
Mac OSでの画像圧縮と最適化のベストツール
MacOSのお役立ち情報

この記事の最終更新日:2025年7月9日

先輩、私、最近、ブログや会社のWebサイトに掲載する写真を、Macで準備することが増えたんです。
でも、デジタルカメラで撮影した写真って、一枚一枚のファイルサイズがすごく大きくて、そのままアップロードすると、ページの表示がものすごく遅くなってしまうんです。
画像のファイルサイズを小さくする「圧縮」が大事だっていうのはわかるんですけど、やり方がよくわからなくて…。
画質をなるべく落とさずに、でもファイルサイズはしっかり小さくする、みたいな都合のいい方法ってないんでしょうか?
Macで使えるおすすめのツールや、プロが実践しているテクニックがあれば、ぜひ教えてほしいです!

その悩みは、Webサイトのパフォーマンスとユーザー体験を考える上で、最も本質的で重要な課題だね。素晴らしい着眼点だよ。
多くの人は、画像圧縮を単に「ファイルサイズを小さくする作業」だと考えている。でも、プロの世界ではそれは全く違うんだ。
本当の画像最適化とは、Webサイトの表示速度、画像の視覚的な品質、そして透過などの機能性という、三つの要素の完璧なバランスを追求する、高度な『エンジニアリング』なんだよ。
そして、君のMacには、その高度なエンジニアリングを実現するための、驚くほど強力なツールが、標準機能から専門アプリまで豊富に揃っている。
今日はその全体像を解き明かそう。JPEG、PNG、そして次世代のWebPやAVIFといったファイル形式の根本的な違いから、それらを最適化するための具体的なツールとワークフローまで、君を「画像最適化のプロ」にするための全ての知識を、日本一詳しく伝授するよ。
【思想編】それは「圧縮」ではない、「最適化」という名のエンジニアリングである
Webサイトの表示速度は、ユーザー体験を左右し、ひいてはSEOの評価にも直結する極めて重要な要素です。
そして現代のWebページにおいて、その表示速度のボトルネックとなっている最大の要因が画像ファイルの重さです。
画像最適化とはこのボトルネックを解消するための技術ですが、その本質は単にファイルサイズを小さくすることではありません。
それは常に三つの要素のトレードオフ(一方を立てれば他方が立たない関係)の中で、最適な一点を見つけ出すという高度なバランス調整作業なのです。
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1. ファイルサイズ (Size):
小さければ小さいほど、ページの読み込みは速くなります。
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2. 画質 (Quality):
高ければ高いほどユーザーに与える印象は良くなりますが、ファイルサイズは大きくなります。
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3. 機能性 (Functionality):
背景を透明にできるか(アルファチャンネル)、アニメーションが可能かといった、ファイル形式固有の機能も考慮に入れる必要があります。
プロフェッショナルな画像最適化とは、その画像がWebサイトのどこでどのような役割を果たすのかを深く理解し、この「サイズ」「画質」「機能性」という最適化のトライアングルの中で、その用途にとって最もふさわしい完璧な一点を見つけ出す、知的で戦略的なエンジニアリング活動なのです。
【第一章:ファイル形式編】JPEG, PNG, WebP, AVIF - 最適な「器」を選ぶ
この最適化の第一歩は、あなたの画像に最も適したファイル形式という「器」を正しく選択することから始まります。
それぞれのファイル形式は、得意なこと、不得意なことが明確に異なります。
伝統的な画像フォーマット:JPEGとPNG
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JPEG (ジェイペグ):
Joint Photographic Experts Groupの略。1677万色という豊富な色数を表現でき、写真のような色の階調が滑らかな画像の圧縮を最も得意とします。その圧縮方式は「非可逆圧縮 (Lossy)データを圧縮する際に、人間の目ではほとんど知覚できない微細な情報を一部間引くことで、高い圧縮率を実現する方式。一度圧縮すると元のデータには完全には戻せません。」であり、高い圧縮率を実現できますが、保存を繰り返すたびに画質が劣化していくという特徴があります。背景の透過には対応していません。
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PNG (ピング):
Portable Network Graphicsの略。その圧縮方式は「可逆圧縮 (Lossless)データを圧縮しても元の全ての情報が完全に保持され、いつでも元の状態に戻せる圧縮方式。画質の劣化が一切ありませんが、圧縮率は非可逆圧縮に劣ります。」であり、画質の劣化が一切ありません。ロゴやイラスト、図版といった色の境界がはっきりとした画像の圧縮を得意とします。また、最大の特徴は背景を透明にできる「アルファチャンネル」を持っていることです。
次世代の高効率フォーマット:WebPとAVIF
近年、Webのパフォーマンスをさらに向上させるために、より圧縮効率の高い新しい画像フォーマットが登場し、主要なブラウザでサポートされるようになりました。
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WebP (ウェッピー):
Googleが開発した次世代の画像フォーマットです。同じ画質であればJPEGやPNGよりも20~30%程度ファイルサイズを小さくできるとされています。非可逆圧縮、可逆圧縮、そして背景透過とアニメーションの全てに対応する、非常に汎用性の高いフォーマットです。
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AVIF (エーブイアイエフ):
WebPよりもさらに新しい最新のフォーマットです。ビデオコーデックのAV1をベースにしており、同じ画質であればWebPよりもさらに高い圧縮率を実現します。現時点(2025年7月)で最高の圧縮性能を持つ静止画フォーマットと言えるでしょう。
現代のWebサイト制作では、まずAVIFでの提供を試み、AVIFに対応していないブラウザ向けにWebPを、そしてさらに古いブラウザ向けにJPEG/PNGをフォールバックとして用意する、という段階的なアプローチがベストプラクティスとなっています。
【第二章:ツール編】Macで使える最強の画像最適化ツール
これらのファイル形式を自在に操り最適な圧縮を行うための強力なツールが、Macには数多く存在します。
標準ツール「プレビュー.app」の底力
特別なアプリをインストールしなくても、macOS標準の「プレビュー」アプリだけで基本的な画像圧縮は可能です。
画像ファイルをプレビューで開き、「ファイル」メニューから「書き出す…」を選択します。
表示されたダイアログで「フォーマット」をJPEGやPNG、HEIC(WebPやAVIFへの直接書き出しはできません)に変更できます。
フォーマットをJPEGに選択した場合、「品質」というスライダーが表示されます。
このスライダーを左に動かせば動かすほど圧縮率が高くなり(ファイルサイズは小さくなる)、画質は低下します。
Webで使用する写真の場合、この品質スライダーを70~85程度の範囲に設定するのが、画質とファイルサイズのバランスを取る上で一つの目安となります。
Webベースの対話型ツール「Squoosh」
Googleが開発した「Squoosh」は、Webブラウザ上で動作する非常に高機能で、そして教育的な画像圧縮ツールです。
画像をドラッグ&ドロップすると画面が左右に分割され、元の画像と圧縮後の画像をリアルタイムで見比べながら圧縮設定を追い込むことができます。
JPEG、PNGといった従来形式だけでなく、WebPやAVIFといった最新のフォーマットへの変換も可能です。
様々な圧縮アルゴリズムの違いや設定項目が、画質とファイルサイズにどのように影響するのかを視覚的に学ぶための最高の教材と言えるでしょう。
Macの定番、自動圧縮ツール「ImageOptim」
「ImageOptim」は、Macユーザーの間で長年定番として愛用されている無料の画像圧縮ユーティリティです。
その使い方は非常にシンプルで、アプリのウィンドウに画像ファイルをドラッグ&ドロップするだけです。
するとImageOptimはバックグラウンドで複数の強力な圧縮アルゴリズムを自動的に実行し、画質を損なうことなく(あるいはほとんど損なうことなく)、ファイルサイズだけを削減してくれます。
設定画面からはより強力な非可逆圧縮を有効にすることも可能で、Webサイトで使用する全ての画像を納品前に一度このImageOptimに通しておくというのを習慣にしているWeb制作者は少なくありません。
究極のバッチ処理ツール「Retrobatch」(有料)
もしあなたが日常的に何百、何千という大量の画像に対して、リサイズ、リネーム、圧縮、ウォーターマークの追加といった同じような定型処理を行っているなら、「Retrobatch」はあなたの人生を変えるかもしれない究極の自動化ツールです。
RetrobatchはAutomatormacOSに標準搭載されているグラフィカルな自動化ツール。様々な「アクション」をレゴブロックのように組み合わせることでワークフローを作成できます。のように、ノードベースのインターフェースで「画像を読み込む」→「サイズを変更する」→「ファイル形式をWebPに変換する」→「指定フォルダに書き出す」といった一連の処理の流れ(ワークフロー)を視覚的に構築できます。
一度ワークフローを構築してしまえば、あとはフォルダごとファイルをドラッグ&ドロップするだけで全ての処理が全自動で実行されます。
これはまさに画像処理のためのあなただけの「専用工場」を作り上げるようなものです。
まとめ - 画像最適化はWebサイトへの「おもてなし」の心である
画像最適化は単なる技術的な作業ではありません。
それはあなたのWebサイトを訪れてくれるユーザーに対して、美しい画像を提供しつつも、その貴重な時間を無駄な待ち時間で奪わないという「おもてなし」の精神の現れなのです。
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1. まず画像の「用途」に最適な「ファイル形式」を選べ:
写真ならJPEGかWebP/AVIF。背景を透過したいロゴやイラストならPNGかWebP/AVIF。この基本的な使い分けが全ての土台です。
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2. 次にツールを使って「画質」と「ファイルサイズ」の最適なバランスを探求せよ:
Squooshのようなツールを使い圧縮率の違いが画質にどう影響するかをあなた自身の目で確認し、納得のいく一点を見つけ出す。この探求のプロセスがあなたのスキルを向上させます。
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3. そして定型作業はImageOptimやRetrobatchで徹底的に「自動化」せよ:
あなたの貴重な創造的な時間は、一枚一枚の画像を手作業で圧縮するような不毛な作業に費やされるべきではありません。その全てをMacに任せてしまいましょう。
高速で美しく、そしてユーザーフレンドリーなWebサイト。
その実現の鍵の多くはあなたがアップロードする一枚一枚の画像の中に隠されています。
ぜひこの記事を参考に、あなたのWebサイトとその訪問者の両方を幸せにする最高の画像最適化術をマスターしてください。
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