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2025.9.3

【Macの音が出ない・変わらないを解決】音声の入出力先をアプリごとに設定・切り替える方法|仮想オーディオで録音・配信も自由自在

MacOSのお役立ち情報

記事の最終更新日:2025年8月28日

質問する若い女性
Macの音、もっと自由に操りたい!

Macで作業をする時、音楽はスピーカーから流したいのですが、ゲームの効果音だけはヘッドフォンで聞きたいんです。でも、Macのサウンド設定って、全ての音を一つの出口からしか出せないみたいで…。アプリケーションごとに音の出力先をバラバラに設定するような高度なことはできないのでしょうか?

それに、オンライン会議を録音しようとしても、相手の声は録音できるのに、私のMacから出ているシステム音声(例えば再生した動画の音)は録音できません。Macのオーディオ機能ってシンプルで綺麗なのですが、時々すごく不自由に感じてしまいます。

解説する博識な男性
PC STORE スタッフ

その感覚、Macを深く使いこなそうとする全てのパワーユーザーが必ず突き当たる「壁」です。Appleが提供するデフォルトのオーディオシステムは、究極の「シンプルさ」を追求しています。しかし、そのシンプルさの裏側で、プロのクリエイターや配信者が求める複雑な音の流れ(ルーティング)を実現するための扉が閉ざされてしまっているのです。

ご安心ください。その固く閉ざされた扉をこじ開けるための「魔法の鍵」が存在します。その鍵の名は、「**仮想オーディオデバイス**」。それは、お客様のMacの内部に目に見えないデジタルの「ミキシングコンソール」を作り出し、あらゆるアプリの音声を自由自在に分配し、結合し、そして録音することを可能にする究極のパワーアップアイテムです。

この記事では、まずMacに標準で備わる隠れたオーディオ設定の秘密を解き明かし、その上でこの「仮想オーディオデバイス」を使ってお客様のMacを本格的なレコーディングスタジオへと変貌させるための全知識を授けます。

Macオーディオの哲学:それは「シンプルさ」という美しき牢獄からの脱出

macOSのオーディオシステムは、そのミニマルで美しいデザイン哲学を色濃く反映しています。一つの音量スライダーが全ての音を支配し、一つの出力先が全ての音の出口となる。この「**一つの川の流れ**」のようなシンプルなモデルは、日常的な利用シーンにおいてユーザーを迷わせることのない、優れたユーザー体験を提供します。

しかし、お客様が一度その川の流れを意図的に変えたいと願った瞬間、そのシンプルさはあなたの創造性を縛る堅固な「牢獄」へと姿を変えます。ゲームの音と音楽の音を別の川へと分岐させたい。Safariが奏でる音の川から水を汲み、録音という瓶に詰めたい。マイクからの声とPC内部の音を一つの太い川へと合流させ、配信したい。

これらの高度な治水工事を実現するためには、macOSが標準では提供しない新しい「水路」をあなた自身の手で掘る必要があります。その新しい水路こそが「仮想オーディオデバイス」であり、それを使いこなすことは、あなたがMacのオーディオシステムの単なる「利用者」から、その流れを自在に設計する「水利技術者」へと昇格することを意味するのです。


第一章:標準ツールの限界と可能性 - Audio MIDI設定の探訪

高度な水路工事に入る前に、まずmacOSに標準で備わっている治水設備の能力を正確に把握しておきましょう。「アプリケーション」>「ユーティリティ」フォルダの中にひっそりと存在する「**Audio MIDI設定**」アプリ。これこそが、Macの全てのオーディオ入出力を統括するプロ向けのコントロールパネルです。このアプリの左下にある「+」ボタンから、2つの興味深い仮想的なデバイスを作成することができます。

複数出力装置:一つの音を複数の出口へ

「複数出力装置を作成」を選択すると、Macに接続されている全てのオーディオ出力デバイス(内蔵スピーカー、ヘッドフォン、外部モニターのスピーカーなど)が一覧表示されます。ここで複数のデバイスにチェックを入れると、それらを束ねた一つの仮想的な出力デバイスが作成されます。サウンド設定でこの「複数出力装置」を出力先に選べば、Macの内蔵スピーカーとBluetoothヘッドフォンの両方から同時に音楽を再生するといったことが可能になります。

機器セット:複数の入力を一つのマイクへ

「機器セットを作成」はその逆です。複数の入力デバイス(USBマイク、オーディオインターフェースのマイク入力など)を束ねて、一つの仮想的な入力デバイスとしてOSに認識させることができます。これにより、例えばGarageBandのような音楽制作ソフトで複数のマイクを使った同時録音が可能になります。

しかし、これらの標準機能には決定的に足りないものがあります。それは、アプリケーション「ごと」に入出力を制御したり、あるいはMacの「内部で鳴っている音」そのものを入力として扱ったりするという柔軟性です。その最後の壁を突破するための鍵が、次章で解説するサードパーティ製の仮想オーディオデバイスなのです。


第二章:魔法の鍵 - 「仮想オーディオデバイス」の導入

仮想オーディオデバイスとは、ソフトウェア的に作り出された目に見えない「仮想のオーディオケーブル」や「仮想のミキサー」です。これをインストールすることで、Macのサウンド設定には新しい入出力の選択肢が追加されます。そして、この仮想の入出力端子を使うことで、これまで不可能だったアプリケーション間の自由なオーディオルーティングが可能になるのです。この分野で世界的に有名な、いくつかの代表的なソフトウェアの「タイプ」を紹介します。

  • タイプ1:仮想オーディオケーブル(例:BlackHole)
    これは最もシンプルで基本的な仮想オーディオデバイスです。インストールすると「BlackHole」という名前の仮想の「入力」と「出力」がシステムに追加されます。あるアプリの出力先をこの「BlackHole出力」に設定すると、その音は物理的なスピーカーからは聞こえなくなりますが、代わりに仮想の「BlackHole入力」からその音を受け取ることができます。これにより、例えば録音ソフトの入力に「BlackHole」を指定すれば、Macのシステム音声をそのまま録音できるのです。
  • タイプ2:アプリケーションごとの制御ユーティリティ(例:SoundSource)
    これはメニューバーに常駐し、現在音を出している全てのアプリケーションの一覧を表示してくれる便利なツールです。それぞれのアプリの横にあるドロップダウンメニューから、そのアプリだけの出力先を個別に「内蔵スピーカー」や「ヘッドフォン」へと瞬時に切り替えることができます。まさに、お客様が最初に求めていた「ゲームの音はヘッドフォンへ、音楽はスピーカーへ」を実現するための最もエレガントな解決策です。
  • タイプ3:グラフィカルなルーティングツール(例:Loopback)
    これは最もパワフルでプロフェッショナルな仮想オーディオミキサーです。ドラッグ&ドロップで使える直感的なインターフェース上で、マイク、Safari、Spotifyといった複数の「音源」から線を引っ張り、それらを一つの「仮想マイク」へと自由にミキシングし、OBSやDiscordといった配信・通話ソフトの入力として送り込む、といった極めて複雑なオーディオルーティングをプログラミングなしで構築することができます。

第三章:実践 - 5つの高度なオーディオワークフロー

これらのツールを組み合わせることで、どのような未来が待っているのか。具体的な5つの実践的なワークフローを見ていきましょう。

ワークフロー1:あらゆる「PCの音」を高音質で録音する

オンライン会議、Webセミナー、あるいはストリーミング配信の音声などを劣化なく録音します。

【処方箋】仮想オーディオケーブル(BlackHoleなど)を導入します。「システム設定」>「サウンド」でMac全体の出力先を「BlackHole」に設定します。そしてQuickTime Playerなどの録音ソフトを起動し、その入力ソースとして「BlackHole」を選択して録音を開始します。

ワークフロー2:アプリごとに出力先を振り分ける

集中を妨げる通知音はスピーカーから、BGMはヘッドフォンから、といった音の棲み分けを実現します。

【処方箋】アプリケーションごとの制御ユーティリティ(SoundSourceなど)を導入します。メニューバーのアイコンから各アプリの出力先を個別に割り当てるだけです。

ワークフロー3:ゲーム配信でBGMと自分の声を完璧にミックスする

視聴者にゲームの音、BGM、そして自分のマイクの音声をバランス良く届けます。

【処方箋】グラフィカルなルーティングツール(Loopbackなど)を導入します。新しい仮想デバイスを作成し、そこに入力ソースとして「あなたのマイク」「Spotify」「ゲームアプリ」の3つを追加します。そしてOBSなどの配信ソフトの音声入力として、この作成した仮想デバイスを指定します。

ワークフロー4:Macとヘッドフォンから同時に音を出す

二人で同じ映画を見る際に、一人はスピーカーで、もう一人はヘッドフォンで同時に楽しむ。

【処方箋】「Audio MIDI設定」アプリで「複数出力装置を作成」し、「MacBook Proのスピーカー」と「Bluetoothヘッドフォン」の両方にチェックを入れます。そして、サウンド設定の出力先としてこの作成した「複数出力装置」を選択します。

ワークフロー5:iPhoneを高音質なワイヤレスマイクとして使う

特別な機材がなくても、iPhoneの優れたマイク性能をMacの入力として活用します。

【処方箋】これはmacOSの標準機能です。「システム設定」>「サウンド」の「入力」タブで、お客様のiPhoneが近くにあればそれがマイクの選択肢として表示されます。これを選択するだけで、iPhoneはMacの高音質なワイヤレスマイクへと変わります。

まとめ:Macのオーディオは、あなたが「設計」するものである

Macのオーディオシステムのシンプルさは初心者にとっては優しさですが、パワーユーザーにとってはもどかしさの源泉です。しかし、そのシンプルなシステムの水面下には、お客様が介入し流れを自在に設計するための余地が残されています。その介入を可能にするのが「Audio MIDI設定」であり、そして究極の自由をもたらすのが「仮想オーディオデバイス」なのです。

  1. 思想を理解する: Macの標準オーディオは「一本の川」。あなたの目的は、その川から水を分岐させ、あるいは合流させるための「水路」を建設することである。
  2. まず「Audio MIDI設定」を探求する: 複数のスピーカーから同時に音を出す「複数出力装置」は、追加のソフトウェアなしで実現できる強力な標準機能である。
  3. 「PC内部の音」を扱う鍵は「仮想オーディオデバイス」にある: システム音の録音やアプリ間の音声のやり取り。これらの高度な要求は、BlackHoleのような仮想のケーブルを導入することで初めて可能になる。
  4. アプリごとの出力制御には専用ユーティリティを: お客様の最も一般的な不満(アプリごとに出力先を変えたい)を最もエレガントに解決するのは、SoundSourceのようなメニューバー常駐型のツールである。
  5. 究極のミキシングはLoopbackのようなツールで: 複数の音源をプロのように組み合わせ、配信や録音の入力としたいなら、それはもはや仮想の「ミキシングコンソール」の領域である。

これらの知識とツールを手にすることで、お客様はもはやAppleが提供するオーディオの流れに身を任せるだけの存在ではありません。あなた自身のて、理想の音響空間を設計し、創造するサウンドエンジニアへと進化を遂げるのです。

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