデバイスの設定は正しいか?あなたのネットワークは安定しているか?Appleのサーバーは正常に稼働しているか?そして、同期しようとしているファイル自体に問題はないか?
トラブルシューティングとは、この信頼の連鎖のどこが断絶しているのかを、冷静にそして論理的に突き止めていく知的な探偵作業なのです。これから、その探偵作業を最も可能性の高い容疑者から順番に検証していく形で進めていきましょう。
第一章:基本調査 - 外部要因とリソースの確認

問題がお客様自身のデバイスにあると断定する前に、まず外部の要因と基本的なリソースの状態を確認します。多くの場合、原因はここにあります。
ステップ1:Appleの「システム状況」を確認する
まず最初に確認すべきは、問題がお客様一人だけに起きているのか、それともApple側で大規模な障害が発生しているのかという点です。Webブラウザで「Apple システム状況」と検索し、Appleの公式なサービス稼働状況ページを確認してください。もし「iCloud Drive」の項目が黄色や赤色になっていれば、それはApple側で問題が発生しているサインです。その場合はお客様ができることはありません。ただAppleによる復旧を待つだけです。
ステップ2:インターネット接続は本当に安定しているか?
iCloud Driveの同期は、安定したインターネット接続を前提とします。MacとiPhoneの両方でWi-Fi接続が有効になっているか、そして実際にWebサイトなどが問題なく閲覧できるかを確認してください。可能であれば、一度Wi-Fiルーターの電源を再起動してみるのも有効な手段です。
ステップ3:iCloudストレージの空き容量は十分か?
iCloudストレージの空き容量がなくなれば、当然新しいファイルをアップロードすることはできなくなり、同期は停止します。
- iPhone/iPadの場合: 「設定」>「[あなたの名前]」>「iCloud」で、ストレージの使用状況を確認できます。
- Macの場合: 「システム設定」>「Apple ID」>「iCloud」で、同様に確認可能です。
もし容量が上限に達しているのであれば、不要なファイルを削除するか、あるいは有料プランへとアップグレードする必要があります。
ステップ4:巨大なファイルのアップロードが進行中ではないか?
数GBにも及ぶ大きな動画ファイルなどをiCloud Driveに入れた直後ではないですか?FinderのサイドバーにあるiCloud Driveの横のステータスアイコンや、iPhoneのファイルアプリの下部を確認し、非常に大きなファイルのアップロードが進行中でないかを確認してください。その一つのファイルのアップロードが全体の同期プロセスを占有し、他の小さなファイルの同期が滞っているように見えることがあります。
第二章:設定の再確認とソフトリセット

外部要因に問題が見られない場合、次はデバイスの内部設定とソフトウェアの一時的な不具合を疑います。
ステップ5:全てのデバイスで同じApple IDを使っているか?
基本的なことですが、意外と多い見落としです。MacとiPhoneの両方で「設定」の一番上を確認し、全く同じApple IDでiCloudにサインインしていることを確認してください。
ステップ6:iCloud Driveの設定を一度オフにして再度オンにする
これは、iCloud Driveの同期サービスそのものをリフレッシュするための古典的で効果的なソフトリセットです。
【注意】この操作を行うと、PCのローカルにダウンロードされていないオンラインのみのファイルは、一時的にFinderから見えなくなる場合があります。データが消えるわけではありませんが、その意味を理解した上で実行してください。
- Macの場合: 「システム設定」>「Apple ID」>「iCloud」>「iCloud Drive」と進み、「このMacを同期」のスイッチを一度オフにします。数分待ってから再度オンにします。
- iPhone/iPadの場合: 「設定」>「[あなたの名前]」>「iCloud」>「iCloud Drive」と進み、「このiPhone(iPad)を同期」のスイッチを同様にオフ→オンします。
ステップ7:全てのデバイスを再起動する
ソフトウェアの一時的な不具合を解消するための、最もシンプルで確実な方法が再起動です。同期がうまくいかない全てのデバイス(Mac, iPhone, iPad)を一度完全に電源オフにし、再度起動してから同期の状態を確認してみてください。
第三章:プロの奥義 - 同期プロセスそのものの強制再起動

ここからがパワーユーザー向けの、より専門的なトラブルシューティングの領域です。Macの内部では、「`bird`」と「`cloudd`」という2つの目に見えないバックグラウンドプロセス(デーモン)が、iCloudの同期という重責を担っています。同期が完全にスタックしてしまった場合、これらのプロセスが何らかの理由でフリーズしている可能性があります。そこで、これらのプロセスを意図的に強制終了させ、OSによって自動的に再起動させることで、同期の滞りを解消するのです。
方法1:アクティビティモニタを使う(GUI)
- 「アプリケーション」>「ユーティリティ」から「アクティビティモニタ」を起動します。
- 右上の検索ボックスに「`bird`」と入力し、表示された`bird`プロセスを選択して左上の「X」ボタンをクリックし、「強制終了」します。
- 同様に、検索ボックスに「`cloudd`」と入力し、`cloudd`プロセスも強制終了します。
これらのプロセスはOSの重要な構成要素であるため、終了させても数秒後には自動的に再起動します。これにより同期エンジンがクリーンな状態でリフレッシュされ、止まっていた同期が再開されることがあります。
方法2:ターミナルを使う(CUI)
より直接的で高速な方法が、ターミナルからコマンドを実行することです。「ターミナル」を起動し、以下のコマンドを一行入力してエンターキーを押します。
killall bird; killall cloudd
これも、アクティビティモニタからの操作と全く同じ効果をもたらします。
第四章:最後の砦 - 最終確認とAppleへの連絡

ステップ9:OSを最新の状態にアップデートする
古いバージョンのmacOSやiOSには、iCloudの同期に関する既知のバグが含まれている場合があります。「システム設定」や「設定」アプリからOSが最新のバージョンになっているかを確認し、もしアップデートがあれば適用してください。
ステップ10:問題のあるファイルを特定する
ごく稀に、ファイル名に特殊な記号が含まれていたり、あるいはファイル自体が破損していたりすることが原因で、同期プロセス全体が停止してしまうケースがあります。もし特定のファイルだけが同期しないという症状であれば、一度そのファイルをiCloud Driveの外(例えばデスクトップの別のフォルダ)に移動させ、他のファイルの同期が正常に完了するかどうかを確認してみてください。
これまでの全てのステップを試してもなお問題が解決しない場合、その問題はお客様のアカウントやデバイス固有の、より根深い問題である可能性があります。その際は一人で悩まず、Appleの公式サポートに連絡し、専門家の助けを求めるのが最善の選択です。
まとめ:iCloud Driveの同期トラブルは、論理的な切り分けで必ず解決できる
iCloud Driveの同期が止まるというストレスフルな問題は、その原因が目に見えないだけに私たちを不安にさせます。しかし、その背後にある技術的な仕組みを理解し、体系的な手順で一つずつ可能性を潰していけば、その魔法は必ずお客様の手元に戻ってきます。
- まず外を疑う: 問題は自分ではなく、AppleのサーバーやiCloudの空き容量にあるかもしれない。公式の「システム状況」ページとストレージ残量を最初に確認する。
- 基本設定を再確認する: 同じApple IDか?Wi-Fiは安定しているか?同期を妨げる大きなファイルはないか?基本的な前提条件を見直す。
- 「オフ→オン」と「再起動」は偉大な万能薬: iCloud Driveの同期設定の再投入やデバイスの再起動は、多くの一時的なソフトウェアの不具合を浄化する。
- 最終兵器、「`bird`」と「`cloudd`」の強制再起動: Macの同期が完全に停止した場合、アクティビティモニタやターミナルから同期エンジンそのものを再起動させるというプロの奥義を知っておく。
そして何よりも大切なのは、パニックにならず一つずつ冷静に手順を踏むことです。この記事が、お客様のMacとiPhoneとの間に再びスムーズなデータの架け橋を架けるための一助となれば幸いです。途切れることのないシームレスなエコシステムの快適さを、ぜひ取り戻してください。

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