
Windows 11での音声コントロールの使い方
Windowsのお役立ち情報

この記事の最終更新日:2025年7月4日

料理をしながらレシピをPCで見たり、長時間のタイピングで手首が疲れたりした時に、「声だけでパソコンが操作できたら、どんなに楽だろう…」って、思うことがあるんです。
スマートフォンみたいに、Windowsにも、アプリを開いたり、クリックしたりといった操作を、声だけでできる機能って、あるんでしょうか?

その「あったらいいな」、2025年現在のWindows 11では、もう完全に実現されていますよ。
多くの方がまだご存じないのですが、Windows 11には、単に文字を音声で入力するだけでなく、マウス操作や、ウィンドウの操作、アプリの起動といった、PC上のあらゆる操作を、あなたの「声」だけで行える、非常に強力な「音声アクセス」という機能が、標準で搭載されているんです。
ご安心ください。
今日は、その「音声アクセス」のセットアップ方法から、基本的なコマンド、そして、あなたの仕事を自動化する、オリジナルの音声コマンドの作り方まで、プロの視点から日本一詳しく、そして分かりやすく解説していきます。
この記事を読み終える頃には、あなたは、手という物理的な制約から解放され、思考と直結した、新しいPC操作の世界を体験しているはずです。
【思想】音声コントロールの哲学 - 「手」からの解放、思考の直接操作
具体的な設定に入る前に、まず、なぜ「音声コントロール」が、私たちのPCとの関わり方を、根本から変える可能性を秘めているのか、その思想について理解しましょう。
アクセシビリティから、すべての人の生産性向上へ
音声コントロール技術は、元々、手が不自由な方など、身体的な制約を持つユーザーが、PCの恩恵を最大限に受けられるようにするための**「アクセシビリティ」**機能として、開発・発展してきました。
しかし、その技術がAIの進化と共に成熟した今、それは、すべての人々の生産性を向上させ、PCとの新しい関わり方を提案する、普遍的な「パワー機能」へと進化を遂げたのです。
キーボードとマウスという、物理的な「手」を介した間接的な操作から、あなたの「声(思考)」による、より直接的な操作へ。
これは、PCの操作における、一つの大きなパラダイムシフトなのです。
Windows 11の「3つの声」- 音声入力、音声アクセス、Copilot
Windows 11で「音声」を使った操作と言うと、主に3つの異なる機能が存在します。
これらを混同しないよう、まずその役割を整理しておきましょう。
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1. 音声入力 (Voice aTyping):
ショートカットキー `⊞ Win + H` で呼び出す、最も手軽な機能です。
カーソルがある場所(Wordやメモ帳など)に、マイクで話した言葉を、テキストとして「入力(ディクテーション)」することに特化しています。
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2. 音声アクセス (Voice Access):
この記事の主役です。
テキスト入力だけでなく、**マウスカーソルの移動、クリック、アプリの起動、ウィンドウの操作といった、PC上のあらゆる操作を、声だけでコントロール**するための、包括的な機能です。
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3. Copilot:
これは、AIとの「対話」を通じて、Webサイトの情報を要約させたり、文章を作成させたり、あるいは複雑な設定変更を依頼したりといった、高度な「知的作業」を代行させるための、AIアシスタントです。
今回は、この中でも、あなたのPCを、完全にハンズフリーで操作可能にする「音声アクセス」について、徹底的に深掘りしていきます。
【準備編】「音声アクセス」のセットアップ - あなたの声でPCを操るための儀式
それでは、あなたのPCが、あなたの「声」という命令を、正確に理解できるようにするための、最初のセットアップを行いましょう。
1. 「音声アクセス」を有効にする
「設定」アプリを開き(`⊞ Win + I`)、左側のメニューから「アクセシビリティ」を選択し、「音声」の項目をクリックします。
一番上にある**「音声アクセス」**のスイッチを、「オン」にしてください。
初回は、音声認識のための言語モデルなどのダウンロードが開始されます。
2. マイクの選択と、初期設定ウィザード
ダウンロードが完了すると、画面上部に「音声アクセス」のコントロールバーが表示され、初期設定のガイドが始まります。
まず、使用するマイクを選択します。
ノートPC内蔵のマイクでも動作しますが、より高い認識精度を求めるなら、ヘッドセットマイクや、専用のUSBマイクを使用することをお勧めします。
3. 音声アクセスのUIを理解する
セットアップが完了すると、画面上部に、常に音声アクセスのコントロールバーが表示されるようになります。
左側のマイクアイコンをクリックすることで、音声認識を「リッスン中」と「スリープ」の状態で切り替えることができます。
右側の歯車アイコンからは、各種設定や、利用できるコマンドの一覧を確認できます。
【実践:操作編】音声アクセスの基本コマンドをマスターする
セットアップが完了したら、いよいよ、あなたの声で、Macを操るための「呪文(コマンド)」を覚えていきましょう。
1. マウスカーソルの操作 - グリッドオーバーレイによる精密なポインティング
音声でマウスを操作する際、最大の課題は「どうやって、画面上の正確な位置を指定するか」です。
音声アクセスは、この問題を、非常に独創的な方法で解決します。
【グリッドオーバーレイ】
あなたが「グリッドを表示」と命令すると、画面全体が、1から9までの番号が振られた、3x3のグリッドで覆われます。
- ・例えば、目的のボタンが「5」のエリアにある場合、あなたは「5」と発声します。
- ・すると、今度は「5」のエリアだけが、さらに、1から9までの、より細かいグリッドで分割されます。
- ・この操作を繰り返すことで、あなたは、どんなに小さなターゲットでも、ピクセル単位で、正確に位置を指定していくことができるのです。
このグリッド操作に慣れることが、音声アクセスを使いこなす、最も重要な鍵となります。
2. クリックとドラッグ - あらゆる操作を実行する
位置を指定したら、次はアクションです。
「クリック」と言えば、マウスの左クリックが実行されます。
同様に、「ダブルクリック」「右クリック」といった、基本的な操作が可能です。
ファイルをドラッグ&ドロップしたい場合は、「(対象を)マーク」と言って始点を指定し、移動先で「ドロップ」と言います。
3. UI要素との対話 - 番号オーバーレイによる確実なクリック
ボタンやリンクを直接クリックするための、もう一つの強力な方法が「番号の表示」です。
あなたが「番号を表示」と命令すると、画面上の、**クリック可能なすべてのUI要素**(ボタン、リンク、テキストボックスなど)の上に、数字のラベルが、オーバーレイ表示されます。
あとは、「クリック 5」や「クリック 23」といった形で、目的の番号を伝えるだけで、その要素を、確実にクリックできます。
これは、Webページのリンクをたどったり、アプリケーションのメニューを操作したりする際に、絶大な威力を発揮します。
4. アプリケーションとウィンドウの管理
アプリの起動や、ウィンドウの操作も、声だけで自由自在です。
- ・「(アプリ名)を開く」: 例:「Wordを開く」「Chromeを開く」
- ・「(アプリ名)に切り替える」: 例:「Excelに切り替える」
- ・「ウィンドウを最小化する」「ウィンドウを最大化する」「ウィンドウを閉じる」
【実践:入力編】声だけで、文章を書き、そして編集する
音声アクセスは、単なるPCの操作だけでなく、高度なテキスト編集機能も備えています。
1. 正確なディクテーション(書き取り)
テキストエディタやWordなどで、「(入力したい文章)」と言えば、その言葉が、テキストとして入力されます。
句読点も、「読点」「句点」「改行」といったコマンドで、正確に入力できます。
2. 高度な選択・編集コマンド
音声アクセスの真価は、入力後の「編集」にあります。
- ・選択コマンド:
「前の単語を選択して」「次の3つの段落を選択して」といった、柔軟な範囲選択が可能です。
- ・編集コマンド:
選択したテキストに対し、「それを太字にして」「それを削除して」「それを大文字にして」といった、あらゆる書式設定や編集操作を、声だけで実行できます。
- ・カーソル移動:
「ドキュメントの先頭に移動して」「“はじめに”の直後に移動して」といった、文脈に応じた、カーソル移動も可能です。
これらのコマンドを組み合わせることで、キーボードとマウスに一切触れることなく、報告書の作成や、メールの返信といった、すべての文書作成作業を、完結させることが可能になります。
【究極奥義】あなただけの「音声ショートカット」を作成する
最後に、音声アクセスを、あなただけの、究極の生産性ツールへと進化させる、カスタムコマンドの作成方法を紹介します。
「音声アクセス」の設定画面にある「ショートカットの作成」から、あなたが頻繁に行う、一連の作業を、たった一つの「音声コマンド」として、登録することができるのです。
【実践例:「週次報告」コマンドの作成】
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1. 「呼び出し名」の設定:
「次の言葉を言ったとき」の欄に、あなたが覚えやすいコマンド名を入力します。
例:「週報を作成」
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2. 「アクション」の設定:
「実行する操作」で、このコマンドが実行するべき、一連のアクションを、順番に登録していきます。
- ・アクション1:「特定のファイルを開く」→ 週報用のExcelテンプレートのパスを指定。
- ・アクション2:「アプリケーションを実行する」→ データ参照用のWebブラウザ(Chromeなど)を起動。
- ・アクション3:「ウィンドウをスナップする」→ Excelを左側に、Chromeを右側に、スナップさせる。
このカスタムコマンドを保存すれば、次回から、あなたは、マイクに向かって「週報を作成」と、ただ一言命じるだけで、Excelテンプレートとブラウザが起動し、画面が左右に分割された、完璧な作業環境が、一瞬で、自動的に構築されるのです。
あなたの日常的な反復作業は、すべて、あなただけのオリジナルな音声コマンドとして、自動化できる可能性を秘めています。
まとめ - 音声コントロールは、PCとの新しい「対話」の形
Windows 11の「音声アクセス」機能は、単なる目新しい機能ではありません。
それは、私たちのPCとの関わり方を、物理的な「手」の制約から解放し、より思考と直結した、新しい次元へと引き上げる、革新的なインターフェースなのです。
- 1. 思想を理解する:
音声アクセスは、アクセシビリティのためだけでなく、すべての人の生産性を向上させるための、パワフルなツールです。
- 2. 精密な操作をマスターする:
「グリッドオーバーレイ」と「番号オーバーレイ」を使いこなせば、マウス操作の、ほぼすべてを、声だけで、正確に代替できます。
- 3. 自動化で、さらに先へ:
あなた自身の反復作業を「カスタム音声ショートカット」として登録し、あなただけの、究極の効率化環境を構築しましょう。
手が離せない時も、タイピングに疲れた時も、あるいは、ただ未来的な体験を楽しみたい時も。
あなたの「声」は、あなたのWindowsを、もっと自由に、もっと直感的に操るための、新しい「魔法の杖」となります。
もし、この音声アクセスの設定や、それを快適に利用するための、マイクの選定、PCの最適化について、専門家のアドバイスが必要だと感じたら、いつでも私たちにご相談ください。
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